総裁選の裏金づくりか?権限のない団体の収支報告書を無断で書き換え押印?高市早苗元大臣とその公設秘書を検審に申し立て
権限のない政党支部の政治資金収支報告書を関係者に無断で訂正した上、宣誓書に担当者の印鑑を無断で押したこと、寄付を受け取ったにもかかわらず政治資金収支報告書に記載しなかったことなどで、高市早苗元経済安保担当大臣と公設秘書が奈良検察審査会に政治資金規正法違反などの問題で18日、「起訴相当」議決を求めて申し立てをされた。
審査申し立てをしたのは、神戸学院大学の上脇博之教授。
●無断訂正・押印・不記載…深まる疑惑
申立書によると、高市元大臣が代表を務める政党支部「自由民主党奈良県第二選挙区支部」は2021年7月24日に政治資金パーティー「Fight On!! Sanae 2021アフタヌーン・セミナー」を開催した。このパーティーの参加費として、「自由民主党山添村支部」は22万円を支出していた。この22万円の支出は「山添村支部」の政治資金収支報告書に記載されていた金額だった。しかしながら、「奈良県第二選挙区支部」の政治資金収支報告書の明細には記載されていなかった。政治資金規正法には、20万円以上の政治資金パーティー券販売収入があった場合、収支報告書にその収入明細に記載することを義務付けている。

「奈良県第二選挙区支部」が「山添村支部」からのパーティー券販売収入を記載する義務があったにもかかわらず、記載していなかったことが政治資金規正法の不記載罪に当たると申立書で指摘している。
「奈良県第二選挙区支部」の不記載が報道された後、「山添村支部」はパーティー券を22万円購入したのではなく、パーティー券は12万円で残りはその他の支出だったというように政治資金収支報告書を訂正した。しかし、この事件を報道した「しんぶん赤旗」日曜版によると、「支部では(パーティー券を)11枚購入し、11人が参加した」と回答していた。また訂正に対しても山添村支部の代表者は「訂正のことは全然知らなかった。事前も事後も報告はなかった」と回答している。さらに、「しんぶん赤旗」日曜版は筆跡鑑定を行った結果を報道している。「奈良県第二選挙区支部」が発行した12万円の領収書に記載している文字、訂正願に記載されている文字、「奈良県第二選挙区支部」の2013年の収支報告書における訂正の文字が「同一人物のものだった」という鑑定結果を報道した。

つまり、「山添村支部」の政治資金収支報告書の訂正を行ったのは、「奈良県第二選挙区支部」の会計責任者だったということになる。「奈良県第二選挙区支部」の会計責任者は、高市元大臣の公設秘書が務めていたが、「山添村支部」の代表でも会計責任者でもなかったので「山添村支部」の政治資金収支報告書を訂正する権限はなかった。それにもかかわらず、「山添村支部」の許可なく政治資金収支報告書を訂正し宣誓書に押印までしていた。これが刑法の有印私文書変造・同行使罪に当たると申立書は言及している。

●自民党本部からの150万円寄付、奈良県第二選挙区支部が収支報告書に不記載
「奈良県第二選挙区支部」の違法行為はそれだけではない。
「奈良県第二選挙区支部」は2021年に「自民党本部」から50万円を3回に分けてもらっていたにもかかわらず、合計150万円に上るその寄付を「奈良県第二選挙区支部」は政治資金収支報告書に記載していなかった。

●総裁選直前に271万円の不明支出 裏金疑惑も浮上
「奈良県第二選挙区支部」の2021年の少額領収書の中に個人に支払った約271万円の振込手数料受取書があったのだが、「奈良県第二選挙区支部」の政治資金収支報告書の支出欄には個人への約271万円の支出は一切記載がなかった。これが政治資金規正法の不記載罪に当たると指摘するとともに、政治資金収支報告書に記載のできない選挙の裏金の可能性もあったと告発状は言及している。約271万円の支出があった10月25日は、高市大臣が立候補していた衆議院選挙の投開票日だった10月31日の6日前だった。また、高市元大臣は、衆議院選挙の前月にあった自民党総裁選挙(9月17日告示、29日投開票)にも立候補していた。

奈良検察審査会に申し立てをした上脇博之教授のコメント
「山添村支部からの22万円収入の不記載を認めたくなかったので、弱い立場の山添村支部の収支報告書を勝手に変造、虚偽記入したのでしょう。
自民党本部からの計150万円の交付金収入を収支報告書に記載していなかったことを共同通信の記者から指摘され、収支報告書を訂正して同額を翌年に繰り越しました。これは、計150万円の不記載と150万円の裏金プールの“自白”です。高市事務所は『別口座に振り込まれたものと混同していた』と弁明していましたが、これは収支報告書に記載しない“裏口座”を持っていることの“自白”でもあります。
おそらく、山添村支部からの22万円もこの“裏口座”で受け取り、個人への約271万円の支出も、この“裏口座”から支出したのでしょう。また、約271万円を支出していたのに収支報告書に記載していなかったとうことは、少なくとも同額の裏金収入があったことになります。自民党総裁選があり、衆議院総選挙があった2021年に“裏口座”で裏金を管理していたとなると、それらの選挙で裏金が投入された可能性もあり、悪質です。
だから、会計責任者の独断ではできたとは思えませんので、検察審査会には、是非とも、会計責任者だけではなく高市・元大臣についても『起訴すべき』と議決してほしいと思います。」

奈良地検は、高市元大臣らを一連の事件で2025年1月に不起訴処分としていた。なお、「奈良県第二選挙区支部」は、2019年にも「山添村支部」から22万円のパーティー券を購入してもらっていながら記載していなかった。審査申立てでは2019年分は時効が完了したとして審査申立てされていない。
