裏金問題で政治家はおとがめなし?検察審査会に申し立て 908万円受領の中山泰秀元議員と秘書
安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティーのパーティー券販売収入から2018年以降合計908万円のキックバック(裏金)を受け取っていた政治団体「中山泰秀後援会」の代表・中山泰秀元衆議院議員と秘書らが不起訴となっていた事件で、起訴相当、もしくは不起訴不当を求めて3月に東京検察審査会に申し立てをされていたことが分かった。
申し立てをしたのは、自民党の裏金事件を追及し続ける神戸学院大学の上脇博之教授。
政治家の責任はなし?
上脇教授が中山泰秀元衆議院議員らを刑事告発した時には、中山泰秀後援会の会計責任者、事務担当者ら4人を告発対象としていたが、今回は申し立てをされたのは、中山泰秀元衆議院議員と秘書の二人。今回申し立てをされた秘書は刑事告発時には告発対象となっていなかったが、起訴猶予で不起訴となったという情報を上脇教授が入手したため、申し立てに加えられた。中山泰秀元衆議院議員と会計責任者らは嫌疑不十分だった。

起訴猶予とは?
「被疑者が犯罪を犯したことが証拠上明白であっても,被疑者の性格,年齢,境遇,犯罪の軽重と情状,犯罪後の情況により訴追を必要としないと判断される場合は,検察官の判断により起訴を猶予して不起訴とすることがあります」
つまり、中山泰秀元衆議院議員の秘書は、安倍派の政治資金パーティー券収入からキックバック(裏金)を受け取り政治資金パーティーに記載しなかったことを検察が認めたのに何らかの理由で起訴を免れたということになる。
そうした理由から上脇教授は今回、秘書の申し立てに踏み切り、告発状では「秘書についてはぜひとも起訴相当の議決をしてください」と検察審査会に求めている。

●上脇教授のコメント
「私が裏金事件を刑事告発する場合は、収支報告書に氏名が明記刺されている代表者や会計責任者らに限定しています。しかし、裏金議員・元議員のうち、私が刑事告発していなかった秘書が起訴猶予で不起訴になっていたケースが幾つかありました。そのうちの一つが、中山元議員の秘書でした。特捜部は規正法違反の不記載・虚偽記入の証拠があるにもかかわらず、秘書を不起訴にしましたが、それは不当なので、検察審査会に『起訴すべきである』と議決して欲しいと思って審査申立てしました」
辻褄あわせの悪質な訂正
中山泰秀後援会は、安倍派の政治資金パーティー券販売収入から2018年以降5年間で908万円のキックバックを受け取っていた。これは、一連の自民党裏金事件の捜査が終わった2024年1月に、中山泰秀後援会が政治資金収支報告書を訂正したことによって発覚した。この収支報告書の訂正などを根拠に上脇教授は刑事告発をしていたが、2024年12月に不起訴処分が下されていた。

中山泰秀後援会は、キックバックを受け取っていたこと、つまり安倍派から寄付を受け取っていたと収支報告書を訂正すると同時に、支出も追記している。2020年は約100万円、2021年は約230万円、2022年は約200万円で合計537万にも上る。これらは、事務所用車両ローン代や駐車場代、倉庫代として計上されている。
2020年から2022年までのキックバックの合計は596万円ということを考えると、受け取ったキックバックはこれらの経費に使っていたということだろう。
これらの「つじつま合わせ」について、上脇教授は次のように批判した。
「裏金を事務所用車両ローン代、駐車場代、倉庫代に使っていたのであれば、当然、収支報告書にその各支出明細を記載しないと規正法違反であることは明らかです。この不記載の判断は、秘書の独断ではできないでしょうから、検察審査会には中山元議員についても『起訴すべきである』と議決して欲しいと思っています。それでも証拠不十分だというのであれば、『再捜査すべきである』として不起訴不当と議決していただきたいと思っています」
2018年、2019年については、公訴時効のため今回の申し立ての対象から外れている。

中山泰秀元衆院議員は、電通に入社後、小池百合子東京都知事が衆議院議員だった時に政策秘書を経て、2003年に衆議院議員に初当選した。その後、安倍政権で外務副大臣を歴任したが、2021年の衆議院議員選挙で落選し、裏金事件の発覚を受けて行われた2024年の衆議院議員選挙でも落選している。
