【異例】検察審査会が東京地検を「手抜き捜査」と酷評:加田参院議員ら3人を「不起訴不当」安倍派裏金事件で
いわゆる裏金事件で、旧安倍派(清和政策研究会、清和会)から政党支部「自由民主党兵庫県参議院選挙区第三支部」が648万円を受け取っていたにもかかわらず、政治資金収支報告書の明細に記載していなかった問題で、政党支部の代表の加田裕之参議院議員と会計責任者、事務担当者の三人がいずれも、不起訴不当の処分を検察審査会が下していたことが12日分かった。
加田参議院議員と事務担当者に対して、検察審査会は不起訴不当とした理由をこう述べている。
「検察官は、一般的に考えられる被疑者らの供述内容を裏付ける捜査をしておらず、積極的な捜査をしたとはいえない」
これは、加田参議院議員と事務担当者に向けて書かれた文言ではなく、東京地検に向けて書かれた文言と受け取れる。東京地検に向けて書かれたと思われる文言はこの一文だけのため、検察審査会がどんな資料の提示を受けてこのような判断をしたかは不明だが、検察審査会が捜査をした東京地検を批判するのは異例と言える。

また、議決書の最後はこう結ぶ、検察の判断に異を唱えている。
「十分な捜査を尽くさず、被疑者加田(参議院議員)…嫌疑不十分とした検察官の判断は不当であり、再捜査を尽くしたうえ、再検討する必要があること、(会計責任者)を起訴猶予とした検察官の判断は不当であり、法の趣旨からも再度処分を見直すべきと判断した」
加田参議院議員に対しては、「(政治)資金収支報告書の記載について監督義務があると考えるべきであり、不記載等がある事実に関する認識可能性について…重過失について検討すべきである」と不起訴不当の理由に言及している。

加田参議院議員は、旧安倍派からパーティー券の売り上げのノルマを超えた分の扱いについて参議院政治倫理審査会で「確認したものの明確な回答がなかった」と説明をしていた。しかし、検察審査会は旧安倍派の回答ではなく、監督義務のある政党支部の代表として加田参議院議員の責任に言及した。事務担当者に対しても、不記載等がある事実についての認識可能性があるとして、その責任に言及している。なお、加田参議院議員と事務担当者について、東京地検は嫌疑不十分として不起訴処分にしていた。
会計責任者については、東京地検が起訴猶予処分としていた。つまり政治資金規正法違反を犯したことは明らかだが、諸々の理由により起訴をしなかったが、「政治資金規正法の立法趣旨や基本理念に照らすと…司法判断を受けるのが法の趣旨にかなうものである」とした。つまり、東京地検は起訴をして、裁判所の判断を仰ぐことが妥当というのが検察審査会の意見なのだろう。

検察審査会に申し立てをしていた上脇博之神戸学院大学教授のコメント
「東京地検は会計責任者を起訴できる証拠があるのに起訴していませんでしたが、東京第一検察審査会は不起訴処分を不当と議決しました。東京地検はこの民意を尊重して会計責任者を起訴すべきです。
一方、東京地検は加田議員と事務担当者を嫌疑不十分で不起訴にしましたが、東京第一検察審査会は二人を重過失で起訴するための捜査を尽くしていないとして不起訴を不当と結論づけました。言い換えれば東京地検の捜査は手抜きだったと酷評しているに等しいのです。その点では画期的な議決です。東京地検はこの民意を尊重して二人を再捜査すべきです。捜査を尽くせば重過失で起訴できるはずです。」
加田参議院が代表を務める政党支部「自由民主党兵庫県参議院選挙区第三支部」は、安倍派の政治資金パーティーのパーティー券販売収入の一部を受け取っていたにもかかわらず、政党支部の政治資金収支報告書にはその記載をしていなかった。その額は、2020年が204万円、2021年が210万円、2022年には234万円、計648万円だったことが判明している。
