これから競技麻雀をやる貴方へ③~諦めることを諦めろ〜
~前回までのあらすじ~
最高位戦プロアマリーグに挑戦する筆者。しかし、一度もトップが取れない。第二節では国士無双をノーテンであがってしまうという大ミスをしてしまう。最強戦でも勝利できないまま、3月に…
2026年3月8日
この日、千葉のカルチャースクエアワンダフルデイズ千葉に向かっていた。目的はもちろん麻雀最強戦。それも午前午後の2回挑戦である。3月20日後半の部を合わせて残り3回。記念受験のつもりで受けるつもりでいた。
熱はすっかり冷めている──
店舗予選を突破して地方本戦に進む…。そんな夢は諦めた。あんな大チョンボをかます自分には、そんな資格はない。そう思いながら麻雀をこなした。
そうなってくると、不思議なものである。あれだけ難しいと思っていたトップがあっさりとれたのである。
しかも、オーラス3人ノーテンで自分がテンパイで流局。大きなあがりもなく、自分が40000点ちょっと(最強戦は30000点が原点)の、展開トップであった。
……手応えはない。
初勝利が劇的なものと思っていた自分にはすごく意外だった。おそらく、緊張感がなく無駄な力がかかっていなかったため、自然な攻め受けができたのだろう。
3月8日はそんな感じで結局チケットは取れなかったが、比較的良い成績が取れた。
(次が最強戦もラストバトルか…)
変に清々しかった。それは肌寒い春先の風が頬に触れたからではない。諦めた人間の空しい爽やかさだった…。
2026年3月28日──。
自分の中での最後の挑戦が始まった。しかし、この日は違った。
異様に目立つ赤い帽子の男がカメラの前に座っているのである。
(最強戦でも店舗ゲストみたいなものがあるのだろうか?)
2026年から麻雀最強戦を始めた自分は、麻雀大会とかに出てくるゲストプロのような人と認識した。しかし、違った──。
大会が始まる前に、赤い帽子の男が立ち上がる。
「どうも、2024年アマ最強位、アマチュア最強戦アンバサダーの山部正人です」
アマ最強位⁉ JOKERさんの前の王者ってこと⁉
…それはそうである。私は2025年末に初めて最強戦にアマ予選があることを知ったわけだが、もちろんそれ以前にも大会はあったわけだ。
山部さんは、今年はアンバサダーとなって色々な地方を行脚してるそうだった。
心に刺さったのは、最後の一言だった
「私は2024年、37連敗してようやく一枚チケットを取りました。そんな私でもチャンピオンになれましたので、皆さんも諦めずにがんばりましょう!」
37連敗…。1回5000円として…いやそれはいいとして、そんなに??
3回負けた程度で記念受験だの言ってた私は一体…???
そう思った私は奮起した。山部さんの言葉をもらって、私はついに勝…となればよかったのだが、1戦目から惨敗…! ちょっと今回も予選突破は難しそうな感じになってしまった。
しかし、収穫はあった。2戦目が早々終わり、山部さんのオーラスを後ろから見る機会があったのだ。
山部さんは2位。1位は上家さんで互いに子。点差は2400程度の微差だった。
山部さんから対面の親からリーチがかかっている。中張牌はある程度通っており、なんとなく悪系のリーチのようだった。
18巡目残り山2枚。上家が7萬を捨てた時それが起こった。
123456
から山部さんが56の形で鳴く。そして共通安パイの1萬を切った。いわゆるスライドである。(3面張なので、食いかえにはならないテクニックだ)
しかし…
残り2枚なので、親にハイテイが回ってしまう。
(これはどういうことだ?)
自分の疑問をよそに、下家がツモ切りし、対面の親もツモ切り。流局となった。
下家を除く3人がテンパイ。親はやはり悪系で、それも純カラだった。
点棒計算も終わり、2位をキープした山部さんはトイレに行く。自分も思わず追った。(他の卓は対局中なので、私語を慎みたいので外で話そうとしたのだ)
「すみません、後ろで先ほど見ていた者なんですが、一つお聞きしていいですか?」
「いいですよ」
山部さんが初対面の私に柔和に答えてくれた。さすがアンバサダー…。
「オーラスの鳴きなのですが、親にハイテイが回る形である程度リスクに感じたのですが…」
それに対して、山部さんは静かにその時の考えを教えてくれた。
「親に海底が回ることは理解していました。おそらくトップ目の方も形テン取られているんですが…万が一、という可能性もあります。ノーテン罰符で順位が変わる点差である以上、トップの可能性を追いたい状況だし、素点も減らない。そう判断して聴牌維持を最優先しました。ま、親に海底ツモられたら…そのリスクは取ったんだからしゃあないっす(笑)」
確かにもしここでテンパイを崩すと1500点を失ってしまう。WRCルールで30000点の30000点返し、トップが+15、2位が+5、3位が-5、4位が-15と最強戦はトップ取りもさることながら、素点が大事。わずか1.5ポイントで足切りになってしまうのだ…!
(なんという読み…そしてシビアなテンパイ取り…)
これがチャンピオンということか…。本人は「運だけでチャンピオンになったおじさんですよ(笑)」と、嘯いていたがまさかこれほどとは…。
なにかこみ上げてくるものがあった。この強い人に勝ちたい…。勝ってみたい…! その時の偽らざる想いだ。
この日は、予選敗退したがすぐに次の最強戦南関東予選を登録した。
(山部さんも37回負けたんだ)
「諦めたらそこで試合終了だよ」
「オレが諦めるのを諦めろ!!」
かつて、少年漫画で読んだセリフが頭によぎる。
とにかくやってみよう。納得がいくところまで。
2026年4月5日
通算5回目の店舗予選である。
この日は押した。もちろん素点は大事だがそれと同時に多少のリスクは押してでもリターンを取らなければ勝てない。
1回戦目は1着の+30.6
2回戦目は1着の+38.8
とすさまじく勝てた。+67.4と当然ながらボーダーよりはるか高い位置だ。2位が+61.3、3位が+38.9なので、正直ハコ下のラスを引いたとて、ボーダーより遥か上というところだった。
そして3回戦目。なんと、2位の方と同じ卓となった。さらに盤石である。
なぜなら、2人が軽く流したいと思っている状況だからである。1位と2位が共闘すれば安全に通過できる。山部さんのようにリスクを取らずに確実に最終決戦にコマを進ませるべきなのだ。
なので私は…
点棒を叩いた。
3回戦も1着の+34.2である。
…なんでだよ、言ってることがぜんぜん違うじゃねーか。
そう思った読者諸兄姉もいるかと思うがそうではない。もちろんオカルト的なトップを取って決勝に弾みをというのでもない。
2着の人がそこまで攻撃してくる可能性が低いのであれば、逆に攻撃がしやすいためだ。ハッキリ言って、この点数で出鼻をくじいてしまえば残り2人も、追いかけることが困難になる。そこで、先制攻撃をし、点棒をさらに重ねた5万点台にし、逃げ切ったのだ。
「良い流れ」とは、点棒の積み重ねによって、使える引き出しの数が増えている状態だと私は考える。
そして、圧倒的な3連勝で決勝卓を迎えた。
最強戦にはこんなジンクスがあるらしい。予選3回戦3トップを取ると決勝で負けてチケットが取れないと。
(まあ、麻雀は大体70%は2~4位なので、当たり前といえば当たり前だけども)
私も当然オーラス3位…。ジンクスが今のところ当たっている…。
オーラス、時間はあと2局分程度ある。
親が2位で、西家さんがトップ目。北家の対面さんは大分離れてのラス。
そして自分は南家の3位だった。
トップとの差は10300点くらい。マンツモでは届かない。5200直撃か、ハネツモ条件だ。
配牌にはドラはない…。狙える役はギリ3色? タンヤオも遠そうなので、現実的なのはリーチ3色ツモピンフ裏1…。きついぜ。
さらに現実は無情で両面待ちの方から埋まっていく。ピンフもキツくなる。
結局できたのは、57三色のカンチャン待ち。ダマで2600点、リーチして5200。ツモっても裏を2枚乗せないとトップになれない。
(これ、6筒を入れてからピンフつけて、フリテンリーチした方がまだマシじゃないか?)
そんなことを思った。概ね詰みである。そして16巡目。親のリーチがかかる。親は2着目で私より条件楽なので、おそらくあがれば終わりのリーチなはず。
(リー棒? これでハネツモ条件からマンガンツモに条件が変わったぞ?)
リーチをかけるべきか? 否か?
究極の2択に迫られた。
私は……
……………
リーチをかけなかった。
マンガンツモ条件なれど、カンチャンの6筒待ちと愚形。それよりも振り込みのリスクがでかい。それより、リー棒が出た状態でなんとか次局に回した方が可能性があるんじゃないか?
ということで、親がツモらないことと、自分が危険牌を掴まないことを願いつつ、2巡粘った。
流局──。
ラスの方を除く3人テンパイ…。親のリーチは悪系のリーのみだった。おそらくドラはほぼラスの方が吸収したため、全員大物手が育たなかったんだろう。
しかし、リー棒が出ての1本場。タイマーもなりラスト1局。条件はマンツモと緩和された。
手は前より速そうだ。が、ドラは字牌。タンピン系のリーチとは複合できない。
だが、先程と打って変わって手の進行が速かった。急所のカンチャンがズバズバと入り、7巡目には好形のタンピン両面待ちが出来上がった。
リーチ!
裏ドラか、一発なら条件を満たせる。
渋い顔をする2人。しかし、自分のリーチに対し一発を避けるため皆通った字牌などの安全牌を切り、一発消しができない。
残念ながら一発はなし。
しかし、3巡後……!
ツモ…。
恐る恐るドラをめくる。ドラ表示牌は3萬…
4萬は手牌に…いた!
(いたーーーーーーーー!)
リーチタンピンツモ裏1。2000、4000は2100、4100
リー棒を加えて、キッチリまくれた。
大きくため息が聞こえる。ついに取れたのだ。
チケットをいただき、震える手で電話番号等を記載した。
立会人のプロに
「最終戦、見ごたえのある皆さんレベルの高い闘いでしたね」
そうなのだ。対局した皆ギリギリの中で牌を選ぶ接戦だった。
自分も安易にあそこで三色カンチャンリーチをかけていたのなら、おそらく負けていただろう。
それでも粘り強く、勝てる状態までもって行けたのは、山部さんのあの闘牌を見たからであろう。
オーラス最後のギリギリでの行動。それを積み上げていくしか勝ちなどないのだ。
写真撮影も終え、南関東店舗予選は終了。

そして、帰りの総武線快速。peatixで午後の部と、後日の南関東予選をキャンセルしスマホを見た。その時新たな疑問が出る。
(そういや、どんな人が地方予選を突破するんだろう)
地方最強位と呼ばれる12の店舗予選を勝ち抜いた猛者たち。当然ながらいるわけである。ネットで検索すると、いくつかの記事が上がってきた。
最初に読んだのは、九州最強位のこの方。
自分にとって第三の男とも言える競技者イーソーブラックさんこと櫻井さんのnoteは、「関東店舗予選4会場最速クリア」という新たな目標につながっていくのである───
南関東店舗予選リザルト
予選参加回数5回
決勝通過回数3回
チケット獲得 達成
達成日/2026年4月5日

第二部・関東死闘編に続く
