【野球のトリセツ】「ロックアウト」って何? MLB2027年シーズンが消えるかもしれない話
今日も、今日とて野球の時間です。
「MLBがロックアウトするかもしれない」
最近こんなニュースを目にした方も多いと思います。
でも正直、「ロックアウトって何?」「ストライキと違うの?」というところでこれから起こりうる事態を想像できずじまいになってしまいませんかね。
今回はそこから丁寧に解きほぐしていきます。
ロックアウトは「オーナー側の攻撃」
まず押さえたいのは、ロックアウトを仕掛けるのは選手ではなくオーナー(球団側)だということ。
ストライキ=選手が「働きません」と止める
ロックアウト=球団が「働かせません」と締め出す
真逆なんですね。ロックアウトが発動すると、FAもトレードも全面凍結。
選手は球団の施設に入れず、トレーナーにも会えず、給料も止まります。
2021年MLB公式サイトから選手の写真が消えたのは苦い遺産です。
ではなぜオーナーは自分からビジネスを止めるのか。
理由はタイミングを握るためです。
選手会にシーズン終盤やプレーオフ直前でストライキを打たれたら、放映権収入が吹き飛ぶ。1994年がまさにそれで、ワールドシリーズが90年ぶりに中止になりました。だから先手を打って、失う試合がゼロのオフシーズンに止める。これがオーナー側のセオリーです。
12月1日、期限が来る
現行の労使協定(CBA)は2026年12月1日23時59分(米東部時間)に失効します。合意できなければ、その瞬間にロックアウト。
選手会の暫定トップも「覚悟しておけ」と各球団を回り、選手アンケートでは101人中80人が「ロックアウトになる」と答えています。
争点は「サラリーキャップ」
今回の対立は、金額の話ではありません。
仕組みそのものをめぐる争いです。
機構側:上限2億4,530万ドルのハードキャップ+下限1億7,120万ドル。収益は50/50で分配し、放映権も一元管理
選手会:キャップは断固拒否。下限だけ、若手の待遇改善、30歳以上は5年でFA
機構側の言い分は「ぜいたく税という罰金では戦力均衡は実現しなかった」。
大谷とドジャースの独走を見れば、その主張に頷くファンもいるでしょう。
スクーバルの移籍はこの論調を加速させるか?
一方の選手会が恐れているのは、一度キャップという「箱」を作られたら、次の交渉からは中身を削られること。NBAもNFLもその道を辿りました。
だから金額を上げても意味がない、という理屈です。
ESPNは両者の隔たりを「大きいのではなく、根本的」と表現しました。
それでも、決着の道はある
悲観的な話ばかりではありません。
現実的な着地点はいくつか見えています。
一番ありそうなのが、「キャップと呼ばない上限」。
ハードキャップを引っ込める代わりに、ぜいたく税の税率を100%超まで引き上げて、実質的に誰も超えられないラインを作る。
機構は戦力均衡の実を取り、選手会は「キャップは阻止した」と言える。
双方が勝利宣言できる、大人の解決策です。
あるいは、キャップを飲む代わりにFA取得を5年に短縮、最低年俸を大幅増といった対価を選手側が取りにいく形もありえます。
2027年は開幕するのか
前回のロックアウト(2021年12月〜2022年3月、99日間)は、開幕1週間の延期で162試合を守りきりました。今回も「12月に発動 → 冬は膠着 → キャンプが危うくなる2月末〜3月に急転直下」というのが、もっともありそうなコースだと思います。
ただ、前回と決定的に違うのは、選手側が「1シーズン失ってでも」と口にしていること。だからこそ1994年の悪夢が囁かれています。
直近の日本人選手の中でも鈴木誠也なども自身の契約問題と関連する形でMLB労使問題もどうなるか?というところもキャリア選択に絡んでくることでしょう。
また、今後NPBからメジャーを目指すにあたってはこのあたりの行方も各選手の思惑にも少なからず影響を与えてくるでしょう。
しかしながら、私たちファンにできることは多くありません。
ただ、この冬に流れてくるニュースが「誰が悪い」ではなく「何が争われているのか」で読めるようになれば、見え方は変わるはずです。
どうか、2027年の春に球音が鳴りますように。
なんとか世界最高峰の目指す舞台が両者納得のいく形で着地することを願うばかりです。
