【歌舞伎】できる女、雲の絶間姫「鳴神」(初春大歌舞伎 新橋演舞場)
※私の備忘を兼ねているためネタバレあります。写真は初日ですが、私が観たのは2日目です。
鷹之資さんの「鳴神」を観に初春の新橋演舞場へ。
「鳴神」は以前に一度観ているのだが… 今回改めて思ったのが、雲の絶間姫、仕事ができすぎる…😱
あらすじ
帝が約束を守らなかったことに憤った鳴神上人は龍神を滝壺に封じ込めてしまう。
雨が降らなくなり、困った朝廷側は雲の絶間姫という絶世の美女を上人の元に送り込む。
果たして姫は龍神を解き放つことができるのか?
音の響きに魅せられる
私がこの作品のどこが好きって、何よりもまず「なるかみ」「くものたえまひめ」という、その音の響き。
鳴神上人が元々は清廉で、龍神を封じ込めることができるほどの気高い高僧でありながら、心の奥に荒々しさを秘めていることがうかがえるし、
この場所が、人里離れた山奥であるという空間の広がり、加えて自然の荒々しさ、豊かさが感じられる。
龍神が封じ込められているという神秘的で幻想的な雰囲気まで漂ってくる。
なのに、描かれるのは、堕落し、怒りに狂う僧っていうね…
できる女、雲の絶間姫
それにしても、冒頭に書いたように、雲の絶間姫、仕事ができすぎではないですか?
まず、鳴神を色に迷わせようとするくらいなので、絶世の美女で色気がある。
しかも、山奥で獣さえ近寄らない険しい修行場に女ひとり、振袖でやってくる体力と気力がすごい。
色仕掛けの知力も素晴らしい。
加えて、お酒まで強いときたら、こりゃ、かなわんでしょ。
朝廷の人選が見事としか言えない。
そんな姫を演じる廣松さんがいい。
美しさにほんわりとした色気があり、気品と知性がそれらを彩る。
高僧なのに意外と人間くさい鳴神上人
鳴神はいままでひたすら修行だけしてきた分、あっさり姫の手に落ちる。
夫に先立たれ、夫の衣を洗いたいが雨が降らないので、水の枯れない滝を求めてここまで来た、という姫を最初怪しんでいたのに(いや、怪しすぎるでしょうよ…)、そのうち弟子にすると言い出し、最後は自分が現世に戻るって…ちょろいな。
お酒に酔ってあっけなく、龍神を逃がすすべまで教えるし。
姫の足を見て部屋から落ちたり、お腹が痛いというので懐に手を入れて「なんか柔らかいものが…」とか、それじゃあエロおやじと同じじゃないか!と笑えるんだけど、いいんでしょうか、お子様にお見せしても?
鳴神上人が堕ちていくさまが人間くさくて面白いのだが、
鷹之資さんの持ち味である純粋で澄んだ雰囲気が、鳴神上人を下品にしないのもいい感じ。
しかし、鷹之資さん、富十郎さんに似てきたね…
と急に近所のおばさん化する私。
大向うさんが連呼する「天王寺屋!」の掛け声に、ちょっと泣きそうになったよ。
公演情報
初春新春大歌舞伎 昼の部
新橋演舞場
歌舞伎十八番の内 鳴神(なるかみ)
鳴神上人:鷹之資(Bプロ)
雲の絶間姫:廣松

