マス・カスタマイズ化する建設サプライチェーン 14世紀以上続く伝統産業のテクノロジーによる構造変化
はじめに
「建設業を最適化し、人々を幸せに。」をミッションとする株式会社BALLASは、2026年4月15日にシリーズB・資金調達の完了を発表いたしました。2022年2月1日の創業以来、お取引先様をはじめとする多くのステークホルダーの皆様に支えていただきましたこと、心より感謝申し上げます。
外部環境の変化に伴い、14世紀以上続く建設業はいま、大きな構造変化の時を迎えています。課題が山積みな業界ではありますが、同時に人々の暮らしや先端技術のインフラとして無くてはならない産業でもあります。
本稿では「AI-powered Supply Chain Platform」であるBALLASのアプローチ、およびシリーズBを含む資本政策の考え方、今後の展望について記載いたします。これからのBALLASも何卒宜しくお願い致します。
株式会社BALLAS
代表取締役 木村 将之
1. 顕在化してきた建設業の構造課題
建設業は、世界で約17兆USドル、日本で約75兆円の超巨大産業であり、世界最古の企業・金剛組様が578年に創業してから1,448年続く超伝統産業です。この歴史ある建設業が時代の転換点にあります。
特に日本市場は、建設コストの高騰が著しく、戸建て住宅やマンション価格の高騰、あるいは複合施設の再開発計画が頓挫するなど人々の暮らしを脅かすほど課題が深刻化しています。
また、データセンター、物流施設、環境プラント、リニューアル物件などをはじめとして需要は旺盛ではあるものの、人手不足や事業承継を背景に、特に建物で使用する建設部材の供給者である製作工場数は減少している現状です。

このトレンドだけを見ると絶望的な状況にも思えます。その一方、先人たちが築いた長い歴史と高い技術を持ち合わせていることで、AIをはじめとするテクノロジーの適用余地が大きい産業でもあると捉えています。
2. 「AI-powered Supply Chain Platform」による構造変化
そもそもなぜ15年以上も潮流が変えられずに課題が深刻化しているのでしょうか。
根源的には建設業が一品一様の特注であることに起因していると我々は考えています。土地の大きさや用途が毎度変わることで、特注で属人の対応になりやすい性質があります。物件によって要件が違うため、最適な供給者も毎度異なり、仲介業者のネットワークを何重にも辿って受発注する多重請負構造になった結果が現在の状況に表れていると考えます。
一方で、属人化によって技術力のある職人さんが業界を支えてきたことも事実です。正に14世紀以上、積み重ねた人類の英知を保有されているため、熟練の職人さんが持つ技を形式知化して持続可能にする最後のチャンスでもあります。だからこそBALLASではデータをもとに取引を標準化し、効率的にカスタマイズ対応できるフラット構造をつくろうとしているのです。

3. マス・カスタマイズ化する建設サプライチェーン
これまでも業界としてただ手を拱いてきた訳ではなく、ハウスメーカーが主となり住宅の規格化を進めたこと、あるいは製品メーカーが2Dカタログ化して受発注を簡易化する動きなどの変遷を経て来ました。そして昨今では、技術的に3次元/4次元で情報が構造化しやすくなり、AIも組み合わさることでデータの取り扱いが加速度的に容易になっています。
よく建設業の新たな動きとして語られる、ユニット化、プレハブ化、フロントローディング、DfMAなどのキーワードも、設計、製造、施工などのデータを繋げることで実現されるものであり、大括りでは建設業の「製造業化」として捉えられると考えます。
その上で、建設業の特性である特注性に対応すべく、単なる製造業化に留まらないマス・カスタマイズ生産(マスプロダクション x カスタマイゼーション)へ昇華すること。これが未来の建設業であり、BALLASとして目指す世界になります。

BALLASにおいては、設計・購買プロセスデータをモジュールとして組み合わせることで、建設部材単位でのマス・カスタマイズ生産を実現しています。
具体的にはコーディングで可変な形に設計モデリングを行い、複数のプロジェクトに適用しながら半自動で作図すること。また、いちプロジェクトで使用した購買データも同様に複数のプロジェクトに適用しながら過去のナレッジを活かすこと。これにより、取引量が増加するほどQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)競争力も高まる仕組みをつくっています。

4. BALLASにおける資本政策の思想
上記のアプローチは論理上は正しく思えますが、実現していくのは簡単ではありません。業界関係者の多くの方々は前々から課題認識されて、部分的に改善活動をしてきたものの、構造的な課題であるが故に、組織や業界全体で足並みを揃えて改善するには高いハードルがあった次第です。
BALLASにおいてもキャズムを超えるには、より一層業界全体へネットワーク効果を広げる仕掛けが必要と考え、シリーズBでは事業会社・金融機関を母体とする投資家様を中心に協力体制を組ませていただきました。ご参画いただいた投資家様の有する強固な取引先基盤へのアクセス、ドメイン知見をもとにした協業を進める考えです。
より詳しくは投資家様との対談でもお話していますので、是非ご覧ください。
またシリーズAのエクステンションに引き続き、デットファイナンスを組み合わせることで、資本コストの抑制、資本効率の最適化にも努めて参りました。

5. 人類の創造的なリレーを駆け抜ける
BALLASのミッションである「建設業を最適化し、人々を幸せに。」の意味合いは、建設業全体を最適化することで、建設業に関わる人々、また建設物を利用する一般の人々を含めて、より幸せを享受できる社会にしていきたいとの想いが込められています。
建設業は人々に必要とされ、良い建設物をつくることで必ず役に立てる尊い産業です。また、その時代の暮らしや人々の考え方、文化が建設物として形に残り、次世代でのアイデアの起点となる人類の創造的なリレーのような業界でもあります。
私自身も実家は建築士である父が設計し、建物をつくる/つかう/リノベーションするプロセスを含めて多くのアイデアを想起することが出来ました。
建設業をテクノロジーの力でアップグレードし、業界構造、ひいては社会構造まで最適化していく。このワクワクする取り組みを、引き続き皆様と共に推進していけると大変嬉しく思います。
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