見出し画像

笹生実久Live in Seoulスペシャルレポート

多くのきっかけと転機を生み出した地、ソウルでの初ライブに込められた彼女の想いとは。

笹生実久 Live in Seoul スペシャルレポート
2024.8.24 Sat @Strange Fruit(seoul)

2023年にシティポップのカバーアルバムをリリースして新境地を見出した笹生実久。そんな彼女が、2024年夏に念願の韓国ライブを実現した。MCはすべて韓国語で通し、自身の曲の韓国語Ver.も披露。この日を迎えた彼女の想いが溢れ出したかのような一夜となった。


2024年8月24日、土曜の夜8時近く。韓国インディーズバンドの聖地とも言われるソウル市内の弘大(ホンデ)にあるライブハウスStrange Fruitのステージに笹生実久は立っていた。

このライブのために同行した板谷直樹(Ba)との音合わせを終えると、軽くギターを爪弾いていた笹生が突如、韓国語で会場に向かって挨拶をした。「昨日、日本から来ました。プルコギも食べたよ。韓国ライブは初めてですが、3月にこの公演が決まって、ついに歌うことができるのがとても嬉しいです」まさかの韓国語でのトークにどよめく会場。

いつものライブでも「言葉を伝えること」を大切にしているという彼女は、この日のためにコツコツと韓国語を身につけていたのだ。ちなみにこの日、笹生はその後のMCも一貫して韓国語で通していた。

1曲目に披露したのはオリジナル曲『ハロー』。デビュー当初に作られた曲だが、訪れる明日への想いを綴った歌詞に、新境地に挑み続ける彼女のスタンスがオーバーラップする。

韓国語MCからのシティポップで一体感に包まれた会場。

「昨年、日本でシティポップアルバムを出しました。その中から歌います」笹生が韓国語でそう伝えると、抱えていたギターを置いてカバーアルバム『tokyo city lights』からの曲を続けて披露。まずはキリンジの代表曲『エイリアンズ』。続いては竹内まりやの『プラスティック・ラブ』。「日本のシティポップは韓国でも人気ですか?」現地の観客にも語りかけながらMCは続く。「次は韓国人の友だちが好きな曲で、私がシティポップアルバムを作るきっかけになった曲です」と紹介しつつ『真夜中のドア〜Stay With Me』を歌い上げた。

ハスキーでありながらも柔らかな笹生の声と、板谷のベースが心地よく混ざり合い、浮遊感のあるシティポップサウンドが会場を包み込む。さらに「実久、ファイティン!」韓国語での声援があちこちから飛ぶと、笹生のテンションも上がりフロアの一体感がどんどん増していった。そんな盛り上がりの中、シティポップのカバーは具島直子の『Candy』でスタイリッシュに締めくくられた。

「今の自分なら伝えられる」大切な曲を韓国語でアレンジした理由。

「次は、自分のオリジナルを韓国語にアレンジした曲を聴いてください。翻訳はすごく難しかったけど、頑張って歌います!」そう宣言して韓国語の歌詞で披露したのは、キャリア初期にリリースされた『ぼくの恋人(나의연인)』。愛しい人との繋がり。かけがえのない温もり。生きていく中でいちばん大切にすべきものをテーマにやさしく歌い上げた曲だ。

「自身のオリジナルを韓国語で歌うなら、まずはこの曲だ」彼女の中で直感的に閃いたという。「かつて伝えられなかった言葉も、今の私なら伝えられる。デビュー当初の歌詞を今の自分の思いとして昇華させて伝えたい」翻訳という作業は、そんな彼女の今を具現化するための大きなツールとなった。

ピリオドでもあり、スタートラインにもなったステージに愛と感謝を込めて。

「去年は8回韓国に来ました。でもそれには理由があって。去年母が亡くなってしまい、日本にいると母との思い出ばかりが頭に浮かんで辛かった。でも、私は韓国に来ることでとても癒されたんです。なので今日は皆さんにありがとうを伝えたくて」彼女の思いに応えるかのように、会場には声援と拍手が響いた。

念願だった韓国ライブの締めくくりは、母のために作ったというオリジナル曲『new sky』。この日のライブは笹生にとって到達点であり、新たなスタートラインでもある。ラスト1曲には、そんな思いが込められているかのようだった。

「日本以外の人も楽しめるようなシティポップのカバーアルバムを作りたい」と思い付いたのもこの地。そのアルバムを完成させて「韓国でLiveをしたい」という思いまでも具現化された夜。そこには達成感に満ちた笹生の姿があった。

今、彼女は『tokyo city lights』の第2弾を制作中だ。このアルバムのリリース時には、韓国もツアー先に組み込みたいと考えているとのこと。再び、この地で彼女の歌声が聴ける日も遠くはなさそうだ。

Written by Backy☆OSAKA

左から笹生のサポートベースの板谷直樹と笹生実久、
対バンアーティストのウ・ジォンとサポートギタリストのキム・ジェワン

2024.8.24 Sun. 笹生実久 Live in Seoul @Strange Fruit
セットリスト】
1.  ハロー
2.  エイリアンズ
3.  プラスティック・ラブ
4.  真夜中のドア〜Stay With Me
5.  Candy
6.  ぼくの恋人(나의연인)
7.  new sky

いいなと思ったら応援しよう!