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銀杏BOYZと主婦

久しぶりにライブに行った。どうせ落ちるだろうけど記念に取るだけ取ってみるか~と開催日や時間もろくに見ないままチケットぴあで申し込み。
結果見事に当選し、よくよく見ると平日のど真ん中水曜日開催、17時半開場。保育園のお迎えは?翌日ヘロヘロで通勤出来る?など考えなければいけないことが多く、子育てで決断疲れしているわたしの目の前には迷いなくリセールの選択が現れた。チケットぴあのサイト内に、何らかの事情で行けなくなったライブのチケットを定価のまま売ることが出来るシステムがあるらしい。リセール開始期間とされるライブ1週間前に再度ぴあにアクセスしたが、リセールボタンが見当たらない。どうやらこのチケットはリセール不可とのこと。そうなると行くしかない。行くしかない、と言いつつも、育児中のわたしとスタンディングライブは対極に位置しているので、ジワジワと※ウテウテになりつつあった。
※嬉しい様子



整理番号104番。会場である住之江のゴリラホールはオールスタンディングのライブハウスらしい。調べると2階席もあり、同じくスタンディングではあるが視界も良好でゆったり見ることが出来るそう。とは言え会場のキャパは2000人程らしく、104番てもしかして3列目くらいまでに入れるんじゃないのか?と予想した通り、会場入りしたらステージ前は2列しか埋まってなかった。若い頃からあらゆるライブに足を運んできたが、こんなに良い整理番号が当たったことはなかった。いや、吉本新喜劇は最前列で見たことがある。同じライブでもちょっと違うか。そんな事を思いながら、3列目中央に行くか、2階に上がるか悩むところ。普段は夕飯の献立を悩んだりしているのに。完全なる非日常。わたしは今、完全なる非日常な決断を迫られている。若かりし日に行ったいつぞやのフェスで初めて拝んだ銀杏BOYZ、その時にモッシュやダイブでグッチャグチャになり、途中で将棋倒しみたいに崩れて男の下敷きになって潰される虫の気持ちを体験したことを思い出し、さすがにセンターで揉みくちゃになる勇気はないと判断。5列目辺りの壁際へ身を置くことにする。あの頃とは違いわたしは社会人でありお母さんである。明日からの生活を守るため肋骨を折る訳にはいかないし、男たちのダイブに顔面を蹴られる訳にもいかない。


開演までは1時間ほど時間がある。せっかくライブに来たのにスマホを触って時間を潰すのも癪だし、一人でぼーっと出来る時間なんてそうないので何もせずステージを眺めて待つことにする。贅沢な時間。子供といる時は、常に気を張っている。時短勤務とは言え、仕事を終え家に帰ってからが本職みたいな感覚なので、想像していた以上に休まる暇がない。子供が寝静まってからがゴールデンタイム、なんてよく言うが、疲れて何も出来ず20時過ぎに一緒に寝てしまうことの方が多い。圧倒的に多い。自分の時間なんてない、もはや夢幻である。こう言うと絶望的に思われるかもしれないけど、無限かけっこみたいな生活でも楽しくって幸せが勝るのは、やはり子供がいるからだ。子供に疲れて子供に癒される…などとじんわり温かい気持ちに浸っていると、斜め前あたりから視線を感じ、声をかけられる。
どうせ開演まで暇だし適当に喋る。相手も同じく揉みくちゃになりたくないから端に居るらしい。以前見た別のライブで、やはり前方センターは大変なことになっていたらしい。同じですね、怖いですよね、などと言ってる間に会話が途切れる。もう少し会話を盛り上げても良かったが、せっかくの一人時間だし辞めておいた。


暗転し、至る所から峯田ー!という叫び声が響く。いよいよ開演、というところで、さっきまでは前方から5mくらいの長さで隙間があったセンター付近は後ろから人が詰め寄せて一気に1mくらいに圧縮されている。こ、こえー。壁際で良かったと安堵すると同時に峯田和伸が登場。峯田和伸の存在を知ったのは15歳の春、あの日のことは一生忘れないと思う。学校が終わって夜の少し前の夕方辺り、近所のCD屋さんでGOING STEADYとセックス・ピストルズのアルバムを1枚ずつ買った。自転車での通学時、さくらの唄のCDを何度も何度も聴いた。あの頃はこんなに好きが続くとは思っていなかった、人生ってどうなるか分からない。わたしの人生に確実に影響を与えた男が目の前にいてヨダレをダラダラ垂らして歌っている。軽音部に入ってギターを買ってもらった学生時代のわたしと、子供が産まれて自分の時間がないと嘆くわたしが重なる。
始まってからのことはもうあまり覚えてないんだけど、2曲目辺りに昔の曲を演奏して、その瞬間に観客のテンションがMAXになったのを感じた。峯田和伸はギターを客席に投げる、マイクスタンドも投げる、人が飛ぶ、ダイブダイブダイブ!波みたいに人が詰め寄せて、壁際にいたのに人が揺れに揺れて、その衝撃で潰されそうになる。壁と人に挟まれそうになりながら、本当に2列目に行ってたら無事帰れなかったかもしれないなと思った。
峯田和伸含め体調不良者が続出したり、ライブであまり演奏しない佳代を演奏したり、伝説みたいなライブだったらしい。結局家に着いたのはいつも寝てる以上に遅い時間でヘロヘロにはなったんだけど、結果行って良かった。必要ないぜと思ってたツアーTシャツも購入。あれから毎日銀杏BOYZを聴きながら通勤している。

ふと思うこと、わたしが自由でいられるのは夫のおかげ。夫が許してくれなければ子供を見て貰えないからどこにも行けない。忙しい毎日では感謝の気持ちも忘れてしまうが、こうして我を通した時に改めて気付くことも多い。育児をしていると我慢することが当たり前になるけど、たまにはこうやって、母親であることも、社会人であることも、女であることさえも忘れて、生き物として楽しさを貪ることも必要なのかもしれない。

最後まで読んで頂き有難うございました。

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ババソノ コーラ

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