#8:子のDeparture ー おわり、つづく
こんにちは、ババかずおです。
マレーシアで働く妻、現地インター校に通う子を家族に持ち、居残り一人家長として日本で働きながら暮らしています。さて、Departureシリーズ#8は、その当日Arrivalゲートに到着するまでの様子を綴っていきます。Departureシリーズはこれで締めくくりとなります。それでは、最後までお付き合いください。
間もなくクアラルンプール国際空港に到着する。経由したチャンギ空港では3時間ほどトランジットがあったのだが、そこでちょっとした父子でのいざこざがあったもんだから、到着を前に気持ちが高ぶるどころか、機内は重苦しい空気に包まれている(のは私一人だ)。
買い物に時間をかける父
間もなく誕生日を迎える妻へのプレゼントに、免税店でレイバンのサングラスを物色していた時のこと。私はとにかく、買い物に時間をかける男である(決して「時間がかかる男」ではないということは言っておこう)。
近所のゼビオで普段履きのズボンを10種類以上試着し続け、30分以上試着室の一室を占領したことがあった。呆れた子は、その試着室のずっと向こうのキャンピングコーナーにあるアウトドアチェアに深々と身をうずめて待っていた。しかもそれだけ足を通しておいて、結局買ったのは足を通すこともない下着のTシャツだけだったんだから子の悪態も頷ける。
まあ、ゼビオにズボンを買いに行く時点で「こだわりがないんだから、何でもいいだろう」とお𠮟りを受けそうなわけだが、ゼビオであろうがユニクロであろうが、伊勢丹であろうが、GUCCIであろうが、本気で買い物しようと意気込むほど、時間をかけるものなのである。そして案の定時間をかけた場合、購入を見送ることがほとんどだ。要するに買い物に大切なのは恋愛にも通ずる直感的な出会いである。「何だ、結局は衝動買いの性分じゃないか」と言われてしまいそうだが、そうではない。
大いに脇道にそれてしまった。
チャンギ空港でも時間をかける父
チャンギ空港でも同じような場面があったのだ。プレゼント用にとっかえひっかえに妻に代わって自分で試着を繰り返していた。子は、きっとこの調子では父は何も買わないと思ったのだろう。無理はない。私は渾身の試着を経て至極の一本をチョイス。私は意気揚々と定員さんに「(片言英語で)妻へのプレゼントなんだ、へへ。ラッピングを頼むよ」と伝えた。すると定員さんは「(子の翻訳によって)こちらは男性向けのサイズなのでレンズが大きいかと。代わりに私がかけてみますのでちょっと見てくださいね」という。確かに、女性には大きすぎる。目鼻立ちが自慢の妻ではあるが、それにしてもデカい。その後、店員さんをモデルにして、店員さんお薦めのサングラスで即決。子はまたしても「お父さんの買い物癖」にうんざり顔であった。
ちなみに、そんな直前に誕生日プレゼントをその場しのぎで買うのではなく、日本で事前に準備すればよいではないか、といった正論なアドバイスはしかと受け止めたい。
まあ、そんな父子の些末な出来事はいずれは淡い思い出になるわけで。のど元過ぎれば熱さ忘れるどころか、事実こうしてNOTEのネタになるわけで。堂々と、父と子で選んだプレゼントとということで妻に渡せばよいだろう。そんなことをぼんやりと考えている間に、飛行機は着陸態勢に入る。
Avvival、そして再会
DJはフロアに熱を込め、オーディエンスをたぎらせ、時にクールな風を吹き込むように、パッションを込めてターンテーブルを回し続ける。クアラルンプール国際空港のArrivalゲート手前では、乗客の思い出、期待、時に切なさを乗せて、ターンテーブルは手荒に回り続ける。待つ気持ちが強いほど、手荷物はなかなか現れない。1つ、2つ、そして3つと預けたスーツケースを揃え、いよいよArrivalゲートに向かう父と子。
「あ、お母さん」
「おーい」
「いらっしゃい」
よくあるArrivalゲートのワンシーンが、私たちのものになる。
ようやく訪れた再会の時、私たち家族の次のチャプターのページをめくる音がした。
マレーシアで働く決意をした妻が一人飛び立ち、その後の日本に残る父子による2か月ばかりの生活を振り返ったDepartureシリーズは締めくくりとなります。その後も引き続き「マレーシアで働く妻、そして学ぶ子」として山あり谷あり、笑いあり涙あり、妻のタフネスさ、もろさ、明るさといろいろな面を発揮しながら、私たち家族はその次のチャプターの旅路の途中です。
今度からは、マレーシアでの生活での出来事や、妻から見聞きしたり、滞在中にプチ経験したことなどを、私の視点を通じで発信していきたいと思います。
それでは、次のNOTEで
ーババ かずおー
