眠れない羊【手のひらの物語・掌編・詩】
寝つきの悪い羊は
夜遅くまで
ひつじの数を数えます
寝入ることができるのは
たいていは朝方で
それから
短い夢を見るのです
どんな夢だったか
覚えちゃいません
いつだって
目蓋をひらくと同時に
消え失せてしまうから
まるで
手のひらでとける
泡雪のように
人生なんて
そんなもの
不眠症気味の羊は
そう思うことにしています
それが眠れぬ夜から学んだ
教訓のひとつだから
寝つきの悪い羊は
きょうもぼんやり
朝を迎えます
ひつじの数を数えながら
そうしてまた
短い夢を見るのです
けっして記憶に残ることのない
まぼろしを
