炎天下、奈良の町を歩いていたら、瓦屋根の上に牛がいて、とうとう熱中症にやられてしまったかなと思ったというお話
テネシー・ウィリアムズの戯曲〝熱いトタン屋根の猫(Cat on a Hot Tin Roof)〟をご存じでしょうか?1955年にニューヨークで初演され、ピューリッツァー賞を受賞した作品です。
1958年にはリチャード・ブルックス監督が、エリザベス・テイラーとポール・ニューマンのW主演で映画化し、人間の心に渦巻く欲望と愛憎を濃密に描きだしました。アカデミー賞では6部門にノミネートされ、残念ながら受賞は逃しましたが、たいへん観ごたえのある作品だと思います。

〝cat on a hot tin roof〟という言葉には、熱いブリキ屋根の上の猫のように落ちつきがないという意味があるそうですが、きのう奈良を散策していて偶然出会った〝熱い瓦屋根の上の牛〟には、堂々とした風格がありました。
そもそも住宅街の瓦屋根の上に牛がいるってことが、かなりシュールな状況なのですが、牛自身はそんなことお構いなしといった風情で、とっても落ち着き払っていらっしゃいました。
恐るおそる敷地内に足を踏み入れてみると、屋根の下は牛舎でした。

この植村牧場は近鉄奈良駅から約2キロの場所にあり、県下で最も古い牧場なのだそうです。創業は明治16年。いまではすっかり、周りを民家に取り囲まれてしまっていますが、それでもおおよそ30頭ほどの、牛やヤギやヒツジを飼育されているみたいです
敷地内の売店では、新鮮な牛乳やコーヒー牛乳、最中アイスなどが売られていました。あれこれ迷いましたが、見るからに美味しそうな、こだわりのソフトクリームをいただきました。
牧場ならではのコクのある濃厚な味わいだったのですが、あまりの暑さに早々溶けはじめ、両手がベトベトになってしまいました。

植村牧場のすぐそばには、般若寺というお寺がありました。このお寺は〝コスモス寺〟とも呼ばれ、秋には約15万本のコスモスが境内を覆いつくすそうです。コスモスだけでなく、春は山吹、初夏は紫陽花、冬は水仙と、季節ごとにいろんな花が庭を彩るようです。
わざわざこんな猛暑の日ではなく、少し時期をずらして散策すれば良かったなぁと、反省しきりのきょうこのごろ・・・というお話でした。
―おしまい―
