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下野星宮神社のモグラ - 2024/11/17、2025/11/16 -

はじめに

大変貴重なアルビノのアズマモグラが発見された『下野星宮神社』を訪ねたときのお話です。
神社ではアルビノのアズマモグラの剥製が公開されており、ぜひこの目で見てみたいと思いました。
公開日は一定ではないようなので、行く前に事前確認するとよいと思います。

今回の記事は、2年にわたる内容になります。
文章中には、年が変わる部分などがあります。

本記事に出てくるアズマモグラとそのレプリカの写真は、星宮神社様に許可をいただいたうえで撮影・掲載しています。
写真撮影の際は、必ず神社にご確認ください。

本記事には、剥製の画像・記述が含まれます。

モグラ塚や坑道の写真撮影は、自然に配慮し、通路上から行っています。


下野星宮神社とは?

『下野星宮神社』は、大同2年(807年)に開拓守護神として磐裂神・根裂神をお祀りしたのが始まりと伝えられている、歴史ある神社です。
最寄駅は、JR東北本線(宇都宮線)の石橋駅です。

<<石橋駅前>>
<<石橋駅周辺地図>>

祭神:磐裂神・根裂神 經津主神

下野星宮神社では、金モグラの「こがねくん」のオリジナル御朱印がとてもかわいらしく、季節ごとに絵柄が変わるので、集めたくなってしまいます。
また、とても珍しいモグラのお守りもいただけます。
気になる方は、公式ホームページをご確認ください。

<<幸運のもぐら守>>

幸運のもぐら守は、押すと「ピュー」という音が鳴ります。

- 2024/11/17 -

徒歩で下野星宮神社に向かう途中には、農道があります。
とある家のそばには、モグラが開けたと思われる穴がいくつかありました。

<<農道のモグラ坑道?>>

農道と畑の間に、ハタネズミと思われる亡骸がありました。
当時は、死体を見てしまったこと自体に抵抗があり、どこか避けるべきもののように感じていました。
ですが、『標本バカ』や『気がつけば動物学者三代』を読んでからは、そこに「自然を知る手がかり」があるのだと考えるようになりました。
そのため、記録として写真に残しておいてもよかったのかもしれないと、今では思います。

こちらの画像は、本殿横の小道にあった坑道です。

<<モグラの坑道跡>>

境内には、たくさんのモグラ塚や穴があり、多くのアズマモグラが暮らしているようでした。
神社の周りは雑木林で囲まれていますが、アズマモグラなら多少木の根が多い場所でも暮らしていけるのかもしれません。

まずは、発見当時のアルビノのアズマモグラを再現したレプリカです。

<<アズマモグラのレプリカ(真上)>>
<<アズマモグラのレプリカ(正面)>>
<<アズマモグラのレプリカ(側面)>>

レプリカは『有限会社ティーアンドティー』様が作成されました。さまざまな博物館の模型を制作されている会社で、国立科学博物館 特別展「植物 地球を支える仲間たち」のミジンコウキクサの拡大模型も作成された実績があるそうです。

すごい完成度です!
今にも、もそもそと動き出しそうです。
顔周りのひげも再現されていますね。
亡くなった個体のレプリカのためか、鼻先は土気色になっており、生気が感じられません。

むっちりとした身体を見ると、生きていればさぞ可愛らしい子だっただろうなと思います。

アズマモグラのアルビノ個体とご対面

いよいよ、念願のアズマモグラさんにご対面です。
このアズマモグラを調査したのは、なんと川田伸一郎先生でした。
剥製と一緒に、当時、川田先生が調査したときの記事も公開されていました。

「国立科学博物館ではアルビノもぐらのDNA検査は初とのこと」と記載がありました。
骨格は国立科学博物館に寄贈されたそうです。

<<下野星宮神社 アズマモグラ アルビノの剥製>>
<<下野星宮神社 アズマモグラ アルビノの剥製>>
<<比較:国立科学博物館 アズマモグラの剥製>>

毛皮はふわふわですが、レプリカに比べると、剥製の毛色はより淡いクリーム色に見えました。
標本は時間の経過や保存環境によって色調が変わることもあるため、その影響もあるのかもしれません。

比較用の国立科学博物館の標本も、元気なアズマモグラの毛色に比べると、かなり薄い色です。
また、ベルベットのような艶やかさはなくなっています。
もし元気なときに観察できていれば、さぞ艶やかな黄色の毛色だったことでしょう。

生息地域から見てもアズマモグラと考えられますが、国立科学博物館で公開されている各種標本と見比べても、体つきはほかのアズマモグラの標本に近いように見えました。

全体的にぺたんとなってしまっていますが、これは仮剥製標本のようです。仮剥製標本は、毛皮を剥がした後に毛皮の内側へ防腐剤を塗り、わたを詰めるそうです。*1

仮剥製標本と本剥製標本
仮剥製標本は主に鳥類や哺乳類で用いられる方法で、一目でその動物の特徴がわかるように、また比較検討がしやすいように作られた剥製です。「仮」とついていても「仮で作った」という意味ではなく、あくまで展示用の剥製との比較でつけられた名前です。またスペースも節約できるので数を保存するのにも適しています。後述の本剥製と比較して劣るというものではなく、本剥製も仮剥製も大事な標本であることに価値の差はありません。

2024年09月02日, 富山市科学博物館,
脊椎動物の標本,
URL: https://www.tsm.toyama.toyama.jp/?tid=103353 (参照2026-03-07)

次に、標本の足に取り付けられているタグに注目してみましょう。

<<下野星宮神社 アズマモグラ アルビノの剥製>>
<<比較:国立科学博物館 エチゴモグラの剥製>>

このタグは、国立科学博物館のタグでしょうか。
国立科学博物館で管理されている剥製には、この「NSMT-M」欄にオリジナルの番号が振られて管理されています。*2
どうやら、タグのデザインは年代によって違うようです。

この剥製は博物館の管理下にはないので、番号は空欄になっていますね。

こちらの番号は国立科学博物館の旧英名National Science Museum, Tokyoの頭文字と、哺乳類を意味するMammalのMを取って、NSMT-Mの略号を用いて番号が付けられている。

川田伸一郎(2020) . 『標本バカ』 . 株式会社ブックマン . P174

このタグと星宮神社の公式サイトの情報を整理すると、2017年11月12日、秋の例大祭前日に発見されたということです。
発見者は、新聞では宮司様の奥様となっており、タグには宮司様のお名前が入っています。
アズマモグラの性別はオスとのことです。

骨格標本の歯を見ることができれば、若い個体かどうかがわかると思われます。
モグラの年齢診断は、歯の磨耗の具合で確認することができるそうです。

【最期の参拝だったのか…参道にオレンジ色モグラ】
https://hoshinomiya-jinjya.com/site/wp-content/uploads/2018/08/62864-338x600.jpg

星宮神社 写真切り抜き画像のURL

新聞の情報では、20年間でアルビノのモグラが発見されたのは2、3例とのことで、とても珍しい発見だということがわかります。

『モグラ ー見えないものへの探究心ー』の「コラム ゴルフ場のモグラ」では、全身が白色の毛色をもつコウベモグラのアルビノ個体について紹介されています。*3

次は、前脚に注目してみましょう。
仮剥製標本を作成する際には、ひじやひざの関節でうまく胴体を外すそうです。
そのため、前脚と後脚、そして尻尾は、毛皮と一緒に仮剥製標本に残ります。

<<下野星宮神社 アズマモグラ アルビノの剥製>>
<<下野星宮神社 アズマモグラ アルビノの剥製>>

前脚の爪は、片手で5本あります。
きれいに鋭く、長く伸びています。
たまに動画で見るモグラたちの中には、爪が折れてけがをしている個体もいたので、この個体はとてもきれいな爪だと思いました。

『モグラ ハンドブック』によると、アズマモグラの手掌長は、爪を含めると21〜24 mm、幅は17〜18 mm、爪を含まない長さは17〜18 mmとあります。*4
したがって、前脚全体の20〜25%は爪ということになりますね。

こんなに小さな前脚で掘削しているのですから、モグラの力はすごいものだと感心します。

『下野星宮神社』の境内には、モグラが生息している痕跡がたくさんありました。
下記は、坑道が崩落したと思われる穴です。
境内裏のあすなろ龍神御柱に下りる階段付近で撮影しました。

<<アズマモグラの坑道>>
<<アズマモグラの坑道>>

2024年の話はここまでです。次は、2025年の話になります。

2025/11/16

前年にいただいたお守りを返すために、再度『下野星宮神社』に伺いました。
幸運のもぐら守がかわいくて、新しいお守りがいただけなかったら、もう一度持って帰ろうかと思うほどお気に入りのお守りでした。
今年も新しいお守りを無事にいただくことができました。

『下野星宮神社』のアズマモグラたちは、今年も元気そうです。
1年ぶりに訪れると、去年と同じ場所に、今年も坑道の痕跡がありました。
ただし、モグラ塚の状態は少し違っていて、前年ほどくっきりした盛り上がりではなく、乾いて崩れかけていました。
同じ場所でも、季節や時期で見え方が変わるのが面白いところです。

下記の写真は、去年と同じく本殿横の小道に残っていた坑道の形跡です。

<<去年と同じ場所の坑道>>
<<あすなろ龍神御柱 付近>>
<<乾いてモグラ塚(小)>>

モグラたちは、主がいなくなった坑道を再利用することもあるそうです。
もしかすると、神社という環境は人間によって維持されており、大きな土木工事なども少ないため、長いあいだ同じ場所の坑道が再利用されている可能性もあるのかもしれません。

坑道の再利用については、本か何かで読んだ記憶があるのですが、出典を忘れてしまいました……。
4〜8年ほど連続して同じ場所に坑道跡が見られれば、坑道が再利用されている可能性を示す材料にはなりそうです。

<<境内のイチョウ>>

境内の真ん中にある大きなイチョウの木は、鮮やかな黄色に染まっていました。
お星様になったアルビノのアズマモグラくんも、きっと神様のもとで穴掘りをしていることでしょう。


〜おまけ〜

私は、基本的に神社やお寺の境内では写真を撮らないようにしています。
理由は2つあります。

ひとつは、「営利目的の撮影・利用は原則禁止」としている建物があり、これはお寺や有名なランドマークに多いです。
非営利かつ個人利用の場合は問題になることはないはずですが、少し気にしています。

もうひとつは、迷信ではありますが……、映ってはいけないものが映ったら怖いからです😱

触らぬ神と著作権に祟りなし

しかし、最近は神社構内でモグラ塚を見つけたら、「モグラ塚の写真を撮らせてください!(撮らせていただきました!)」とお祈りして、写真を撮っています🙏

さて、話は長くなりましたが、実は2024年は10月と11月の2回、下野星宮神社に伺っていました。
その際に、多くのモグラ塚と坑道跡の写真を撮らせていただきました。
そう、撮ったはずなのですが。

境内の写真がほとんどないのです。
残っていたのは、上記で載せた写真だけでした。

……。

はは、きっとiPhoneの調子が悪かったのでしょう。
もう3年も使っているものですし。
もしくは、写真を撮ったと思い違いをしていたのかもしれません。
1年以上も前のことですしね。

2025年11月に伺ったときの写真は特に問題なかったので、今回記事にすることにしました。

ただ、改めて公共の場で写真を撮るときは、マナーを守って、くれぐれも注意しようと思いました。

写真は思ったほど残っていませんでしたが、そのぶん、境内の天気や空気、足元の土の状態はよく覚えています。
写真に頼るだけでなく、ノートに記録することも大切なのだと思いました。
また季節を変えて訪れ、次はモグラたちの気配をもう少し上手に記録できたらと思います。


<参考文献>

*1 川田伸一郎(2019) . 『はじめまして モグラくん』 . 株式会社 少年写真新聞社 . P116
*3 川田伸一郎(2010) . 『モグラ ー見えないものへの探究心ー』 . 東海大学出版会 . P15
*4 飯島正広/土屋公幸(2015) . 『モグラ ハンドブック』 . 文一総合出版 . P72-73

<引用文献>

*2 川田伸一郎(2020) . 『標本バカ』 . 株式会社ブックマン . P174

富山市科学博物館. "脊椎動物の標本". 2024年09月02日. https://www.tsm.toyama.toyama.jp/?tid=103353 (参照2026-03-07)

<参考サイト>


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