なんで結婚しなかったの案件【アラフィフぜんぜんキラキラしてない Vol.2】
「もう今更いいよねえ、結婚とか」
結構な衝撃だったので覚えている。
40代に足を踏み入れてすぐのことだったと思う。
ふたつ年上の従姉が結婚するというので、めんどくさいなあ、と思いながら片道3時間ちょいを掛けて実家へ帰った。
アラフォー女の結婚式にアラフォー独女が参加するわけである。
今更出会いも求めてないし、そもそも親族の結婚式で相手を探すなんて事前も事後も面倒くさすぎる。
私の実家はいわゆる面倒なしがらみに絡みつかれるタイプの田舎ではないけれど、面倒なしがらみを親世代に持つ年齢ではある。
油分と脂肪分で潤った、着飾ることも彩ることも労わることも億劫な女にとって、自分をきれいに整えて(自分が主役でないにしたってマナーとして)公の場に立つことの面倒くささと同じくらい、あの言葉が面倒くさいのだ。
結婚しないの。
うるせえ、できるならしとるわ。
とは言えない。だって公の場だもの。
幸い戦後生まれの父はそういう点においては寛容というか無関心というか、「別にお前が独身でいようが結婚しようが同性とパートナーになろうが、犯罪に手を染めなければなんでもいい」というタイプの人なのでありがたい。
厄介なのは女性陣だ。
母を筆頭に父の姉妹、父の兄弟の配偶者、そしてその娘たち。
「結婚しないの、って言われたら黙っててええかな……」
「ええよ」
父はこの調子である。大変にありがたい。
さすがは私の犬猿の仲の親族の葬儀を、「俺が話を付けておく」と言って出席せずにすませてくれただけはある。
無礼であることは重々承知だが、その辺きちんと片を付けてくれる頼りになる人だ。
とはいえ、仮にそういわれたところで帰っていいわけはない。
憂鬱だ……と頭を抱えて参列した結婚式、かなり警戒心バリバリで挑んだ際に言われたのが冒頭の言葉だ。
あきらめの顔。半笑い。
ああ、この人たちもあきらめてくれたのか、と思った。
そもそも結婚、向いてないし。
いわゆる「推し」であるところの配信者がいつも言う。
「自分は絶対に結婚しない」と。
彼は私よりすこし年齢が下で、男性である。
そういう点ではちょっぴり、外圧は低いんじゃないかとは思うけれど、アラフォーにもなればプレッシャーはあるだろう。
それでも「絶対しない」「できない」と言い切るすがすがしさがとても良い。
そんな彼の、「人と住むなんて絶対考えられない」というその言い分に大いに頷いてしまった。
結婚をする人、できる人のすごさはそこだと思う。
だって結婚したら、ほぼほぼ一緒に住むでしょう。
そうしたら居住空間が、生活が、人生がはんぶんでひとつになるでしょう。
「できる」人はきっとそうは考えない。
はんぶんになるのではなく、倍になるという感覚が近いんだと思う。
でも私ははんぶんだ、と思ってしまう。
その「欠け」に耐え切れないと思うのだ。
だって私の理想のタイプはブラウニーだから。
理想的すぎる。
「他人と住む」というこの最初のハードルを越えられる相手がいない限り結婚もパートナーとの同棲も無理だわ!となる。
おかげさまでずいぶん楽になりまして。
そんなだから「どんな人がいいの」と言われても「ブラウニー……」と答えるわけにもいかず、大学を卒業してから40代に突入するまで、「早く結婚しないと」には散々悩まされてきた。
面白いのは、40を超えて入籍した60代の方も、離婚をされた方も、不倫をされた人もした人も、同じように言うのである。
これに関してはなんでやん、と言わざるを得ない。
まるで中学の部活みたいだと思う。最近はそんなことないと思うけど。
自分が先輩にいびられたから私たちも後輩をいびる! これは伝統! みたいなやつだな、と。
それが、ある時を境に、ぱったりとなくなった。
周りもあきらめてくれたんだなあ、と思えてほっとした。
一人でも楽しそうでいいじゃない、生きているだけでいいじゃない、と言ってくれる人ばかりになって来た。
そうすると今度は独身を称える人が出てくる。
それはそれで厄介。
私はあくまで「結婚しなかった」のではなく「できなかった」人間だということを忘れないでいただきたいのに、なんか崇高な思想や意識をもって「結婚しなかったなんてすごい」って思われるのはまっぴらごめんなのだ。
独りは気楽でいいよ。
でも独りでいることの不安やプレッシャーもえぐいよ。
あと本当に私は「しない方」を選んだんじゃなくて「できないやつ」に選ばれちゃっただけなんだよ。本当にそれだけ。
なんで、って言われると「できなかったんだようるさいな」としか答えようがない結婚問題。
どっちを選んだところで悩みは不安は尽きないでしょうし。
お互い、つぶれない程度に頑張っていきましょうね。
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