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なぜ私は350万字の大長編小説を書いてしまうのか──私の創作プロセス

こんにちは、まきの遊夢です。
長編小説「終焉の雫〜Larmes du Ciel〜」を執筆しています。

先日、Kindle版・第一部Vol.2をリリースしました!

(Vol.1はこちら)

Vol.2の表紙は主人公のひとり・レオナールと親友ジャンの思い出の酒場シーン。

帝国軍が圧倒的な力を見せる北国フィジテールでの戦いから、賑やかな武芸大会へと場面転換してゆきます。

この巻の中盤までは比較的ライトに(※当社比)物語が進みます。

……が、最後にはしっかり読者の心を叩き潰し、表紙の意味に立ち返ったとき、少し愕然としていただく仕様になっています。

覚悟の上、ぜひお求めいただければ嬉しいです!

さて、この「終焉の雫」ですが、
Vol.1・Vol.2はいずれも20万字前後という
なかなかの分量になっており、それが第一部だけで4〜5巻になる予定です。

さらにその先の第二部もかなり書き進めていて、ふと計算してみたところ、現時点で約350万字ほど書いていることがわかりました……。

書こうと思って書いているというより、気づいたらここまで来てしまった、という感覚に近く、正直「どうしてこうなるんだろう?」と自分でも不思議です。

今回は、
「なぜ私は勝手に大長編を書いてしまうのか」
その構造を、自分なりに整理してみようと思います。



1. ひらめきは映画やゲームなどの“空気”から

小説を書く時、言葉や設定から組み立てていく方も多いそうですが、私の場合は逆です。

先に浮かぶのは、絵、雰囲気、空気感。

そのため、一番のインプット源になるのは映画やゲーム、そして人生経験です。

もちろん文学からも影響は受けていますが、どのみち一度脳内で「映像」を作り、それを文章に再生成している感覚です。

たとえば、映画のあるシーンで感情が大きく揺さぶられると、私の脳内では
「この感情は、別の状況ではどう使えるだろう?」
という連想が始まり、まったく別のシーンが立ち上がってきます。

キャラは、あとからそこに当てはめることもあれば、すでに存在しているキャラが勝手に入り込んでくることもあります。


2. 設定や名前より先に、人格ができる

このように「雰囲気」から始まるため、設定は基本的に後付けです。
シーンがある程度固まってくると、次に考えるのはこういうことです。

・このキャラは、なぜこう考えるのか
・過去に何があって、この言動に至ったのか

そうやって深掘りしていくと、キャラの人生が勝手に枝分かれし、気づけばキャラが増殖していきます。

すると今度は、
・この二人は衝突しそうだ
・ここでは協力するかもしれない
・これは恨みに変わりそう
・いや、恋に落ちる可能性もある

と、人間関係が自然と組み上がっていきます。

キャラ同士の関係性が固まるにつれ、そこに至る歴史や社会背景も、後ろから押し出されるように形を取っていきます。

ここで、ようやく設定が必要になります。


3. 世界観を一本にまとめる

この段階では、バラバラの世界や人間関係が点在している状態です。
それらが矛盾しないよう、一本の世界観として繋ぎ直していきます。

難しいですが、個人的にはこの作業が一番楽しいところでもあります。

たとえば「終焉の雫」では、思考はこんなふうに連鎖していきました。

「ヴィクトールはなぜ苦しんでいる?」
 ↓
「人と違う存在として扱われてきたから」
 ↓
「なぜ違う? 魔族の血を引いているから」
 ↓
「それを彼はどう受け止める?」
 ↓
「差別を覆そうとするのでは?」
 ↓
「そのために戦争を起こすのでは?」
 ↓
「彼の敵には、極端な差別主義者エクラヴワ大王を置こう」
 ↓
「差別を嫌う正義漢レオナールをその息子として配置したら皮肉になる」

こうして、問いが問いを呼び、物語が自己増殖していきます。


4. 個々のキャラを徹底的に掘る

キャラが出揃ってきた段階で、一人ひとりをさらに細かく掘り下げます。

たとえば、
・魔族とのハーフで魔力が強い
・しかし自分の出自に強いコンプレックスがある
・その結果、人を疑う癖がついた

といった具合に、性格・行動・矛盾を積み重ねていきます。

この作業は非常に時間がかかりますが、物語を書くこと以上に「人生を観察している」感覚があり、驚くほど楽しい工程でもあります。


5. プロットは“制御装置”

ここまで来ると、キャラは私の意思とは関係なく動き始めます。
そのため、最低限のプロットで制御しないと物語が暴走します(笑)。

ただし、細かいプロットは作りません。

物語全体の大きな流れだけを頭に置き、数話〜十数話をひとつのエピソードとしてまとめます。

【終焉の雫 全体】
└─ 第一部
 ├─ I-01 プロローグ(エピソードA)
 │ ├─ 第1話
 │ ├─ 第2話
 │ ├─ 第3話
 ├─ I-02 混沌の始まり編(エピソードB)
 │ ├─ 第4話
 │ └─ …
 └─ I-03 不穏な海の街編(エピソードC)
 │ ├─ …
 │ └─ …

一つのエピソードの中に起承転結があり、それが集まって一部になり、さらに全体の物語を形作っていくのです。

【エピソード(例):武芸大会編】

├ 帝国の思惑
│ └ フェルブル共和国と手を組みたい


├ アクティリオンの目的
│ ├ 大会に参加
│ ├ 強くなりたい
│ └ 鍛錬し、順調に勝ち進む


├ 別勢力の介入
│ └事態が絡み合い、混沌化


└ とある悲劇へ収束

「終焉の雫」は、こうしたエピソードを積み重ね、さらにそれを大きな物語の中に収めるフラクタル(入れ子)構造になっています。


6.まとめ

キャラ一人ひとりの人生を織り込みながら、このようにいくつものエピソードを重ねていった結果、第一部だけで74万字を超える物語になりました。

もちろん、ただ広げるだけではなく「どう終わらせるか」も見据えながら書いています。

読む人を選ぶ作品ではありますが、NOVEL DAYSでは第一部完結後も少しずつ読み続けてくださる方がいて、とてもありがたく感じています!

こちらでは荒削りだった物語を、Kindle版ではブラッシュアップし直し、挿絵や設定図も加えて読みやすくしています。

また、カクヨムやPixivでも一部分を連載しています。

終焉の雫 〜Larmes du Ciel〜<第一部>(まきの遊夢(Makino Ayume)) - カクヨム

「終焉の雫~Larmes du Ciel~<第一部>」/「まきの遊夢」のシリーズ [pixiv]

片手間で読める物語ではありませんが、じっくりと末永くお付き合いくださる読者様と出会えることを心から楽しみにしております!



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