見出し画像

行政書士試験のための個人情報保護法③目的規定

こんにちは。行政書士の鮎です。個人情報保護士としての知識の復習を兼ねて、行政書士試験に出そうなところを不定期にご紹介しています。

第三回、目的規定のお話です。

OECD8原則の回でお話しした通り、個人情報保護法の目的は第1条にある通り、

個人情報の有用性に配慮しつつ
個人の権利利益を保護すること

であり、OECD8原則の目的を踏襲しています。
感覚的に「個人の権利利益の保護」が先行してしまうかもしれませんが、「個人情報の有用性への配慮」についても目的になっていることにご注意ください。

個人情報の有用性

個人情報の有用性については、「個人関連情報」を見てみましょう。

例えば、あなたがECサイトで美容液を検索すると、サイトはCookie IDに紐づけて「40代・女性・○○の美容液を検索した」という履歴を記録します。このCookie ID自体は氏名や住所と結びついておらず、サイト運営者にも「誰か」までは分かりません。

この情報が漏れたとして、「あなた」の個人情報が漏れたと言えるでしょうか。一方で、本人が誰か分からなくても「このCookie IDの人は美容液に関心がある」と分かれば、広告に使えます。個人を特定しないまま、属性・行動データとして活用できる、これが個人関連情報の有用性です。

個人関連情報:
生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの

先ほどの例は個人関連情報と整理され、個人情報そのものとは異なる、より自由度の高い規律のもとで流通させることができます。

個人に関わる情報は、本人が誰か分からない形のままでも産業に活用できる余地があるのです。個人情報の有用性と個人の権利利益の保護の境界線を定めているのが、個人情報保護法の一側面です。

プライバシー権との関係

「個人情報保護法においてプライバシー権は保護法益ではない」

⇨○

というような問題を見たことがありませんか?


ツッコミませんでしたか?

「プライバシーこそ法律で守ってほしいのに、守られないってどういうこと???」

安心してください。プライバシー権はちゃんとこの法律で守られています。

ただし、ここでの「守られている」は、法律を直接の根拠として特定の人のプライバシー侵害を罰したり、損害賠償を請求できるという意味ではありません。

例えば、ある事業者があなたの個人情報を無断で第三者に売ったとします。

このとき、個人情報保護法そのものを根拠にあなたが直接損害賠償を請求できるわけではありません。

しかし、この法律は事業者に対して、目的外利用の禁止や第三者提供の制限といった義務を課しています。事業者がこの義務を守ることで、結果としてあなたのプライバシーが侵害されにくい状態が保たれる、これがこの法律の「守り方」です。

あくまで、自分の情報を「コントロール」する権利を保護したり、個人情報を扱う事業者を取締ることで、結果としてプライバシーを守るのがこの法律の目的であり、だからこそ先の試験問題は○が正解とされるのです。


いいなと思ったら応援しよう!