イブニングケアミュージカル
最近職場ではまっていること。
それは、イブニングケアミュージカルです。
聞いたことがない方もいらっしゃると思いますが、きっとそうだと思います。私自身も聞いたことがなく、おそらく誰もしていないジャンルを切り開いていっている気がしてなりません。
完全オリジナル曲で、その名の通りミュージカル風に歌詞をつけて歌いながら利用者のイブニングケアを行っていくのですが、これがめちゃくちゃ楽しい。
普通にケアをするのも悪くはないのですが、それは利用者にとっては毎日毎晩の代わり映えのないこと。なかなかテレビのあるお部屋から居室へ行こうとなさらなかったり、日によってあまりケアに乗り気ではない日もあったりします。人間だから仕方ありません。
介護職員からすれば、ふたり体制の夜勤。ひとり8~9名の就寝前のケア(排泄・更衣・口腔など)をそれぞれに抱えているため、なるべくお一人にかけるケアをスムーズに実施して次の方へと移っていきたいのが本音。
夕食後から就寝時間までの時間帯は、かなりの時間との戦いとなる。
そんな時こそ両者が楽しくなるような雰囲気作りが大切で、どこかのアトラクションのクルーにでもなった気持ちで
「夢の旅へようこそ!」
「先ほど素敵な扉を見つけました♪」
「今からその扉を開けに行きませんか」
とお声がけしたりすると、利用者の表情がほぐれ笑ってくださったり目を輝かせて見つめ返してくださる。
「夢の旅へのお手伝いをさせていただきます、今宵の案内人○○と申します。これから私が夢の旅へとご案内いたします♪」
するとおおかた100%近く一緒にお部屋に来てくださる。「行きましょうか♪」と嬉しそうに答えてくださることも。
居室へ入る際も、扉の向こうに秘密が隠されているような特別なドアの開け方をしてみたり、歩いて居室へ向かう間に呪文を一緒に考えそれをなかなか開かない扉の前で唱えていただいたり。(設定やプランはさまざま)
入り口→トイレ→洗面と、お部屋の奥に進んでいくにつれ電気をひとつひとつ手前から奥にポチポチポチっと点けていったりの照明の演出も自分で手掛ける。
排泄介助がおわり、いよいよパジャマへのお着替えなのですが、ここがいちばんの盛り上がりどころ。ここから先は特に利用者様本人の協力が必要なことを説明してお願いをしておきます。
いちばんの盛り上りどころにして、ようやく歌が始まります。笑
メロディーや歌詞はその時その場でいつも違うので、つい先日の夜勤バージョンを記憶の限り記載したいと思います!
(以下、太字は歌っています)
「この素敵な 小花柄のパジャマ 似合うお方は どこにいますか?」
パジャマ上衣を両手で持ち翻しながら歌い、どこどこ?という振付を挟み耳に手を添え返答を待つ動作を加えます。
「はい。うふふふ、ここよ」との答えが返ってきたらこっちのもの。とびきりの喜びアクションと笑顔でミュージカルは続きます。
「さぁ!お着替えを はじめましょう 揃いのズボンも ここにあるのよ」
足下から更衣介助を行ってゆき、お次は口腔ケアに移ります。
「次は鏡の前で魔法が見れるようです!」
「どうぞこちらへ🪞」
腕と腰に手を添え洗面台へと付き添い歩行にてご案内いたします。
「色とりどりの歯よりも 真っ白な歯を 明日も笑顔で 過ごしましょう」
「さぁ!歯みがきを いたしましょう スッキリピカピカ さいごはブクブク」
こんな感じの歌詞で義歯をお外ししてシャカシャカとどちらの歯(自歯・義歯)も磨いていき、入れ歯洗浄剤をポチャンと静かに義歯ケースに落とす。仕上げのうがいはアシストし、見守りにてご自身で行っていただきます。
私と利用者さんと並んで、鏡に写る笑顔をチェック。
「貴女の眩しい笑顔こそが、私たちの心と世界を照らす魔法だったのです✴️」
「うふふふふ😊」
「準備がすべて整いましたので、いよいよ夢の世界へ出発です!ふかふかの雲の上へと参りましょう♪」
シルバーカー付き添いでベッドへご誘導。
ベッド端座位から臥床へのお手伝いをしたら枕やお布団などの寝心地を整え、電気を消す了承を得る。
「今日はどんな一日だったでしょう すべてに感謝 明日もいい日になりますように」
歌いあげると同時に、居室のメイン電気をパチンと落としてミュージカルは終演です。
先日は暗くなった室内に、パチパチパチパチと優しいゆっくりとした拍手がいつまでも響いていました。
もちろん細かな就寝環境の確認は怠らず、翌朝の起床時間にお声がけに来ることなどをきちんとお伝えして安心して入眠いただきます。
「おやすみなさいませ」
「おやすみなさい」
すべてを終えたばかりのイブニングケアの記録を片っ端から入力しながらそのお話しを夜勤の相方に打ち明けると「なにそれ~!ふたりとも可愛すぎる!観たいじゃ~ん」と大笑いされた。
介助をいつものようにただ淡々とこなすのではなく、どうせするならお互いに楽しくなるような工夫を。生活そのものを舞台化し、利用者を主役にしてすすむイブニング物語。音楽に合わせて行えば両者笑顔でリズミカルに就寝前の支度を終えらます。
時々合間で「そうですね〜♪」などの歌詞への返答や合いの手を入れてくださったり、最後は拍手以外にもミュージカル風に音階にのせた「ありがと〜♪」を頂けたり。まさに百利あって一害なし。就寝までのすべてを気分よくご案内できます。
ケアには愛と心と思いやりと、ちょっとばかりの遊び心のエッセンスを加えて楽しく。
ぜひEケアミュージカル、機会があったら挑戦してみてください。おすすめです。
利用者の知らなかった側面や反応も窺えたり新たな関係性の構築や、ふたりが存在する世界と物語の共有も期待できます。
(⚠️要介護3 認知症のあるシルバーカー使用の利用者様への実施です)
看護・介護ではケアを作業のように、人を物のように扱う現場や人を少なからず見てきました。私たちは人間でありこの道のプロ。その人らしさに寄り添い心の機微を細かに汲み取る、心ある質の高いケアが求められています。
今日を楽しく終え、明日がちょっと楽しみになる介護の仕方をまだまだ真剣に工夫・鋭意模索中です。
書きたいことがたくさん溜まってきてしまっているので、順々に一気に仕上げに取りかかっています。
一方で、何年も前の記事に辿り着いて読んでくださる方がいらっしゃるのはとてもありがたいことです。そしてすごく嬉しい。
お馴染みの方も、そうでない方も。たくさんの想いと学び、知らない世界と刺激、そしてコメントをいつもありがとうございます。
わたしも可能な限りたくさんの記事を旅したいと思います。
星空の下、広い敷地の静寂の中。優しく灯る小さなお家の雰囲気が今の職場にどことなく似ていて、今回はそんな職場でのイブニングケアのイメージにぴったりの画像をみつけたのでお借りすることにいたしました🏡
