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【埼玉県立近代美術館_MOMAS】コレクションの舞台裏_光をあてる、掘りおこす。収蔵品をめぐる7つの試み

美術館とは、芸術分野に特化した博物館の一種で、美術作品を収集、保存、展示するための施設です。
ほとんどの美術館には収蔵品(コレクション)があり、企画展のほかに常設展としてそのコレクションを展示しています。

今回はこのコレクションに焦点を当てた、学芸員の方々の思いにあふれた、非常におもしろい展覧会を見に行って参りました。
訪れたのはこちらの美術館。

埼玉県立近代美術館:MOMAS
(The Museum of Modern Art, Saitama)は1982年に開館。
モネ、シャガール、ピカソなどの海外の巨匠から日本の現代作家まで、優れた美術作品をコレクションして展示しています。また、ユニークなテーマを設けた企画展を随時開催するほか、館内ではグッド・デザインの椅子をたくさん紹介しています。
*椅子の美術館としても有名です。

かつて学生時代に美術展でお世話になりました・・・

1982年に開館した埼玉県立近代美術館は、西洋近代絵画や埼玉県ゆかりの美術家を核とした継続的な収集活動を行い、現在では国内外の近現代美術の作品を約4200点収蔵しています。この展覧会では、その中から学芸部スタッフが各々の視点で収蔵品を選び、一部に借用作品を交えて、調査研究(リサーチ)の成果をもとに展示します。7つの独立したテーマを設け、コレクションを掘り下げていく、短編小説のアンソロジーのような展覧会です。

 美術館の収蔵品は大切に保管され、過去から現在、未来へと受け継がれていきます。そして、作品自体は変わらずに存在していても、作品の解釈や捉え方はそれぞれの時代の価値観や調査研究の成果とともに変化していきます。この展覧会では、現在の学芸部スタッフの視座からコレクションに光をあて、その新たな側面を掘りおこす7つの試みを展開します。加えて、美術館の主要な仕事でありながら、通常はなかなかご覧いただけない「収蔵品の調査研究」や「教育普及活動」の舞台裏をご紹介する機会にもなるでしょう。

美術館HPから引用

埼玉県に関連する作家を中心に、作品と文献資料が展示されており、キャプションも調査研究に基づいたコメントが掲載。
また、作品がどのような経緯で美術館に収蔵されたのか、作品自体のヒストリーも知ることができ、
通常の美術展とは、ひと味も、ふた味も異なる「舞台裏」ならではの視点で、かつて学芸員の夢もうっすら描いていた私は前のめりで文章を追っていました。

いくつかピックアップしてご紹介。
*画像は全て撮影可能なものを掲載しています。

田中保《キュビストA》1915年:表面
田中氏の愛する女性を描いた本作。私は人物像ではなく花束のように感じられました。
田中保《キュビストA》1915年:裏面
ラブレターのように文字が綴られており、かつ、履歴書のように本作の歴史が記載されてもいます。
収蔵された当時の学芸員さんの気持ちを疑似体験しているようです。
山口敏男《雪景色がみえる室内》制作年不詳
本作には1937年に国内で製造された「モンブラン紙」が使用されているそう。
和紙にパルプ紙を配合させたもの。
当時材料不足は深刻で、なるべく国内で調達できるように作家が苦労していたとのこと。
山口敏男《旅行絵巻》1936~1938年
旅することが好きなので、イラストが少し描ければこんな風に記録を残したいですね。
《従軍スケッチ スクラップ》
「戦争画」と呼ばれる作品をいくつかみたことがありますが、
当時の新聞や雑誌に掲載されたスケッチを見たのは初めて。
より臨場感とリアルな現場を感じられます。
《芸術新潮》1947年
岡本太郎が「日本再発見」で紀行文を掲載していた頃の実物を展示。
これらは全て館内の資料閲覧室で誰でも閲覧可能。
美術館の多面的な利用価値に気付かされました。
本展の図録の初版案。
こんな裏側まで見せてくれるとは・・・いろいろ勉強になります。

美術館や博物館などでは、収蔵品の収集、保存、研究のほかに、
教育普及活動も大事な役目のひとつです。
ワークショップなどを中心に、地域や子どもたちに向けた美術館の取り組みを、普段は作品を展示するガラスケースに一緒に紹介されていることに、改めて学芸員さんへの尊敬の念と、活動に対する真摯な姿勢に心打たれました。

掛け軸の作品についてのワークショップを行った時の道具。
実際の作品は用いず、縮小した複製品を用いるそうで、これを知っているだけで作品の感じ方も深いものになるでしょう。
観覧チケットと展覧会を巡るワークシート。
モダンでおしゃれなデザインで、学芸員さん目線での要素が満載!

私は時間とお金に余裕があれば、月に2~3回ほど展覧会に出かけますが、
ほとんどが芸術家、有名美術館、流派、画題など共通したテーマに沿って作品が集められて展示されています。

ですが、今回のようにコレクションを中心とした、調査研究の成果や美術館の舞台裏に目を向けた展覧会は初めての経験でした。
私の知識不足もありますが、展示作品の作者は初めましての方が多かったのですが、埼玉県と作者の関係、作品を収蔵した経緯または作品の来歴を深掘りした研究結果を、一般人の私たちに提示されていることにとても感心しました。

展覧会図録の冒頭部分または終章部分に記載されている、専門家による解説文を、さらにわかりやすく多面的にキャプションとして紹介。
このような作品紹介を可能であれば他の展覧会でも導入してほしいものです・・・

さて、お次は「椅子の美術館」を楽しみます!

エーロ・アールニオ《ボールチェア》1966年
逆光気味で座面が見えませんが、実物はまるでブラックホール。
グッドデザインの椅子を集めたエリア。実際に座れます!!!
そっと座ってみると、デザインの中に機能性が隠れているのがよくわかります。
設計は黒川紀章。初めて美術館建築を手掛けました。
建物全体がグリッド(格子)で構成され、鳥籠のような外見で先端は鳥のくちばしにも見えます。
地下階から3階までの階段は大きなガラスから公園のまぶしい緑を目にすることができ、美術館建築の構造も目の当たりに鑑賞できます。
人が立ち入れない部分にも意図した構造物があり、隅まで目が離せません。

「椅子の美術館」「黒川紀章」というパワフルワードを持つ、MOMAS。
今後も企画展に期待大です!

噴水や遊具や砂場もある北浦和公園内にあるため、お子様連れにもぴったりの立地です。

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