バスクのワイナリーで働いた最初の日本人になった話。part.2~酒販店への転職
酒販店への転職
レストランでの仕事から、酒屋への転職。
実はこの転職のきっかけは、レストランの仕事があまりに激務過ぎて心身ともに無理!となってしまったからでした。
レストランを退職後しばらく休養して、そろそろまた働かないとな・・・でも、飲食業のような長時間ガッツリ接客しなければいけないような仕事は少しお休みしたいな・・・と思っていたところ、自宅の近所に素敵な酒屋さんがあるのに気がついたのです。
お店に行ってみると「スタッフ募集」のポスターが!接客業ではあるものの、飲食店のスタイルとは違うし、なによりワインが好きな自分がいたんだということを思い出して、リハビリのつもりでアルバイトしてみようと思ったのです。
少し脱線しますが、心身ともに疲れ切っているときって、自分の好きなこととか得意なこととか忘れちゃうんですよね。この時の私はまさにそれでした。
このお店との出会いは、そんな私に神様が「アンタ、ワイン好きだったでしょ!?ここで働いてみたら?家からも近いし、電車に乗る必要もないし。」という感じで用意してくれたのかな、と後から思ったものです。
怒涛のワインの取扱量
レストランにいたときと酒販店に入ってからの一番大きな違いは、お店で取り扱うワインの種類の多さが段違いになったことでした。レストランで働いていたときはソムリエ資格者のスタッフがいたので、お客様から質問されたりボトルの相談などはすべてソムリエに丸投げ。私自身はグラスワイン数種類の味わいの違いが言えておすすめできる。くらいのスキルで良かったんです。
が、酒屋になるとそうもいかない。もちろん有資格者のスタッフはいましたが常駐しているわけではなかったので自分も知識をつけないといけない。そしてレストランと大きく違うのは「その場で飲んでもらえない」こと。レストランの場合はその場で飲んでもらってお客様の反応がわかりますが、酒屋では基本的に買って帰ってお家で飲みますよね。だからこそ、ワイン1本1本の特徴を自分自身がしっかり把握していないといけない。そしてそれをお客様にわかりやすく伝えられるようなスキルも必要!
生産者さんに1歩近い立場へ
ワインの流通という観点からも、レストラン時代とは変わったことがありました。
最終的に飲んでくれる方へワインが届くまでのプロセスは
生産者➠輸入元➠酒販店➠レストラン、もしくは個人へ
という流れなのです。(ざっくりとですが)
つまり、酒販店はこの流れの中においてはレストランよりも一歩生産者さん側に近くなります。その分より知識が必要となることも多いですが、逆に考えると「より生産者さんのことを知るチャンスが多い」とも言えます。これが私にとってはとてもおもしろかったのです。
どんな土地で、どんな人たちが、どんな思いを込めて作られたワインなのか。
レストラン時代は純粋に「味」だけを深めていくことが多かったのですが、酒販店での経験を通して、また違ったいろんな角度からワインを見ることができるようになりました。
初めてのフランス、初めてのワイナリー見学
このお店で働くことがとても楽しかった私は、アルバイトから社員になりより深くワインやお酒にハマっていきました。
そして27歳のときに、お店のツアーで初めてのフランスへ行くことができました。そして、これが私の初めての海外経験でした。
初めての海外が、社内のツアー。そして約1週間でフランスをほぼ1周しつつ、毎日ワイナリー見学!というかなりパンチの効いた経験になりました。
普段自分がお店で紹介しているワインが生まれる場所に行き、畑や醸造所を見せてもらい、そしてなによりも作っている生産者の方々との交流を通じて色んなことを考えました。
このときに経験させてもらったことが、より深くワインにハマっていくきっかけになったと思います。
フランス旅を経て、心境の変化。
実際に生産者さんたちを訪ねるという大きな経験をした私は、お店に戻ってくるとそれを発信したい、伝えたい!という気持ちが大きくなりました。
セミナーを開催したり、POPを書きまくったり、経験したことを冊子にまとめたり。
そんなことをしていると、自分自身でも思いもよらなかった自分に出会ったのです。
「私、この生産者さんのこと全然わかってない」
という気持ちです。
なぜこんな気持ちになったかと言うと、経験したことを資料にまとめていく中で「この生産者さんはこんな人でした」と書いた自分に強烈な違和感を持ったのです。
確かに、訪問したことは嘘ではありません。そしてそれは、行ったことがない人に比べたらそのワイナリーを「知っている」ということになるかもしれません。
でも、私はたかだか1日のうちの数時間をそこで過ごしたに過ぎないのです。この生産者さんが「〇〇な人なんです」と言えるほど、私はこの人のことをわかっているのか?という気持ちが湧いてきたのです。
素直に「行ってきました!こんな人でした!」と言えたら楽だったのかもしれません。が、私の中に湧いてきた「行ったことは嘘ではないが、ただ行っただけ」というこの感覚は、この後にすごく自分にとって大事な気持ちになっていきます。
そのお話はまた次回✨️
Eskerrik asko!(エスケリカスコ!)バスク語で「ありがとう」
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