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わたしのベロはいま何をしていますか

いま、わたしは3ヶ月ごとに歯の定期検診を受けている。
通っているのは通称“イケメン歯医者”。

定期検診に加えて、親知らず2本の抜歯、その際に見つかった虫歯の治療が続き、ここ数ヶ月は毎月のようにイケメン歯医者を受診している。

そこで先生が治療中に、
「ベロ上に上げててくださーい」
って言うのがきっかけで気がついた。


わたし
自分のベロがコントロールできない…?


言われてすぐは、上に上げてるつもりなんだ。
でも時間が経ってくると、ベロがどこにいるのかわからなくなる。
どこにいるのかわからないだけじゃなく、何してるかもわからなくなる。
今家で同じことをしてもちゃんとベロは上にいるのに、歯医者で治療が始まると急にわからなくなる。

そのことに前回の治療で気づいたのだ。



そして、今日はイケメン歯医者の受診日。

「こんにちはー、お願いします」
「こちらにお座りください〜」

椅子に座りウィーンと倒れていく。

治療が始まる。


「ちょっとベロ上に上げててくださーい」


ハッ!
今日もキタ!!

言われた通りにベロを上に上げる。



数秒後。



アレッ?
ベロ今どこにいる?
ベロ何してる?
ベロ上にいる?
あれっなんかやっぱ動いちゃってる?!
アレッ?!
わかんない!!!



ほらね。
やっぱりだ。
歯医者に来ると突然ベロがコントロール不能になる!!!



……マズイ。

ハッキリと自覚してしまったことが、
自分のドツボにハマってしまった。

ダメだ。
とんでもなく笑いそうだ!


何も知らない先生は、わたしの歯に「シュー」とか「シャー」とか空気を当てて何かしている。

今笑うわけにいかない。
笑ってはいけない。
今きっと乾かしてる。
今笑ったら先生の手元が狂っちゃう。
手元が狂った先生に、唾を吸うやつでのどちんこ吸われてとんでもないことになるかもしれない。

耐えろ!耐えるんだ!!笑うな!!!

そう思えば思うほど、

「上に上げといて」と言われたベロがどこで何してるかわからない。
先生の指おっかけてウロウロしてたらどうしよう。
上にいろって言われたのにそこら中ほっつき歩いてたらどうしよう。

たのむ!
上に!上にいてくれぇ!!
動かないで!
おりこうにしてて!!
シッ!!!


ダメだ、笑う……!


「どうしましたか?」

笑いをこらえて震えているわたしにイケメン歯医者が気づいた。

「ふいまへん…」

先生が手を止める。

「すみません……ベロのことを意識すればするほど、自分のベロがどこで何してるかわかんなくなっちゃってクックックッ」

もうだめ。 もうだめだ笑う!!!!!

「それがツボに入っちゃって、はぁ、すみませんンフフフフフッッ」

こみあげる笑いが止められない。

「わたしのベロ、いまどこで何してんのかな?ってクククククッ(笑)(震)」


なにを言ってるんだわたしは。

先生も笑っちゃってる。


さぁ困った。
ゲラの私は一度ツボると笑いが引かない。
これ以上笑いを引きずり続けると、ベロが言うこと聞かないただの迷惑な人になってしまう。

笑うな。
耐えろ。
本気出せ。
何か他のことを考えるんだ!!!!!

死ぬ気で耐えた。

治療が終わり、ウィーーンと椅子が起き上がってくる。

やっとの思いで緊張から解放された。

「はぁ〜〜〜ツボだったぁ、ほんとにすみませんでしたアハハハッ。はぁ。ベロ、上にいましたか?」

「いましたよ笑」

そんな会話を最後に先生に見送られ待合へ戻った。


待合への扉を開く直前のところで、肩を強打した。
ここの歯医者にはもう2年通っている。
当然今まで一度もぶつけたことなんかない。

「うぁっイテッ! …アハハッ」

イケメン歯医者の前で、
かわいい「痛っ」じゃなくて
おっさんみたいな「痛え」が出てしまった。

先生は笑っていた。

マスクをしているから全てはわからないけど、たぶん失笑していた。



終わった。
今日ですべて。



もう、カルテに書かれてるかもしれないね。
ベロ暴走患者ブラックリスト。
朝のカンファレンスでも共有されるかもしれないね。
「前回ベロがどこで何してるかわからないって笑い出したので、治療の際には手元気を付けてください」って。

ていうか私この先ずっとベロの行動が気になってしまうと思う。
どうしよう。

次回、どんな顔して行けばいいの?


助けて。

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