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【備忘】同人誌通販どうしようか話

はじめに

同人活動をする中で、イベントに参加できない時期、通販の存在には何度も助けられてきました。いざ自分でも通販をやってみたいと思っても、各社でサービス内容が異なり、何を選べばいいのか迷ってしまうことも多いですよね。

今年、自分のサークルから新刊を3冊発行した際、実際にいくつかのサービスを利用してみました。その中で得た知見や、即売会の現場で通販担当者さんから教えていただいた内容を、自分用の備忘録として一度整理してみることにしました。

せっかくなので、複雑な手数料計算を自動化するツールも作ってみました(個人的な知的好奇心ですが、これが意外と便利で……!)。
これから通販を始めたい方、あるいはサービス選びに悩んでいる方の、ちょっとしたお助けになれば嬉しいです。

比較できるものは、なるべく表にまとめました。
気になったサービスの補足だけ読む使い方もできます。

【※初心者の方向けの用語メモ】
掛け率:売上のうち、サークルが受け取れる割合のこと(掛け率70%なら、書店側の手数料として30%引かれます)。
専売 / 併売:その書店だけで通販することを「専売」、イベントや他の通販と同時に売ることを「併売」と呼びます。

私調べ


この記事の前提

想定するサークル
通販に回す部数が1〜30冊のサークルを想定しています。30冊はBOOTH倉庫サービスの申込下限(合計在庫30点)とちょうど同じで、これを下回ると使えないサービスも出てきます。

想定する購入者
匿名配送を希望し、1種類を1冊購入する読者を想定しています。

比較の条件
本のサイズや厚さで送料が変わるため、表④の送料は「本1冊・ポスト投函(追跡あり)」で条件を揃えています。


比較表①:サービス概要

まずは全体像です。
各サービスの方式(自分で送るか・任せるか)、匿名配送の可否、基本の手数料、預けられる期間を一覧にしています。

  • 匿名配送はすべてのサービスで可能です。自家通販は匿名配送パックを使えばサークルの住所が伝票に出ません。店舗委託は発送元が店舗になるため、そもそも住所が渡りません。

  • フロマージュの委託期間は、2027年1月開始予定の新制度では1年になります。

  • まんだらけは売れ行きにより期間が延長される場合があります。

比較表②:見落としがちなコスト

返本時の手数料、期間中・期間終了後の保管料をまとめています。
自宅発送(BOOTH・おうち通販FOLIO)は在庫が手元にあり、返本・保管という工程自体が存在しないため、この表には含めていません。

とらのあなとフロマージュはイベント会場への返本が可能です。

  • 金額はとらのあなが税抜、他は税込です。

  • BOOTH倉庫は申込が合計在庫30点から。最終出荷から6ヶ月動きがないと返送されます。返本にかかる料金は「返送基本料 + ピッキング手数料」です。冊数によって料金が異なります。

  • フロマージュの返本は取扱期間30日以内だとできません。保管料は2027年1月開始予定の新制度の金額です。

  • まんだらけは委託期間満了の通知を受けての返却なら返送料無料(※)
    自分から返本を申し込む場合は着払いです。

比較表③:お金まわり一覧

売上を受け取るときのお金の一覧です。販売時に引かれる手数料と、振込時に引かれる手数料、締め日・支払日をまとめています。BOOTH倉庫サービスの振込手数料と支払サイクルはBOOTHアカウント共通のため、「BOOTH(倉庫サービス含む)」として1行にまとめています。

  • BOOTHは受取額3万円未満で200円、3万円以上で300円。PayPalなら無料。5,000円以上で自動振込です。倉庫サービスもBOOTHアカウント共通の条件になります。

  • とらのあな・フロマージュは、ゆうちょ口座で登録すれば振込手数料が無料になります(とらのあなは「郵便口座」種別・記号番号形式での登録が条件)。

  • FOLIOは残高430円以上で自動振込。まんだらけは5万円未満400円・5万円以上600円で、売上3,000円未満は翌月繰越です。

比較表④:購入者が払う送料

本1冊・ポスト投函(追跡あり)の条件で揃えた送料です。

厚さ3cmを超える場合や、購入者の会員種別・注文金額によって送料は変わります。BOOTHの規格外は600〜740円、とらのあなは追跡なしなら380円・プレミアム会員なら270〜345円、フロマージュの宅配便は601〜702円など。各社の送料ページは記事末尾の付録にまとめています。


自家通販と店舗委託の違い

自家通販は、サークル自身が在庫を持ち、注文が入るたびに梱包・発送する方式です。BOOTH・おうち通販FOLIOがこれにあたります。匿名配送パックを使うと、発送伝票にサークルの住所は記載されません。

発送代行/店舗委託は、在庫をまとめて第三者(BOOTH運営元の倉庫、または店舗)に送り、その後の販売・発送を任せる方式です。発送元がサークル以外の住所になるため、購入者はサークルの住所を知りません。


サービスごとの補足

表に載せきれない、各サービス独自のポイントだけをまとめます。

BOOTH(自宅発送)

匿名配送には、ゆうゆうBOOTHパック(日本郵便)とあんしんBOOTHパック(ヤマト運輸)の2種類があります。どちらを選ぶかは、発送スタイルで決めて良いと思います。ポスト投函で済ませたいならゆうパケットポスト、コンビニやヤマト営業所が近いならネコポス。送料は郵便のほうが安く、配達スピードはヤマトのほうが早いです。

ゆうパケットポストminiは200円と最安ですが、専用封筒に入る文庫・B6判までなので、A5・B5判の本には使えません。

おうち通販FOLIO

手数料0円という構造が最大の特徴です。設定した頒布価格がそのまま100%サークルに戻るため、価格に手数料分を上乗せする計算が不要になります。

b2カード決済を使うと、購入者の匿名手数料110円が0円になります。また、即売会に連動して「送料+匿名手数料0円」の期間限定キャンペーンが実施されることがあるので、公式のお知らせは確認しておくと良いです。

FOLIOには「出品枠」という単位があり、1つの出品枠に登録できるのは最大5種類までです。購入者が一度に買えるのも、1つの出品枠につき最大5冊まで。

これが効いてくるのが送料です。送料は出品枠ごとに発生します(購入者負担)。6種類以上を頒布するには出品枠を分ける必要があり、購入者が別々の枠から買うと、送料495円をその都度払うことになります。既刊が増えるほど、購入者にまとめ買いしてもらいにくくなる構造です。

BOOTH 倉庫サービス

申込は合計在庫30点から。さらに、月の販売率が20%未満だと保管料1,100円(税込)が毎月かかります。少部数サークルにとっては、預けられる最低数と売れない月のコストの両方がハードルになるため、選択肢には上がりにくいサービスです。

詳しい条件は公式ガイドをご確認ください。
https://booth.pm/warehouse_guide/detail

とらのあな

まず書店通販の選択肢に入るほど、女性向け通販の大手です。
振込手数料が1件200円(税込)かかりますが、ゆうちょの「郵便口座(総合口座・通常貯金)」で登録すれば無料になります。
BOOTHなどの自家通販と併用する場合、とらのあなでは「併売」扱いになります。

フロマージュ

BOOTH等の自家通販サイトで販売していても専売扱いになります。過去に他書店で委託していた作品も、現在フロマージュのみなら専売でOK。他社ではデータ販売のみで実物の取り扱いがフロマージュのみの場合も専売です。BOOTHと併用しながら専売の条件を保てるのは、とらのあなとの大きな違いです。

HakoBook発送

会場からの搬出は、赤ブー主催イベントのHakoBook経由がとにかく便利!
事前登録しておけば当日はペタッと伝票貼るだけです。
とらのあなとフロマージュ/メロンブックスで利用できます。

まんだらけ

納品時に「管理用見本誌」として、通常の納品数に1冊を加えて送る必要があります。この1冊は返却対象に含まれません。20冊委託するなら21冊、10冊なら11冊、5冊なら6冊を用意することになり、在庫に対する割合はそれぞれ約5%・約9%・約17%です。部数が少ないほど負担は重くなります。

会場ではまんだらけの出張ブースへ直接持ち込めば無料で預けられます。
中野店への直接納品も可能です(3日前までに要連絡)。自宅からの着払い納品は佐川急便のみ・事前フォーム申請制です。


価格の試算方法

会場頒布価格と同額をサークルが受け取れるように設定価格を逆算する場合、計算式は以下の通りです。

【自宅発送(BOOTH)】
設定価格 = (会場価格 + 梱包資材費 + 45 + 0.056 × 送料) ÷ 0.944

【自宅発送(おうち通販FOLIO)】
設定価格 = 会場価格 + 梱包資材費

【BOOTH 倉庫サービス】
設定価格 = (会場価格 + 70) ÷ 0.919
※梱包はBOOTH側のため梱包資材費は不要。
※サービス利用料の計算に送料は含まれません。

【店舗委託(とらのあな/フロマージュ/まんだらけ)】
本体価格(税抜) = 会場価格 ÷ 掛け率
設定価格(税込) = 本体価格 × 1.1

こんなまだるっこしい計算してられっかー!な方は、下の自作シミュレーターを使ってください。結構頑張って作ったよ!
会場頒布価格・本のサイズ・厚さを入力すると、各発送方法の「設定価格」と「購入者総額」を自動計算します。

シミュレーターが計算しているのは、本1冊あたりの設定価格と購入者の支払額だけです。
倉庫保管料・返本手数料・振込手数料・店舗への納品送料・見本誌1冊分などは含んでいません。実際の手取りは、これらを差し引いた額になります。

価格シミュレーター説明

私が選ぶなら(個人的な所感)

ここまでは公式情報ベースの比較でした。ここからは、実際に使ってみた上での個人的な所感です。

自家通販:BOOTH vs おうち通販FOLIO

現時点ではBOOTH一択です。
FOLIOは、1ページ5作品の制限が撤廃されて、もっと手軽になれば使おうかなというところ。例えばb2オンラインのNAVIOの作品登録と連携するとか、匿名手数料の無料期間を伸ばすとか(せめて1週間は欲しい)。理念は応援しているので、今後に期待しています。

発送代行:BOOTH 倉庫サービス

手数料と倉庫使用料が高く、申込の最低数が30点からということもあり、少部数サークルとしては選択肢に入らないと思いました。便利にはなってきているんですけども。

書店通販:とらのあな vs フロマージュ vs まんだらけ

とらのあなとフロマージュのうち、自分のジャンルの取り扱いが多い方を選ぶ、で良いと思います。

会場発送後の入庫(在庫反映)タイミングは、フロマージュが早いです。
私の場合、翌日には納品通知が来ました。とらのあなは2日くらいはかかります。事前登録していない場合はもっとかかります(とらのあなで10日後に納品通知が来たことがあります)。

今なら、専売で出すならとらのあなが良いと思います。委託期間が1年ありますし、作品登録後30分以内に通販ページが開設されるスピード感もあります。

一方で、あまりにも頻繁にサービス変更をかますのでちょっと怖いわ、という方はフロマージュが良いと思います。サポートの対応も早いです(専売から併売に変えるメール依頼を送ったら即日反映していただけました。とらのあなは返信に3日かかることもあります)。
よくスペースに挨拶に来てくれるのもフロマージュさんなので、不安な点があればその場で聞けるのも助かります。

まんだらけは、今回はお見送りしました。
少部数サークルとして、見本誌1冊の提出はちょっと厳しい。。。
でも挨拶に来てくださったスタッフさんめちゃ丁寧で優しかったです。


おわりに

古の小為替を郵便で送っていた時代から、私自身、通販という仕組みにはずっと助けられ続けてきました。

現在はBOOTH(自宅発送)をメインにしつつ、とらのあな、フロマージュを併用しています。おうち通販FOLIOについては、その理念を応援したくて毎回アンケートで要望を送るほどなのですが、現状の使い勝手や認知度の面で、結局BOOTHを選んでしまう……というのが正直なところです。

とらのあなについては、過去に改訂の頻度についていけなくなり一時離脱を決めたこともありましたが、現在はサービス改善が進んでいるようですので、しばらく様子を見ながら活用していく予定です。

個人的に「ひとりアンソロ」を制作することが多いため、フロマージュのデータベース機能は地味に助かっています。1つの作品に対して最大5つまでCPを登録でき、キャラ選択もプルダウンから選ぶだけなので、手入力の手間が省けるのは大きな魅力です(とらのあなはメインCPが1つしか設定できないので、この点は大きな違いですね)。

結局のところ、どのサービスが一番適しているかは、その時の制作スタイルや「作業の手間と利益のバランス」をどう考えるかによって変わります。

この記事が、皆さんが納得できる通販の形を見つけるための地図になれば幸いです。

ほんとのおわりに
当のあんたはどんな価格設定にしているのかって?
BOOTHは+50円、書店委託は+100円のシンプル設計ですw
赤が出たっていいじゃない。捨てるよりは……の精神ですね。
自分の本を古紙回収に出すの本当に切ないので。


注意事項

この記事の情報は2026年7月時点の各社公式情報にもとづきます。手数料・送料・掛け率・保管料ルールは改定が頻繁です。実際に価格を設定する前には、必ず各社の最新公式ページを確認してください。

【付録】各社公式情報の一覧

■ BOOTH/BOOTH 倉庫サービス

■ おうち通販FOLIO

■ とらのあな

■ フロマージュ(メロンブックス)

■ まんだらけ