知られざる“黒炭”の世界へ─火を受け継ぐ職人/魚沼市黒炭塾
魚沼の山奥で炭職人の“火を守る”一日体験
「火を絶やさない」
そう聞くと、何だかちょっといつの話?
みたいに感じられますが
今回の炭焼き体験はまさにそれでした。
舞台は新潟・魚沼市。
年にたった2回しか開催されない
知る人ぞ知る“黒炭塾”に参加してきました。
黒炭。

コクタン・クロズミのどっちで読みました?
正解はどちらもアリ!のようですが
インドア出身の私にはそんなに馴染みのない
未知の世界に足を踏み入れたのでした。
そもそも黒炭ってなに?
炭といっても
白炭と黒炭があるってご存じでしたか?
(豆知識:他にオガ炭ってのもあるんですって!)
今回体験したのは「黒炭」。
備長炭に代表される白炭と比べ
やわらかくて、火付きが良いのが特長なんだそう。
作り方は実は繊細!
窯の温度や空気の調整が命。
ちょっとでもミスすると
「炭にならずに灰になっちゃう」そうです。
体験スタート!釜の中から炭を取り出す

黒炭塾がいよいよスタート。
まずは炭化が終わって
5日間冷ましたという釜の中から
黒炭を取り出す作業から。

釜をふさいでいる壁をとってから・・・

釜の中の黒炭を人力で取り出します。

釜の中はまだあったかくて…いや、熱いくらい。
ちょっと釜に入るだけで汗が噴き出ます。


いつもは冷まし時間が3日とのことなので
今日はこれでも涼しい方なんだとか。
普段どれだけ大変なのか垣間見えた気がしました。

釜の中には立派な黒炭がぎっしり。
これを運び出すだけで
午前中があっという間に過ぎていきました。

出来上がった黒炭。
色々な木が混ざっていて
形もばらばら。


これはブナ、これは○○・・・。
形を見て木を判別できるってのもカッコいい。
これぞ職人。
黒炭もしっかり炭化できていると
パキっといい音で割れるんだそうで。
炭の断面が陽に当たってキラリと光るのが美しいんです。

木に含まれる他の有機物が
じわじわと燃えてなくなっていく中
最後に残ったいわば
炭素の結晶。
思わずうっとりするような黒の美を感じました。
午後は「釜に木を積む」重労働
午後はさらに汗だくタイム。
山のように積まれた丸太を
どんどん釜に詰め込んでいきます。

今回の参加者は7名。
東京、会津、新潟県内からとバラバラな面々でしたが
みなさん炭への思いは本気。
作業中は質問もバンバン出ていました。
私だけが女性だったのですが
木を運んだり積んだり…
皆さん優しくサポートしてくださいました!
(むしろほとんど男性陣にお任せ)


でも、この木をただただ移動する作業だけで
1日が終わるなんて思わなかったです。
この人数でこのスピード感。

いつもは中川さん+時々サポート1名で作業されるそうで
もっと時間がかかるんだとか。
さらに炭になるまでには
ここから釜を閉じて→焼いて→冷まして→選別して…
黒炭ができるまで10日以上かかるなんて
想像以上の世界でした。
炭焼きは「無駄がない」日本の知恵
今回印象的だったのが
使わないものを活かすという考え方。
本来なら捨てられていた端材や細い木
灰…それすらも無駄にしない。

農業用の肥料になったり
土壌改良剤になったり
煙から木酢液を取ったり。


何も捨てない。
その姿勢に日本文化の美しさを感じました。
職人の目は未来を見ていた

今回指導してくださった中川さんは、炭職人歴10年。
(白炭6年。黒炭4年という両刀使い!)
でもその前は製材所で働いていたそうです。
製材は少し長さが足りないとか規格に合わないと
商品にできず廃棄になる。
「この木、使わないの?もったいない」
という思いもあって炭焼きを学び始めたとのこと。
今は海外産の炭が市場に出回っていますが
炭焼きは日本がほこる大切な文化。
ですが伝統を残すのはものすごく大変で。
「昔ながらのやり方を大切にしつつ、新しい挑戦もしていきたい」
その言葉には文化を守る職人の覚悟と
未来への眼差しがありました。
そして、今日の火は明日へと

炭焼きは火を扱う仕事です。
でも、それだけじゃないんです。
文化をつなぎ、自然を尊び
暮らしを丁寧にするような
日本人の心の中にある“火”を守ることなのかもしれません。
釜の中でじわじわと炭になっていく木のように
私の中にもじんわりと火が灯った一日でした。
今、新潟県内でも黒炭職人はたったの2人。
持続可能な森林整備を可能にするには
炭焼技術の継承と人材育成が課題となっています。
日々のストレスだらけの生活に辟易している方は
ぜひ一度自然いっぱいの魚沼で炭焼き体験してみるのはいかがでしょう。

✳︎次回の黒炭塾は、9月20日に開催予定とのこと。
お申込み詳細はこちらをご確認ください↓
魚沼市 産業経済部 農林整備課ホームページ内
追伸:
コーヒー豆の炭づくり風景


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