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遠野に憧れている

 最近、YouTubeのライブカメラにハマっている。世界中のあらゆる場所に定点カメラが設置されていて、24時間その場所の様子を眺めることができる。たしかコロナ禍のときにかなり流行っていた気がするが、私はいまどハマりしている。

 特に気に入っているのが、岩手県遠野市のライブカメラである。畑の中にポツンと佇む小さな茅葺き屋根の荒神神社を定点観測しているのだが、それが実に美しい。
 映像に何か変化が起こるわけでもない。ただ雲が流れ、時折り雨が降り、風が草木を揺らす。時間が経つにつれ、空の色が青さを増し、次第に朱くなり、やがて暗くなる。
 音も静かである。たまに車がのんびり走り去る音が聞こえるのと、8時と12時と18時に防災無線から音楽が流れるくらいである。

 何も起こらないからこそ、心がとかく癒される。青々とした日本の農風景を眺めていると、東京都出身東京都在住のくせに、望郷の念に駆られる。あぁ、帰りたいなぁ、我が故郷。となる。なお自転車を20分漕げば地元の街に着ける。

 なぜだか昔から遠野に憧れている。この時期になると遠野の風景がXでバズっているイメージがあるが、その画像を見るたびにいつか行ってみたいなぁと思っていた。ライブカメラの存在を知ってからは尚更である。
 しかし遠野物語をまだ読んだことがない。読めば印象が変わるのだろうか。遠野地方の伝承や妖怪、神様などの話をまとめた本だから、少し怖さが芽生えるのかもしれない。でも死ぬ前に一度でいいから行ってみたい。

 遠野といえば。岩手の遠野とは全然関係ないが、『秒速5センチメートル』という映画の主人公が「遠野」という名字である。遠野貴樹くん。高校生の時、とにかく遠野くんに憧れていた。たぶんアニメ映画は10回以上TSUTAYAで借りて観た。新海誠さん本人が書いた小説も3回は読んだ。
 顔、表情、声、仕草。全てを真似しようとしたが、どうもうまくいかなかった。あの落ち着いた声で話そうとすれば、「え、なに?」と聞き返されること多数。学校帰りに毎日コーヒー牛乳を買って飲めば、お腹を下すばかり。原付を運転したくて免許を取れば、翌日に友人の原付で事故を起こす始末。何一つ遠野くんと重なることがなかった。だからこそ、憧れるのだと思う。

 そんな記憶もあり、私にとって「遠野」といえば、街としても人としても、遠い憧れの存在なのである。

※ライブカメラは夜はちょっと雰囲気怖いかもしれないので気をつけましょう!

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