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AIに代替できない「意味になる前のもの」を大事にする時代へ

はじめに——AIが「生産」を担う時代に、人間は何をするのか

AIがあらゆる生産的な仕事を代替していく流れは、もはや止められません。文章を書く、コードを組む、画像を生成する——かつて人間にしかできなかったことが、次々とAIの守備範囲に入っています。

では、その先に人間は何をするのか。

私が最近ずっと考えているのは、「意味になる前のもの」の価値です。言語化できる意味をAIに渡して社会を回していく。それが今後の大きな流れだとすれば、人間に残されるのは、まだ意味になりきれていない何かを発散し、表現し、主張することなのではないか。そんなことを、半ば直感的に考えています。

言語化できないものの中にこそ、人間の本質がある

「これ、なんで面白いんだろう」

ふとした瞬間に感じる、言葉にできない感覚。なんだかいい気分になる。理由はわからないけれど心が動く。そういった言葉の手前にあるものを大事にする文化が、これからの時代には必要になると思っています。

AIは言語化された情報を扱うことに長けています。逆に言えば、言語化される前の混沌とした感覚——まだ「意味」として結晶化していないもの——は、AIが最も苦手とする領域です。人間がそこに目を向け、そこから何かを生み出すことにこそ、これからの価値があるのではないでしょうか。

「遊び」が持つ本質的な力

そう考えたとき、私がいま最も大切だと感じているのが「遊び」です。

遊びとは、その行為自体が目的であるということ。面白いからやっている。楽しいから続けている。その対象そのものを見つめる目があるからこそ成り立つ営みです。

ところが、人気になりたい、人からよく思われたい、バズりたい——そうした外部の評価を目的にして何かを作ることは、これからの時代にはますます難しくなっていくと感じています。なぜなら、人間が言語化できる範囲で「人の喜び」を模倣し続けた結果、すでに世の中には浅い音楽やバズるためだけの仕組みを使った作品が溢れかえっているからです。

そして、そうした表層的なコンテンツはAIが最も得意とするところでもあります。パターンを学習し、最適化し、量産する。それはもう人間が頑張る領域ではありません。

ノイズが作品に宿るとき、認知の限界に出会う

興味深いのは、こうした「最適化されたコンテンツ」が行き着くところまで行った先に何が起こるか、ということです。

私は、意図的であれ意図的でないにせよ、ノイズのようなものが作品に組み込まれていく流れが生まれると考えています。完璧に整理された情報ではなく、どこか引っかかるもの、説明しきれないもの。それに触れたとき、人は自分の認知の限界を感じます。

「わからない。でも、何か感じる」

その感覚を大切にする文化が、少しずつ広がっていくのではないでしょうか。効率や最適化の先にあるのは、むしろ「わからなさ」を楽しむ態度なのかもしれません。

フィジカルとアナログの再評価

こうした考えから、私自身は最近、フィジカルを鍛えたり、お笑いの勉強をしたりしています。

たとえば「なぜ人は笑うのか」。これを完全に言語化できるかと問われれば、私にはできません。笑いには、理屈では説明しきれない身体的・感覚的な要素が必ず含まれています。そうした言語化できない部分の需要が、今後ますます増えていくと考えています。

筋トレにしてもそうです。理論としては理解できる。でも、実際にはうまくできない。そんな人に対して「ラスト1回!」と声をかけ、限界を超えさせる。それは人間だからこそできることです。デジタルではなく、アナログな領域。身体と身体、感情と感情が直接触れ合う場所に、人間の社会は再び形成されていくのだと思います。

純粋にそのものを目的とした創作を

音楽にしろ、クラシックにしろ、絵画にしろ——面白い作品には必ず「遊び」があります。計算し尽くされた構造の中に、どこか逸脱した部分がある。その遊びの部分にこそ、人間性が宿っています。

だからこそ、これからの時代に大切なのは、純粋にそのもの自体を目的とした何かを作り続けることだと思うのです。バズるためでも、評価されるためでもなく、自分の中にある「まだ意味になっていないもの」を形にしていく。

それは効率的ではないかもしれません。すぐに成果が出るものでもないかもしれません。しかし、AIがあらゆる「意味」を処理できるようになった世界で、人間が人間として存在する理由は、きっとそこにあるのだと思います。

おわりに

意味になる前のものを大切にすること。遊びを取り戻すこと。言葉にできない感覚を信じること。

AI時代における人間の役割は、より効率的に働くことではなく、より深く感じることなのかもしれません。まだ言葉にならない何かを抱えたまま、それでも表現し続ける。その営みそのものが、これからの時代を豊かにしていくのだと、私は信じています。


▶ 元動画:https://www.youtube.com/watch?v=Osw-v4zHRVA

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