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スナック社会科vol.12「『いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろう-早尾貴紀対談集-』刊行記念 早尾さんと小田切さんにもっと嫌な話を聴く」に向けて

 来月の参議院選挙(7/20)が、恐ろしい選挙戦になりそうな予感がしておりますが、粛々とマシな方へ投票して翌日はこちらに集合いただけましたら。

 当日に向けてぽつぽつ書いて行くnote。今回ご出演のお二人との打ち合わせもまだ済んでいないため、プレとして、思ったことや気になったことなどを書き留めておこうと思います。

 まずは気になったニュース。先月のイスラエルによるイラン侵攻後、トランプ大統領が米軍がイランの核施設をバンカーバスターで空爆したことを正当化するために広島・長崎の原爆投下を例に出したというニュース。

 もちろん、日本国内では批判が吹き荒れるものとなったのですが、これは案外トランプだけでなく、西側諸国(旧植民地主義国)に共通する価値観なのではないのかなとも思いました。「イランへの空爆」と「広島・長崎への原爆投下」を同列に語ることと、西側諸国がイスラエルによるガザへのジェノサイドをずっと止めないことも同じなんじゃないのかなと。そう思うと見えてくるのは、「殺していい国(人)は西側諸国がジャッジする」といういまだ続く人種差別主義です。ちょっと長くなりますが、今回のスナック社会科で取り上げる書籍『いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろうー早尾貴紀対談集ー』(以下本書)より引用します。

(前略)
林 歴史家のマーク・マゾワーは国際人道法の確立に尽力した国際法学者たちによって、世界を「文明/野蛮/未開」の三つに区分する認識が生み出されたことを指摘しています。「文明国」はヨーロッパの国々ですね。「野蛮国」というのは国家制度があるものの、いわゆるヨーロッパ的な意味での文明がないとされた中国とオスマン帝国です。そして、国家ですらないアフリカや太平洋の島々の地域は、「未開地」とされ、「野蛮国」と「未開地」は国際人道法の適用対象から完全に外されました。そもそも第一回国際平和会議が行われた1899年は、中国で起こった義和団の蜂起を弾圧するために、アメリカ、イギリスや日本などの帝国主義諸国によって組織された八カ国連合軍が猛烈な虐殺を行っていた時期です。しかし、第一回国際平和会議では、そのことは全く論じられませんでした。当時の欧米各国は植民地獲得戦争をしていたわけですから、国際人道法の成立段階で、それが植民地戦争に適用されることがないように異なる基準が設けられたのです。むしろ「文明化の使命」によって「野蛮国」「未開地」の植民地支配が正当化されました。
(後略)

『いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろう−早尾貴紀対談集−(青土社、2025)
第2章 パレスチナと第三世界ー歴史の交差点から連帯する ×金城美幸×林裕哲 66頁
(初出 『現代思想』2024年2月号)

 「文明」と「野蛮」はネタニヤフ首相がちょくちょく使う言葉でもあります。

ネタニヤフ氏は今回、イランに多く言及した。演説では、「テロの枢軸」がアメリカやイスラエル、アラブ世界を脅かしていると主張し、それを「文明対野蛮の衝突」と表現した。

2024年7月25日 BBCニュースJapan
「イスラエルの首相が米連邦議会で演説、議事堂内外や本国で抗議」

パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルの首相府は3日、停戦交渉の仲介役を務めるカタールに対し、「二股をかけるのをやめ、文明の側に立つのか、ハマスの野蛮さの側につくかを決めるべきだ」とする声明をX(旧ツイッター)に投稿した。

2025年5月4日 朝日新聞WEB
「「文明側か野蛮側か」イスラエル、停戦交渉の仲介役カタールに迫る」

 ここで、先に本書から引用した林裕哲さんの発言部分の最後を思い起こしましょう、「むしろ『文明化の使命』によって『野蛮国』『未開地』の植民地支配が正当化されました。」ね?。その価値観がずっと繋がってんの。そして、戦争法・国際人道法に反するのではないか?と思われる広島・長崎の原爆投下は国際社会では裁かれないまま(国内では1963年に東京地方裁判所で広島・長崎への原爆投下は国際法に違反するとの判決が下されています。)、ガザでのジェノサイドも、イランへの空爆も同様です。ロシアのウクライナ侵攻はあんなに騒いだ「国際社会」が。そっかぁー、西側諸国の白人による白人のためにしか「国際社会」の連帯や制裁って発揮されないんだなー、と。いまだに。いまだに!。そして、「野蛮」や「未開」とされる国には「人道的支援」だけがなされる。上から。

 そして、この「人道」という言葉が使われる場面や使う人たちの欺瞞についても前回や昨年早尾さんをお呼びした社会科でも取り上げてきたし、サラ・ロイ本にもみっちり書かれていることでもありますが、本書の第6章「難民はつくられるーガザとルワンダを中心に」での早尾貴紀さん、小田切拓さんとの鼎談のお相手、米川正子さんのお話には初めて知ることが多く、ルワンダの虐殺も知ったつもりでいたとしか言えず、恥じ入るばかりでした。

 (前略)
米川 私は、「人道」や「和平」という用語はマジックワードだと言っています。人道や和平と聞くと、何かいいものだというイメージが先にある。しかし実態は違うわけです。
(中略)
米川 人道援助についてときどき指摘されているのが、これは新植民地主義だということです。60年代、70年代にアフリカ諸国は次々に独立していったと言われている。実は完全に独立しているわけではなく、今でも旧宗主国から援助を受けている。旧宗主国が人道援助や開発援助を使って旧植民地をコントロールしている。ここで「援助」というものが便利なものとして使われてきたわけです。我々は「援助」の本質をもっと理解する必要があると思います。
(後略)

『いつの日かガザが私たちを打ち負かすだろう−早尾貴紀対談集−(青土社、2025)
第6章 難民はつくられるーガザとルワンダを中心に ×小田切拓×米川正子 210頁

 この形を変えて続く「新植民地主義」は日本が戦後の高度成長期に旧植民地に対して、開発援助をする形で下請化させていった構図とも重なると思います。また衝撃的であったルワンダの虐殺についての実態は是非、本書をお読みいただきたいので、この鼎談が行われるきっかけとなった米川さんが執筆された記事を貼っておきます。

 これを書き始めて、数日経ってしまったのですが、気付けば参院選は明日が公示日。もう今から排外主義者がウェイウェイやっています。「仮想敵を作って全部そいつのせいにする」というのは古今東西、戦争も学校のいじめも人種差別によるジェノサイドも悪政も全部一緒なのですよね。選挙戦が人間狩りになる地獄。
 今のパレスチナは壊されてますよね。壊され続けてますよね?、人もすべての生き物も経済も土地も文化も歴史も。差別の行き着く先はこれなんですよ。だから目の前の差別も遠くのパレスチナで起きてることも絶対に止めなきゃいけないんです。過去を簡単に忘れたり、都合よく書き換えたらいけないんです。複雑さは豊かさを生みます。単純化は楽でしょうが、楽しくありません。しんどいと楽しいは両立します。

頑張りましょうね。無事皆さまと幕張で会えますように!


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