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田口の20球

素晴らしい野球を見た。

江夏との違いは、セットアッパー・今野龍太がつくったノーアウト満塁の状況を引き継ぐ形となった点だ。

「あれ、たしかに名勝負だけど、よくよく考えたら、江夏豊の自作自演だよね」。

日本シリーズという特別な舞台で、平常心を保つのは一苦労だ。
そこから盛り返して、21球で勝負を決めた。自作自演にしてはリスクが大きすぎる。「野球はドラマだ、人生だ」ということだ。

延長10回表の攻撃は、先頭から巡ってきた。
1番・松本剛のヒット、続く2番・上川畑大悟のヒットで松本剛は三塁へ。
3番・野村J佑希の打席で上川畑が盗塁。
Jがフォアボールを選び出塁。

こうして、ノーアウト満塁の状況がつくられた。
ベンチから監督・高津臣吾が出てくる。そして、今野は交代した。ワンアウトも取れなかった。今日は全ての球がうわずっていた。

田口は、一球ごとに「っしゃ!」「おりゃ」と“吼えながら”投球する。
スタンドはその気迫に圧倒されながら、今日の投球を見守っていた。

一球一球巻き起こる拍手が、徐々に大きくなる。
4番に抜擢の清宮幸太郎を2-2ピッチから空振り三振に仕留めた後、5番・万波中正をショートライナーに抑える。

ありがとう秀樹@au3_plum

ツーアウトまで漕ぎ着けたあと、バッターボックスに迎えたのは、かつての相方・宇佐見真吾だった。

田口のことを知り尽くした人。何より押し出しのリスクは消えていない。
どう抑えるのだろう。そもそも抑えられるのか?
誰も知らない結末は、田口麗斗の勝ちで幕を閉じた。

声を出さない応燕でも、その熱気で神宮外苑の気温が上がるのが分かる。
真剣勝負はファンも同じだった。

いい試合を見た。ヤクルトが村上宗隆のサヨナラツーランで劇的な勝利を収め、内山壮真にプロ初ホームランが生まれたからか。

もちろんそれもある。しかし、あの緊迫感に負けず投げ切った田口の戦う姿勢。
決して手を抜かず、全力で野球を極めるプロフェッショナルに触れたことは、一野球ファンとして誇りに思う。

田口の20球@au3_plum

どこの球団、誰のファン。そんなことは関係ない。
どうか、この神宮の真剣勝負を、ぜひ見て欲しい。

2022年5月24日火曜日、明治神宮野球場で行われたセ・パ交流戦。東京ヤクルトスワローズ対北海道日本ハムファイターズの試合です。

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