眠れない夜に(続編)🙏東洋医学で考える

第二の処方箋🙏肝をゆるめる眠り
ストレスと気の滞りを夜に残さない
東洋医学において、眠りの質に大きく関わる臓のひとつが「肝(かん)」です。
ここでいう肝は、単に西洋医学の肝臓だけを指すものではありません。東洋医学では、肝は「気の流れ」を調整し、感情や精神の動きをスムーズに保つ役割を担っています。
つまり、肝は私たちの「気分」や「ストレス」と深く結びついている臓なのです。
日中に感じた怒り、不安、焦り、我慢。
これらの感情がうまく発散されず体の中に残ると、気の流れは滞ります。
東洋医学ではこの状態を「気滞(きたい)」と呼びます。
気が滞ると、体の中に見えない緊張が生まれます。
胸のあたりが詰まるような感じ、肩や首のこわばり、ため息が増える、イライラしやすい。
こうした状態は、すべて肝の気がうまく巡っていないサインです。
この気の滞りが夜まで続くと、眠りにも影響が現れます。
布団に入っても考えごとが止まらない。
眠りが浅く、夢をたくさん見る。
夜中の2時や3時ごろに目が覚める。
これらは、東洋医学では「肝の働きが緊張している状態」と考えられます。
肝は、本来「のびやかさ」を好む臓です。
風が草原を渡るように、気が自由に巡る状態を好みます。
ところが、現代の生活はこの性質とは少し相性がよくありません。
長時間のデスクワーク、スマートフォンの画面、忙しいスケジュール、感情を抑える場面の多さ。
こうした環境は、気の流れを停滞させ、肝を緊張させやすくします。
そのため、夜の時間には意識的に「肝をゆるめる時間」をつくることが大切になります。
肝をゆるめる最も簡単な方法は、体をゆっくり動かすことです。
激しい運動ではありません。
むしろ、ゆったりとした動きが適しています。
肩を回す
背伸びをする
首をゆっくり回す
このような簡単な動きでも、気の流れは少しずつほどけていきます。
体を動かすことで、滞っていた気が巡り始めるからです。
もう一つ効果的なのが、深いため息です。
東洋医学では、ため息は気の滞りを外へ逃がす自然な働きと考えます。
「はぁ」と息を吐くとき、胸の奥にたまっていた緊張がゆるみます。
ため息を無理に止める必要はありません。
むしろ、静かな場所でゆっくり吐く呼吸は、肝を穏やかに整える助けになります。
また、目の疲れも肝の緊張と深く関係しています。
東洋医学では、肝は「目とつながる臓」とされているからです。
夜遅くまで画面を見続ける生活は、肝を休ませる時間を奪います。
寝る前の30分だけでも、スマートフォンやパソコンから離れる時間をつくると、目の緊張がゆるみ、肝の気も落ち着いてきます。
さらに、自然に触れることも肝を整える大切な方法です。
肝は自然界では「木」の性質を持つ臓とされ、伸びやかなエネルギーと結びついています。
昼間に空を見上げる
公園を歩く
風を感じる
こうした小さな時間が、肝の気を伸びやかにし、夜の眠りにもつながっていきます。
東洋医学には、こんな言葉があります。
「肝和すれば、百脈安らぐ」
肝が穏やかであれば、体のすべての流れが整うという意味です。
眠りの質もまた、この流れの中にあります。
肝がゆるむと、気は自然に下へ降り、心も落ち着きます。
夜は、一日の出来事を抱えたまま戦い続ける時間ではありません。
手放し、ゆるめ、体を元の静けさへ戻す時間です。
肩の力を抜き、ゆっくり息を吐いてみてください。
体の中で滞っていた気が、少しずつ流れ始めるのを感じるかもしれません。
肝がゆるむとき、眠りもまた、静かに近づいてきます。

