『ベッドタイムアイズ』の中で、『灰とダイヤモンド』
WOWOWオンデマンドにて、山田詠美原作、神代辰巳監督、岸田理生脚本、樋口可南子主演、『ベッドタイムアイズ』(1987年公開)を視聴した。
久々にまともな映画感想文でも書こうと思ったが、この一言に尽きる。
この映画は大河ドラマだ!
理由を説明する前に、ざっくりとあらすじを書いておこう。
セックスして喧嘩して、セックスして喧嘩して、セックスして喧嘩して、セックスして別れる話、と言ったら身も蓋もないのでちゃんと書くよ。
一幕
横須賀の米軍施設でジャズシンガーをやっているキム。彼女は黒人の米兵スプーンと出会ってすぐにセックスして、恋に落ちる。そしてキムは、同棲相手でバンド仲間の市来に「黒人と寝た」と告げて別れる。その足で、十年来慕っているマリア姉さんの家に身を寄せる。
市来がマリアの家にやって来て、キムに会うなり、「俺はマリア姉さんと寝たことがある」と打ち明ける。だがマリアが市来と寝たのは、キムの差し金だった。キムは本気で惚れそうになった男がいると、必ずマリアに頼んで寝てもらっていた。そうやって自分の心をガードする女なのだ。
キムは横須賀のマーケットでスプーンと再会し、熱い夜を過ごす。しかしスプーンが交通事故に遭い、どこの病院に運ばれたのか分からない。キムはスプーンを探し、そして待ち続ける。
二幕
やがて、スプーンがキムを探し当て、キムはスプーンと彼の飼っている黒猫オズボーンと同棲を始める。そして熱病に侵されたようなめくるめく性愛の日々が始まる。
そんな折、スプーンが麻薬の売人として金を得ていることを知ったキムは、彼と大喧嘩。スプーンを追い出してしまう。
どうしていいか分からなくなったキムは、久々に市来と寝る。しかしどうしていいか分からなくなって市来の元に来たにも関わらず、もっとどうしていいか分からなくなってしまう。結局、スプーンとやり直し、肉体で始まった愛は精神への愛へと変わる(←YouTubeの解説から拝借)。
三幕
キムとスプーンの愛と喧嘩の日々が続く。またもや大喧嘩をしてスプーンが出てゆく。キムがマリアの家に行く。すると、スプーンはマリアと寝ていた。
これまでは本気で惚れそうになった男を、あえてマリア姉さんと寝させていたキムだったが、このときばかりは我慢ができなかった。もうスプーンと離れられないのだ。
スプーンはキムと共にブラジルに行こうとするものの、米軍に捕まってしまう。一人になったキムは、ジャズのリズムに合わせて銀のスプーンをテーブルに何度も何度も叩きつけるのだった。
さて、なぜこの映画が大河ドラマなのか?
大河ドラマは初回や最終回といった特別編を除いて約45分。この映画は、45分で終えられるものを、およそ120分にちんたらと間延びさせた映画だ。もう大河を超えた大河なのだ。もちろん皮肉だよ。
とにかくひとつひとつシーンが長い長い。あえてそうしているのだろうけれど、まあ、長い長い。奥田瑛二が樋口可南子にフラれるシーン、長い長い。マジで長い。とっととフラれろよ。本当にストレスだった。
セックスシーンも長い長い。て言うか、セックスしているように見えないのがすごい。ただキスをして、体を擦り合わせているようにしか見えないのだ。実際、そうなんだろうけど。
ここまでくると、「可南子」が一発で変換できないのもストレスだ。
ただ、見ている途中で気づいたのだが、ほとんどワンカメ、と言うかワンシーン・ワンショットで撮影されていて、なるほど、だからいちいちシーンが長いのかと思ったが、それにしたって長い。だるい。
途中、キムとスプーンが映画を観に行く。その映画がアンジェイ・ワイダ監督『灰とダイヤモンド』。
私は思わず、『ベッドタイムアイズ』を止めて『灰とダイヤモンド』を観ようとしてしまった。
そんな映画だった。
おしまい。
文:志井永子

