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マニュアルのない設計事務所で働く、生き残るメンタル

入れ替わりの激しいこの場所で

設計事務所(業界ではアトリエとも呼ばれます)で働き始めて5年が経ちました。 私の働く事務所でも、たくさんの人が入っては辞め、入っては辞めていきました。

そもそも多くの学生は、「独立のための修行期間」としてアトリエの門を叩きますが、実際に働いている人のパターンは大きく4つに分類されるように感じます。

  1. 【独立・ステップアップ組】
    初めから「3〜4年」や「2〜3物件担当したら」と期限を決めて働き、スキルを盗んで別の事務所へ行くか、独立する人。目的意識が明確です。

  2. 【早期リタイア組】
    数ヶ月〜2年程度で壮絶な労働環境に直面し、心身のバランスを崩して休職・退職する人。おそらくこの層が一番多いのではないでしょうか。
    ※早期と書きましたが、5年以上働いて中堅に差し掛かっている人のなかにも当然いらっしゃるかと思います

  3. 【なんとなく定着組】
    明確な目標はなく、「企業への就活がしんどいから」と入社。意外と性に合っていたり、忙しすぎて考える暇がなかったりして、気づけば5年以上働き、重要な戦力になっている人。

  4. 【奇跡の適合者】
    給与、やりがい、休日のバランスが奇跡的に自分の価値観と噛み合っている人。(極めて希少種)

①や④の人は迷いがないでしょうし、③の人も転職できるスキルが身についています。 一番苦しいのは、やはり②の「早期に心が折れてしまう人」でしょう。

これから設計事務所に入ろうとする方、あるいは今まさに②の状況で苦しんでいる方へ。(またはその親御さんへ)
これはアドバイスや説教ではありません。

「こういう生存戦略もあるんだな」程度の気持ちで、5年目の独り言を聞いてください。


建築設計という仕事の「解像度」

大前提として言わせてください。


建築設計は、しんどい仕事です。


夢を壊すようですが、
はっきり言って「向いている・向いていない」は残酷なほど存在します。

なぜしんどいのか。
それは「関係者」と「仕事量」と「正解」があまりにも多いからです。

施主、上司、所長
建築基準法、消防法、各自治体の条例、検査機関
公共工事なら役所の関係者の方々
構造、設備、電気
測量、地盤調査、 施工会社、メーカー担当者
近隣住民の方々……

まだまだありますが、これら数え切れない関係者の間に入り、潤滑油となり、交通整理を行い、すべての利害を調整しながら建物を竣工へと導く。

その上で、自分のやりたいデザインを表現し、納得してお金を払ってもらわなければなりません。

日々新しい知識やトラブルが雪崩のように押し寄せ、やることリストは無限に増殖します。特に最初のうちは、何をどうすればいいのか全くわからず、不安と無力感で押しつぶされそうになるのが「普通」です。

現在バリバリ働いている建築士も、おそらく全員がこの限界に近い期間を経験しているはずです。


「マニュアルがない」という絶望

今の学生さんや若手の方にとって、一番のストレスは「マニュアルがないこと」ではないでしょうか。

定時で帰れる。
研修制度が充実している。
給料も高い。
休日も残業代も昇給も賞与も通勤費も資格手当も家賃補助もある。
大企業や組織設計事務所なら当然の福利厚生でしょう。しかし、多くのアトリエ事務所はそうではありません。

  • 上司も忙殺されていて、教える暇がない(=自分で調べるしかない)。

  • プロジェクトごとに敷地も条件も違うため、画一的なマニュアルが作れない。

  • 所員の入れ替わりが激しく、事務所にナレッジが蓄積されない。

「背中を見て覚えろ」と言うつもりはありませんが、膨大な業務量を前に「体感して覚えるしかない」というスタイルに、業界全体が慣れきってしまっているのが現実です。 この環境に、覚悟なしで飛び込むと、ギャップで即死します。


では、どうすればこの環境で生き残れるのか。メンタル管理の方法は、2つあると思っています。


生存戦略①:「自責」で自分を塗りつぶす

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