【スタッフのおすすめ】第169回芥川賞受賞の話題作『ハンチバック』
こんにちは!audiobook.jp制作チームのSoraです。
みなさまの耳活を充実したものにすべく、日々オーディオブックの制作に励んでいます。
現在audiobook.jpでは「読書の秋 応援キャンペーン」を開催中です!
最近やっと涼しく(寒く?)なってきて、お散歩には絶好の気候になってきましたね。
紅葉を眺めながらオーディオブックを味わう、、、なんて、上質な時間はいかがでしょうか。
今日はこの「読書の秋 応援キャンペーン」対象作品の中から、おすすめの1冊をご紹介します。
市川沙央「ハンチバック」です!
第169回芥川賞受賞。
選考会沸騰の大問題作!
「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」
井沢釈華の背骨は、右肺を押し潰すかたちで極度に湾曲している。
両親が遺したグループホームの十畳の自室から釈華は、あらゆる言葉を送りだす――。
こちらは第169回芥川賞受賞作品。
当時話題となったため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
現在は世界25の国と地域で翻訳版の刊行が進んでおり、つい先日、フランスで最も権威のある文学賞の一つ「メディシス賞」の外国小説部門最終候補にノミネートされました。
この作品は、重度障害者の女性を主人公とした物語ですが、作者の市川沙央さん自身も、重度障害者であり、人工呼吸器・電動車椅子の当事者です。
作品内では、常に痰の窒息に警戒をしたり、自宅内でのちょっとした移動にも事前シミュレーションが欠かせないといった、当事者のリアルな生活が描かれています。
このリアルな描写を通じて主人公「釈華」の感覚を追体験することで、彼女の感情を自分ごとのように感じてしまい、あっという間に引き込まれました。
特に印象的なのが、釈華が読書をする場面。
身体的ハンデにより、釈華が紙の本を読もうとすると、彼女の背骨には大きな負担がかかります。
本を読むために、心身を犠牲にしなければならない。
紙の本が読めるということは、身体の健常性が必須。
そのことにあまりにも無自覚に生きてきた自分に、はっとさせられます。
小さなグループホームでの日常を追いかけているうちに、障害者の権利、優生思想、といった社会への大きな問いへと思考が広がっていく……。
聴き終わったあとは、眼の前の景色が少し違って見えるかもしれません。
重厚なテーマを扱っていますが、文体は非常にポップ!作者の皮肉や自虐めいた言葉の数々は、音声で聴くと面白さがマシマシです。
ぜひ一度お耳に入れてみてくださいね!
