WEIRDな心理学をどうするか
私たちは日常の中で,「日本人はこう考えがちだ」「欧米ではこうだ」といった文化の違いについて語ることがあります。たしかに,人の感じ方や考え方には文化による違いがあります。しかし,その「文化差」に関する心理学の知識は,本当に世界全体を代表しているのでしょうか。
実は,心理学の研究には,長年にわたって特定の国や地域に偏ったデータが使われてきたという問題があります。
WEIRD
これまで心理学では,欧米の先進国を中心とした研究が圧倒的に多く行われてきました。
こうした国々は,「WEIRD」と呼ばれます。これは,次の頭文字の集まりです。
◎Western(西洋)
◎Educated(高学歴)
◎Industrialized(工業化)
◎Rich(裕福)
◎Democratic(民主主義)
ちなみに「weird」という単語は,「奇妙な」「風変わりな」また「運命」「宿命」という意味もありますので,こういった頭文字の集まりが,この言葉の流行をもたらしているのかもしれません。
他の国々
多くの心理学理論や知見は,このWEIRDな社会の人々を対象に作られてきました。しかし,世界にはそれ以外にも多様な文化が存在しており,WEIRD社会だけをもとに「人間一般」を論じることには限界があると指摘されてきました。
こうした批判を受けて,近年の心理学では「欧米以外」の文化を研究する動きが広がってきました。その中でも特に多く研究対象になったのが,中国,日本,韓国などの東アジア圏,とくに儒教文化の影響を受けた「儒教圏東アジア(Confucian East Asia)」です。
これらの地域は,欧米とは異なる文化を持ちながらも,教育水準や研究インフラが整っていたため,欧米研究者にとって共同研究を行いやすい相手でした。その結果,「西洋」と「東アジア」を比較する研究が,文化心理学の中心的な形になってきたという研究の流れもできています。
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