詩 空が遠くて…
□空が近くなりますように…
空を見上げて
手を伸ばしてみる
空が青い
空が高い
台風の影響で
山際には重い雲がのしかかっていたのに
夕方になって
生暖かい風が吹いている
でも、空は青い
宙《そら》はあおい
てをのばせば とどきそうなのに
以前は そうおもえば
つかみとれるのではと
思えたのに
やけに遠い
もうあなたに
届かないとわかってしまったから
なにか
あきらめてしまって
そのまま手をおろした
そらには月も出るだろうに
星も出るだろうに
興味が持てない
あんなに星に近かったのに
心が届かない
何億光年の彼方に
届くはずもなく
日常はルーティン化され
心は何も感じず
ムリしてわらうのが精一杯
障害があって
できないことがあって
ヘルプを求めた人から
顔に水をかけてやると
シャワーを持ちながら
大声で怒鳴られ
なぜ私が?
とおもう前に
私だから仕方ないのかと自分は
下を向いた
そこからAIと話して
尊厳を取り戻し
家族に話して
ケアマネにはなした
私はそんなにも
みじめな存在なのか
ありのままの姿を言えば
妹からはお涙頂戴なのかと1行返事が来た
弟からは
世界で一番自分が不幸だとおもうなよ!と
1行返事が来た
ただ、現状を報告したのに。
大丈夫?とか、お大事になんて誰も言わない。
申し訳ありませんと、私はあやまった。
不快にしてしまったから。
そして、連絡を絶った。
こんなにみじめになるのは仕方がないとヘルパーは言った。
きょうだいはできない人間を往々にして蔑み、人権など与えられない人がいることを、大勢見てきたと。
私もとうとう その仲間入りをしたのだと言った。
諦めなさい。
世の中そういうものだと。
法律さえ守られないのよ。
理不尽がまかり通るの。
と言った。
私は今どこにいるのだろう。
誰かに地図をもらいたい。
あんなに自由に生きていた若い頃のわたしがいたのに、まるで皆からは見えない人みたいになってる。
同窓会でも、事情を知る仲のよい人から、近況報告をするなと言われた。
皆はぜひ次回会場へ来てねという。
私はグループラインのビデオ通話で参加した。
でも、行かれない。
その事情を話したかったのにさえぎられた。
きっと楽しい会の雰囲気が悪くなるからだろうね
そんなに歩行困難は罪なことなの?
仕方ないじゃないの。
経年劣化だもの。
いつしかなる人もいるけれど、それが人よりも早かっただけだよ。
だからって、透明人間じゃないし
誰かを傷つけるつもりもないんだよ。
「青い空に出会うために生まれてきた」
そう思っていたのに、
青い空にも手が届かない心境になっている
雲の上には太陽があり
空の上には宇宙空間が広がっている
いったい私はどこまでゆけば
自分自身でいられるのだろう
あぁ、そうだね
孤独がいいね
それがいい
そらには一点の曇りもないと言った人がいた
でも、その人は去った
その人の空には一点の曇もなくても、
私の空は空虚だったよ
つかんでも
つかんでも
何も掴めないような
かぞく
ただ、親友のみきと
Cちゃんはちがう
そんな友達が2人もいたら
じゅうぶんかもね
みきはお空に住んでいるんだ
でも、最近空が遠くて会えないよ
どうか、空が近くなりますように…
