爪の黒線が増えた日
「ただの線」が、消えなくなった。爪の根元を失う、覚悟の検査。
最初は、爪に細い線が1本入っただけでした。
「ほくろがどんどん伸びていくな…」と子育てで忙しく動かしている手元を、それほど深くは気に留めていませんでした。
けれど、その線は消えるどころか、次第に濃くなり、本数が増えていきました。
「これは、一度ちゃんと診てもらったほうがいい」
医師のその言葉から、私の日常は一変しました。
【核心:過酷な検査の現実】
「爪の検査」と聞いて、みなさんはどんな想像をしますか?
少し表面を削るだけ、そう思っていた私に告げられたのは、想像を絶する内容でした。
悪性かどうかを確定させるためには、爪の根元から、骨のギリギリまでを切除して組織を調べる必要がある。
職人として、18歳からずっと大切にしてきた指先。その一部を、検査の段階で「失う」ことが決まった瞬間でした。
【葛藤:移植という選択肢】
さらに、切除した部分を補うために、切除した後、日数を置いてから足の裏や太ももの皮膚を移植する計画になりました。
自分の体の一部を、別の場所に持ってくる。
「病気を治すため」だと頭ではわかっていても、鏡に映る自分の手を見るのが怖くて、夜になると言葉にできない不安が押し寄せました。
【結び:決意】
「指先が前と変わってしまうかもしれない」
そんな恐怖と戦いながら、私は手術台に向かう覚悟を決めました。
コロナもまだ治まっていない時だったので、付き添いは一人、面会もできず子供達には退院まで会えませんでした。

