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HB WORK Competition Vol.7 川名潤賞大賞を受賞して、イラストレーターのコンペについて考える。

先日、HB Gallery主催の『HB WORK Competition Vol.7』にて川名潤さんの大賞を受賞しました。

栄ある賞ですし、すごく光栄なことなのですが、紆余曲折があっての結果なので、イラストレーター、またはアーティストに対してのコンペディションについて自分の実体験を元に考えてみようと思います。

まずは自分のこれまでの受賞歴です。

・第74回山口県美術展覧会 佳作
・第12回やまぐち新進アーティスト大賞
・第78回山口県美術展覧会 入選
・令和7年度山口市美術展覧会入選

山口県出身在住の自分は、イラストレーションというよりも、アート関連の山口県内の公募に応募をしていました。県美展についてもこれまでnoteに記事を書いたりもしてきましたが、入賞したり、落選したりを繰り返してきています。

HB WORKに応募する直前の公募結果は、令和7年度山口市美術展覧会の入選でした。ただ、自分としてはその結果に大きな手応えを感じることができませんでした。そのこともあり、どこか公募に愛想を尽かされたような、あるいは自分の方から愛想を尽かしたような感覚があり、もう公募やコンペに応募するのはやめようかと考えていました。

アート関連だけではなく、イラストレーション関連のコンペ『The Choice』『TIS公募』にも応募してきましたが落選しています。なので方向を変えたものに応募しようとも思えませんでした。ただ、漠然と受からないから辞めようと言うのではなく、コンペで受賞することが必ずしもイラストレーターとして、アーティストとして成功の道だとは言い切れない所もありますし、審査員の好みだったり、タイミングだったり、運の要素も強い舞台に縛られすぎるのもよくないなと考えたからです。

イラストレーターになって8年目ですが、毎年欠かさず何かしらの公募やコンペに応募してきていたので、やはり続けて出していると傾向を読むようになったり、審査員を意識したりするようになったり、賞を取るためというのが目的になっていたところがありました。それも悪いとは言いませんが、絵を仕事にするには美大を出ていなければみたいな話とも近いものがあるかもしれません。

あとは少し疲れてしまった部分もあるかと思います。もっと賞のことを考えず、もっと言えば仕事のことも考えずに、ただ好きに描いてみたくなったのかもしれません。

イラストレーターなので、仕事を全く意識しないのもどうなのかと思いますが、SNSのいいねの数を気にするのと同じような感覚かもしれません。現代のいいところでもありますが、何かしらの評価が付き纏ってしまうのも良くないこともあるのかもしれません。

ただ、そう言いながらも、今振り返ってみると完全に仕事のことを考えていなかったわけではないとは思います。と言うのも、その時は装画の仕事に興味があったと言いますか、読書にハマっていたので必然的に仕事のことを頭のどこかで考えながら生活していたのです。何も考えずに絵を描いていたとしても自然とそれが出ていたのかもしれません。

もうコンペなどには出さないと言いながらたまたまTLのに流れてきた『HB WORK』の投稿を目にし、審査員がブックデザイナーさんたちだったこともあり、装画の仕事をしたいと思っていたし、ブックデザイナーさんのことも調べていたので、審査員のお名前を全員知っている。そして、それを無自覚に意識して描いていた作品は、もしかしたら装画っぽくなっているかもしれないし、ブックデザイナーさんが審査員なら刺さるかもしれないと考えたのです。

落選も多く経験していましたし、別に出すことに抵抗はありませんでした。そして特段コンペを意識して描いた作品ではなかったので、いい意味で肩の力が抜けているし、出して損することもないし、出してみるかと結局コンペに応募することとなったのです。

そして結果は「川名潤賞大賞」です。

びっくりも、もちろんしましたが、少し冷静だったと言いますか、直近で落選していても場所を変えるだけで大賞になってしまうものなのかと、嬉しくもあり、少し悲しく、寂しく、複雑な気持ちになりました。

でも、だから面白いとも言えるのかもしれません。賞を受賞したから何か大きく人生が変わるとも限りませんし、それを機に大きく変わる人もいます。それは賞自体に影響があるのか、その賞を見ていた周りの人によって変えられるのか、色んな形があるのだとは思いますが、やはり受賞歴は全く関係ないとは言い切れないなとは思います。だからと言って、受賞歴がないからダメだとも言えないのも事実です。

でも、やはりどんなに自分一人が頑張っていたとしても届かない場所はありますし、どこかで誰かに掬い上げて貰わないと到達できない部分もあるなと実感している部分もあるので、やはり受賞できることは嬉しいです。それに甘んじることも無いようにはしたいですが。

絵を仕事にするのなら美大を出ていなければいけない、美大は関係ない、みたいな話をネット上で目にすることも多くなりましたし、そもそも絵を仕事にすること自体がすごく広がったと言いますか、肩書きもさまざまです。そうなってくると、成り方も異なりますし、成功の仕方も無限にあり、まず人それぞれな部分があります。

今回のコンペの話もそうですし、そこに絵で食っていくことを賭けるのも一つの手ですし、応募することが怖いと言う人もいます。そう言う人は無理に出さなくてもいいですし、そう言う人もバリバリ仕事をしていたりしますから、誰々が賞を受賞しているから自分も出さなくてはいけないのではないかと考えすぎなくてもいいとも思います。

自分は最近エンタメ系の仕事をしてみたいなと思っていたりしますが、当初はそこに憧れ、勝手に挫折し方向を変えたのにも関わらず、全く違う方向で仕事をしていたら、エンタメの方から声がかかるようになったりと、本当に何が起こるかわからない世界です。

何が間違っていて何が正しいのか、でもしっかり商業として、仕事として、受注者としての線引きは、大切ですし、そこを有耶無耶にしてしまうと自分が苦しくもなってしまいますし、ましてや他の同業の人にも迷惑がかかってくることもあるかと思います。

とても自由度が高く、そもそも絵自体がそうなのですが、楽しくもあり、難しくもあり、大変な世界ではありますが、そこで生きたいと自分から選んできた人であれば、覚悟を持ってやっていくしかないなと思いました。

少し話が飛躍しすぎたかもしれませんが、最終的に自分がどうありたいかだと思います。コンペに対して酷く疲弊している人に対して少しでも希望になる記事になっていればと思います。もっと広く言えば絵を仕事にしたいと思っている人にもです。もちろん自分もまだまだだなと感じますし、もっと色んなことを勉強していきたいと思っています。でも、こんな自分の人生のこととして仕事について考えられるのはとても幸せなことだなと感じます。

最後に『HB WORK Competition Vol.7』の川名潤さんからのコメントと作品です。


〈川名 潤氏 コメント〉

リアルイラストレーションの醍醐味はおそらく、普段目に見えているものをより細緻に描写することによって見る者が得られる感動にある。しかしこの絵は、ハイコントラストにすることによって描かれない場所をつくり出し、見る者の視点がなかば強制的に描かれた場所へと誘導される。これは私たちの目がなにかしらの光景を目にする際に日常的にしていることにもかかわらず、こういったイラストレーションを見る際にはそれほど経験することではない。とても新鮮だった。


こんなにも普段自分が考えて描いていることを綺麗に言語化していただいたようなコメントをいただけて大変嬉しく思っております。

ちゃんと自分の作品が届くところに出せば、しっかりとみてくださる方がいます。そこに出会えるのも運ですし、運を掴むのも自分次第です。

賞を機にいただけたお仕事です。

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