『あなたのお気に入りの場所を教えてください』
今年の春。
noteでNさんという方の個人企画
『あなたのお気に入りの場所を教えてください』が目につき、応募したときの話。
僕の家の近所に小さな沼がある。
それはちょうど桜が散ったあとで、沼の一面がピンク色の花びらで覆われていた。
その様を見ていると、なんだか歩いて渡れそうな気がしたので、僕はその情景をスマホに収めた。
沼の真ん中あたりに小さなゴミのようなものが浮いていたが、僕は気にも留めず、
「桜の絨毯の下は沼でした」
そんなコメントを添えて写真を投稿した。
すると、すぐにNさんから反応があった。
「あっ、その場所知ってます」
あまりの偶然に少し動揺したものの、身バレするはずもないと冷静を装い、
「へー、奇遇ですね」と返信した。
すると、
「ほんと、ご近所だったりして」と戻ってきた。
その後は成り行きで、沼の近くのホームセンターで植木市がある、といったローカルネタで思いのほか盛り上がったりした。
それからというもの、Nさんは僕の記事に頻繁に「スキ」をくれ、必ずコメントも残してくれるようになった。
気味の悪いほどの親近感を抱き始めていた頃、あの沼の写真にNさんが再びコメントをくれた。
「昨日、沼で会いましたよね」
ぞくっとした。
確かに昨日、僕は散歩がてらあの沼へ行った。
だけど、周りには誰もいなかったはずだ。
気味の悪さを隠しながら、
「冗談はよしてください、誰もいませんでしたよ」
と返すと、すぐに返信が来た。
「いえ、わたしはこの沼に住んでるんです」
「沼の中に? またまた……」
「ホントです。投稿した写真をよく見てください」
僕はスマホに目を近づけ、沼の写真に目を凝らした。
すると、沼のちょうど真ん中あたりに、花びらを割るようにして小さな突起が見えた。
指で拡大してみると、それは水面から半分だけ顔を出した何かで、頭頂部は奇妙に平らで白く光っていた。
その何かと、スマホの画面越しにバッチリ目が合った……
あれから三ヶ月あまり経った今日、再びNさんが個人企画を始めた。
僕はあの沼の話を投稿していた。
完
或いは
寒
(´ε`;)ウーン…
