第5回:【絶望】最短起動0秒の代償。自分のPCなのに、USBがないと入れない。
スマートな「擬態」へのこだわり
三頭の魔獣「ケルベロス」を飼い慣らし、ついに私は究極の境地に達した。 だが、私の理想はさらにその先にあった。 「見た目は何の変哲もない、ただの爆速Chromebook。だがその実態は……」これだ。 普段は余計な起動メニューなど一切出さず、電源を入れるたびにChromeOSが立ち上がる。スマートだろ?
Windowsを使いたい時だけ、起動時にF12キーを押してブートメニューを呼び出し、そこからWindows Boot Managerを選択すればいい。 そしてUbuntu? お前はもう用済みだ。GRUBの設定さえ終われば、ディスクの端っこで静かに眠っていろ。
問答無用の「0秒」設定
Brunchという「非公式」の力を借りている以上、本来なら起動オプション(kernel parameter)という手綱をいつでも握り直せるようにしておくべきだった。
だが、数日使ってみて何の問題も起きないのを見て、私はこう確信した。 「不具合があればその時また追記すればいい。今はとにかく、この『爆速』を極めたい」
私は意気揚々と設定ファイルを書き換え、待ち時間(TIMEOUT)を……問答無用で「0」に設定した。
再起動。 それはもう、笑いが止まらないほどの速さだった。富士通のロゴが出たかと思えば、次の瞬間にはChromeOSのログイン画面だ。 「完全勝利だ。これこそが私の求めていた真の姿だ」 私はその夜、勝利の美酒に酔いしれた。
0秒の壁:締め出したはずが、締め出されてしまった
だが、私は忘れていた。 ChromeOS (Brunch) は、常にアップデートや微調整が必要な、繊細な生き物だということを。
ある日、どうしても起動オプションを修正しなければならない事態に陥った。その鍵を握るのは、ディスクの端に追いやったUbuntuのGRUBだ。 私はPCを再起動し、必死にキーを叩いた。 だが……立ち上がるのは、無情にもいつものChromeOS。
当たり前だ。「0秒」でOSを選択することなど、人間には不可能だったのだ。 機械の速度で行われる判定の間に、Ubuntuを呼び出す隙間などどこにもない。
「……締め出したはずのUbuntuに、俺が締め出されてしまった……とほほ」
結局、また「USB」を握りしめて
私は絶望した。 PCの内蔵SSDの中には、確かに最強の管理人(Ubuntu)が住んでいる。すぐそこにいるんだ。 なのに、玄関の鍵を「0秒」で閉める設定にしたせいで、家主である私自身が、その管理人に会うことができない。
結局、私は引き出しの奥から、かつて使っていたUbuntuのインストールUSBを取り出した。 自分のPCの中にUbuntuがいるのに、わざわざ外付けUSBから起動して、内蔵SSDの領域に「侵入」し、設定を書き換える……。 「何をやっているんだ、俺は……」
最後に伝えたいこと
どんなに最短起動を極めたくても、OS選択画面の猶予は最低でも「2秒」は取っておけ。 それは、将来の自分へ向けた「救済の猶予」なんだ。
2秒待てば、平和が手に入る。 0秒にすれば、USBメモリを持って夜を徹することになる。
これが、三頭の魔獣と戦い続けた男の、最後の教訓だ。
あばよ!!
(完)
