【自由詩】三月、風の中で
三月の空は
春を名乗りながら
まだ冬の息を手放せずにいる。
道ばたの菜の花は
震える花弁をそっと寄せ合い
それでも確かに
季節のほころびを告げていた。
冷たい風が頬を刺すたび
胸の奥で
小さな灯がふるえて
また強くなる。
行きつ戻りつしながら
季節は進む。
人もまた
そんなふうに
少しずつ
あたたかさへ向かっていくのだろう。
あとがき:
弥生三月の寒の戻りは、季節が迷っているようで、どこか人の心に似ています。前へ進みたい気持ちと、まだ踏み出せない不安。その揺れの中にこそ、春の兆しが宿っているのかもしれません。寒さの中でも、確かに近づいているあたたかさを感じられるような詩になれば嬉しいです。
本日も御一読ありがとうございます。
皆様におかれましては
佳き一日であることを願っております。
