異世界ミートリア 【第5話】⑧モツ様も、仲間になればいい
【前回のあらすじ】
肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。
右近さんの筆が、肉神モツの声にならない想いを言葉にした。「荷苦」——命をいただく重さを、人々が忘れるたびに、肉神モツは世界を終わらせてきた。
タカーズは、命への感謝も一緒に、肉を解放する道を選んだ。
けれど肉神モツは、まだ恐れていた。
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第5話⑧モツ様も、仲間になればいい
黄金色の光の中で、
肉神モツは、ただ小さく揺れていました。
その光を見上げながら、
まきマネが、ぽつりと言いました。

「……モツ様ってさ、
ひとりで見ていたから、怖くなっちゃったんじゃないかな」
タカーズも、
王国の人々も、まきマネのほうを見ました。
「十七回も、世界の苦しみを見てきたんだよね。
争いも、無駄にされる命も、届かなくなった声も」

「それを全部、ひとりで背負ってきたんだよね」
肉神モツは、何も言いません。
まきマネは、
少しだけ照れたように言いました。
「だったらさ。
これからも、この世界を見守ってほしい」

「でも、ひとりで決めないで。
終わらせる前に、教えてくれたらいい」
肉神モツの光が、小さく揺れると、
たかっち社長が、真剣な顔で言いました。
「肉神モツ様。
パンツは、背負うものではありません。身につけるものです」

まきマネは、すかさず身を乗り出しました。
「ねぇ、今、それで伝わる!?」
たかっち社長は、真顔のまま続けます。
「つまり、もうひとりで背負わないでください」
ヒロパンダも、腕を組んだまま言いました。
「肉の道を誤りそうになったら、
そのときは叱ってくれ」
そして、真剣な顔でつけ足します。
「ただし、肉封印と、世界終了はなしで頼む」

まきマネは、思わず振り返りました。
「そこ、めちゃくちゃ大事!」
「パンツも封印しないでください」
「そこも!? いや、確かに大事!!」
みんなの笑い声が、通りに響きました。
肉神モツは、この世界を見届ける中で、
何度もこのやりとりを見てきました。

真剣なのに、どこかずれていて。
ずれているのに、なぜかまっすぐ届いてくる。
肉神モツも、
思わず、ぷすっと笑ってしまいました。
みーちゃんPは、双眼鏡を握りしめました。
「モツ様も、仲間になればいいんだよ」
まきマネは、ぱっと顔を上げます。
「みーちゃん!それいい!
王国の人々が助け合うように、モツ様も仲間!」

肉神モツの光が、ゆっくりと広がり王国を照らしました。
長いあいだ閉じ込めていたものが、
少しずつほどけていくように、
あたたかな光が空いっぱいににじんでいきます。
やがて、光は消え
空はいつものやさしい色を取り戻しました。
そして次の瞬間――
肉神モツは、パンツの妖精のように、
ふわりとやさしく舞い降りてきたのです。

まきマネは、思わず目を丸くします。
「……降りてきた」
肉神モツは、
少しだけ気まずそうに、みんなを見ました。
「……仲間、というのは、ここにいてもよいのか」
みーちゃんPは、こくんとうなずきました。
「うん。いていいんだよ」
まきマネも、にっこり笑います。
ヒロパンダが、真顔でうなずきました。
「肉の道を見守る者は、必要だ。
だが、もうひとりで見守らなくていい。
ニクの妖精として、我らとともに歩もう」

肉神モツは、目をぱちぱちさせました。
たかっち社長とパンツの妖精も、にっこり笑います。
もんやーみが、嬉しそうに笑いました。
「モツ様は、ヒロさんの相棒ですね」
ときどきさんも、うなずきます。
「うん。
ひとりで抱えなくていいね」

ダチョウが、クァァァァと鳴きました。
肉神モツは、
ふわふわとやさしく浮かんでいます。
長いあいだ背負ってきた荷苦が、
少しだけ、みんなの手に分けられたようでした。
まきマネは、小さな声でつぶやきます。
「それに……
たまにはムダニクスになったって、いいよね?」
「え?」
たかっち社長が振り返ると、
まきマネは、大まじめな顔で言います。
「ムダニクスファン、喜ぶよ?」

一瞬、通りが静まり返りましたが、
しんりんさんが、深くうなずきました。
「……まあ、ムダニクス様特設棚も、
そのまま残しておけて非常に助かります」
すると、もちちゃんが、ぽつりと言いました。
「ムダニクス様の『ヘト〜』って口癖、
実は人気ありましたよ」
「えーー、もちちゃん!?」
もちちゃんの意外な暴露に、
まきマネは、目をまんまるにして驚きました。

うめこさんは
口元に手をあてて、うふふと笑いました。
笑い声につられるように、
ひとり、またひとりと、王国の人々の表情がやわらいでいきます。
肉神モツは、
ふるふると、楽しそうに揺れています。
もう、ただ世界を見守るだけの神ではありません。
この世界で、
みんなと共に生きる神になったのです。
✨第5話⑨へつづく✨
📋️まきマネの覚書
5話⑧:1,669字
現在の物語:56,785字
📝〆切は7月8日⏰️


探し物を履いていた、たかっち社長。
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