異世界ミートリア 【第3話】④ 小さな幸せ、王国に灯る!
【前回のあらすじ】
肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。
肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。
第3話では、ため息の影に覆われた王国で、うめこさんが人々の小さなサインに気づき、もちちゃんが“ほっとする一杯”の大切さを伝える。
戻ってきた豚肉で作られた元気もどりの豚汁は、人々に食べるぬくもりを思い出させ、ムダニクスを少しずつ弱らせていく。
だが、黒い影はまだ消えていなかった。
そのころ、広場のはずれの屋根の上では、一羽のフクロウが、静かに王国を見つめていた。
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【第3話】④
小さなしあわせ、王国に灯る!
元気もどりの豚汁の湯気が、
ミートリア王国の広場いっぱいに広がっていました。
重たく沈んでいた人々の表情も、
だんだん明るくなってきます。
「……あたたかい」
「なんだか、体が楽になった気がする」
「今日は、ちゃんと休もうかな」
さっきまではなかった言葉が、
広場のあちこちから聞こえてきました。

もちちゃんは、人々を見つめます。
「少しあたたかい。少し安心する。少し食べたいって思える。
そういう小さなことが、きっとしあわせなんだと思います」
うめこさんは、静かにうなずきました。
「そうですね。回復は、急に起きるものではありません。
小さな安心を重ねるうちに、体も心も少しずつ戻っていくんです」
黒い影は、ぎろりともちちゃんを見ました。
『小さなしあわせなんて……無駄ヘト……』
もちちゃんは静かに顔を上げます。

そして、
やさしい声で、でもはっきりと言いました。
「無駄じゃないです」
広場が、しんと静かになります。
「小さなしあわせは、無駄じゃありません。
あたたかいものは、ちゃんと心に残ります」
その言葉を聞いて、
王国の人々は手の中のお椀を見つめました。
生姜の香りが、ほんのり広がります。
「……しあわせだな」
「食べたいって思えたの、久しぶりだったな」
あたたかい声が、
ひとつ、またひとつと広がっていきます。
黒い影が、ぐらりと大きく揺れます。
『やめろヘト……』
ヒロパンダは、豚汁のおかわりを手にしながら、深くうなずきました。

「うむ。もちちゃんよ、この豚汁は実にいい。
豚肉は、焼いてもよし、煮てもよし。
疲れた体には、汁に溶け出したうまみごと味わうのがよい」
うめこさんは、うふふっと笑います。
「ヒロさん、肉の話をしてる時が、いちばんイキイキしてますね」
「む……そうか?」
みーちゃんPが、やさしく言いました。
「うん。ヒロさん、
肉のことを話している時、すごくいい顔してる」
ヒロパンダは、少しだけ胸を張ります。
「肉賢者として当然だ」

「つまり、疲れた時はパンツも締めつけすぎてはいけないということだ」
「肉とパンツ!」
まきマネが叫ぶと、
広場には、笑い声が広がりました。
その声は、空へ明るく響いていきます。
タカーズが空を見上げると、
王国を覆っていた黒い影は、ほとんど消えかけていました。
青空の向こうへ、
黒い煙の名残だけが、細く立ちのぼっています。
『笑うなヘト……』
『小さなしあわせで……元気になるなヘト……』
ムダニクスの声は、
もう遠く、影はかすれていきました。

その時、それまで静かにしていたパンツの妖精がふわっと光りました。
たかっち社長の肩の上で、ぴたりと動きを止めます。
「まだ終わりではないようだ」
「え、また来るってこと?」

「ムダニクスは、完全に消えたわけではない。
王国の人々が感謝を忘れ、笑顔をなくせば、また姿を現すだろう」
「記録……しておいたほうがよさそうね」
まきマネは、久しぶりに澄んだ空を見つめました。
「記録するなら、緑のパンツで疲れをためすぎないことだ」
「そして、肉への感謝を忘れぬことだ」

「でた!パンツと肉!」
まきマネがそう言うと、
広場は今日いちばん大きな笑いに包まれました。
鍋を囲んで、話をして、笑って。
肉はまだ、王国中に戻ったわけではありません。
けれど、あたたかさはちゃんと戻っていました。

ちゃんと食べて、ちゃんと休む。
疲れたときは、疲れたと言っていい。
そして、小さなしあわせに気づくこと。
それも、王国に元気と肉を取り戻すための大切な一歩です。
人々のあたたかな気持ちに応えるように、
モツの紋章が現れ、黄金色に輝き始めました。
「豚肉の封印が解けた!」
「肉神モツの加護だ!」

広場に歓声が広がる中、
もちちゃんは
人々を見つめ、小さな声でつぶやきました。
「……しあわせ」
みーちゃんPの胸元の双眼鏡が、きらりと光ります。
「見つけた」
まきマネは、にっこり笑いました。

「小さなしあわせを見つける目。
あたたかい香りに気づく心。
ひと口のぬくもりで、みんなの元気をそっと戻せる人」
もちちゃんは、少し照れくさそうに笑いました。
「私は、ただ……あたたかいものって、いいなと思っただけです」
「その“いいな”に気づけることが、すごい才能なんだよ」

うめこさんは、やさしく微笑みました。
「“ほっとする時間”を届けてくれたのは、もちちゃんですよ」
もちちゃんは、小さくうなずきました。
「うめこさんが気づいてくれたから、
私にもできることがあるって思えました」
まきマネは、すぐにノートを開きました。
そして、ゆっくりと大きな文字で書き込みます。
📋️もちちゃん。
小さなしあわせと、ぬくもりを届けてくれる人。
タカーズの仲間!!
「記録完了!」
こうして、もちちゃんは
タカーズの大切な仲間になりました。
ミートリア王国には、
小さなしあわせがたくさん灯りました。
その様子を、遠くの屋根の上から、
あのフクロウが静かに見つめていました。
✨つづく✨
📋️まきマネの覚書
3話④:1,968字
現在の物語:13,408字
目標:15,000以上
残り:1,592字
15,000字、越えるのはもう確定ですね‼️
〆切まであと⏰ 23日!
SPECIAL THANKS
うめこさん & もちちゃん


もちちゃんの生姜エピソード🫚
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