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異世界ミートリア 【第5話】④ ぶつかり合う、それぞれの願い




【前回のあらすじ】

肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。
裏食堂では、TETSUさんの焼くチキンや、うめこさん、もちちゃんとの再会で、あたたかな時間が流れていた。けれど、ムダニクスを慕う声も、肉の解放を願う声も、王国の中で確かに強くなっている。
そのとき、店の表からざわざわとした声が聞こえてきた。


これまでのお話はこちらから
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第5話

④ぶつかり合う、それぞれの願い



ざわめきを聞きつけて、
タカーズは急いで店の表へ出ました。


店の前では、
肉が戻ってきたことを喜ぶ人たちと、
ムダニクスを慕う人たちが、
言い合いになっていました。

「ムダニクス様は、間違ってなんかいない!」

「封印されたままじゃ困る人だっている!」

二つの正義が激しくぶつかり合っています。



そのときです。

ホゥ……

どこか近くで、フクロウの鳴き声がしました。

みーちゃんPが、そっと双眼鏡を構えます。


「……何か、近づいてくる」

その言葉と同時に、地面が低く震えました。

ごごごご……。



商店通りの奥から、
黒い影がゆっくりと現れます。
重たい空気をまとったその影に、誰もが息をのみました。

みーちゃんPが、静かにつぶやきます。

「……ムダニクス」


魔王ムダニクスは、
黒いもやをまとったまま、口元をゆがめました。


「ヘトヘトー。
よくぞ、ここまで来たな。タカーズ」


その声に、商店通りが静まり返りました。

ムダニクスは、商店通りをゆっくりと見渡しました。


「……ずいぶんと、にぎやかな騒ぎになったものだ」


まきマネは、ノートを抱きしめます。

「……どういうこと?」


「人は、肉が戻れば笑う。
けれどその裏で、また奪い合い、比べ合い、傷つけ合う」

黒いもやが、ゆらりと広がります。


「だから私は、問いたいのだ。
この世界に、本当に肉は必要なのか」



ヒロパンダが、拳を構えました。

「この黒もや、ただでは済まさんぞ……!」


けれど、みーちゃんPが、
そっと手を伸ばして止めます。

「待って。何か、変……」


ムダニクスは、ふっと笑いました。


たかっち社長は、静かに一歩前へ出ます。

「ムダニクス。あなたは、いったい何者なのですか」

「ようやく、その問いに答えるときが来たようだ」

そう言うと、ムダニクスの体が、ゆっくりと光に包まれていきました。


黒い影が薄れ、商店通りを覆っていたもやが、
風にほどけるように消えていきます。



もやの奥から、丸く、穏やかな黄金の光が現れました。



「まさか、黄金のパンツ!」

たかっち社長が期待に目を輝かせます。

その隣で、まきマネは、ノートを握ったまま息をのみました。


黄金の光が、辺りをやさしく照らします。


そこに浮かんでいたのは、
恐ろしい影でも、黄金のパンツでもありません。




まきマネが、小さくつぶやきました。

「……紋章の光……? ちがう、あれは……」



ヒロパンダの目が、大きく見開かれます。

「肉神モツ……!?」

そこに浮かんでいたのは、
ミートリア王国に古くから伝わる神、肉神モツでした。



通りにいた人々も、驚き、みんな言葉を失います。
肉神モツは、ゆっくりと王国を見渡しました。



「この世界も、どうせ分かり合えない」



「どういうこと? あの……言い争い……?」

肉神モツは、続けます。

「だからわしは、
魔王ムダニクスという影に姿を変えた。
肉を封印して、人々が何に気づくのかを見ていた」


ヒロパンダは、
怒りがこらえきれずにまた拳を握りました。

「肉を使って、人々を試していたというのか……」


肉神モツは、悲しそうに目を細めます。

「試したのではない。見届けていたのだ」


風に揺れる看板の音だけが、からん、と小さく響きました。


人々に肉を与え、この世界を創った肉神モツが、
ムダニクスという影となり、王国中の肉を封印していたのです。


誰も、すぐには言葉を出せません。


ヒロパンダは、拳を下ろし、
肉神モツをまっすぐ見つめます。

「……肉が消えて、腹を空かせた者がいた。
笑えなくなった者がいた。争いもおきた。
…それが、全部ムダニクスの仕業だったのか」


その声は、
いつもの肉賢者の声ではありませんでした。

怒りと、悲しみと、信じたかった気持ちが、全部まざった声でした。

王国の象徴として信じてきた肉神モツ。

その肉神モツこそが、ムダニクスの正体だった。

ヒロパンダは、もう一度拳を握ろうとしました。

けれど、力が入りません。

ただ、その場に立ち尽くすことしかできませんでした。


✨第5話⑤へつづく✨


📋️まきマネの覚書 

5話④:1,436字
現在の物語:47,176字 

創作大賞 エンタメ原作部門
📝〆切は7月8日⏰️


ミートリア王国の紋章
可愛い🤭

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