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異世界ミートリア 【第5話】①棚に並んだ、それぞれの願い




【前回のあらすじ】

肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。
眠れない森では、右近さんとヒトちゃんの力で言葉になれない想いがほどけ、森鹿の干し肉が戻った。
海の向こうのMT Landでは、タカーズはパンツ海賊団として、黄金のパンツを探し、たくさんの出会いと小さな気づきを重ねていた。
宿屋での出会いとつながりを胸に、
タカーズはミートリア王国へ向かう。

これまでのお話はこちらから
noteマガジンにまとめてます!


第5話
①棚に並んだ、それぞれの願い



宿屋を出ようとしたそのとき
ぽんたままさんが、
「あ、そういえば」と、声をかけました。

「このあいだ泊まったお客さんがね、王国の商店の雰囲気が変わったって言ってたよ。なんだか、不思議な感じだったって」


まきマネが、首をかしげてつぶやきます。

「不思議な感じ……」

ぽんたままさんは、にっこり笑って言いました。

「ごはんを食べに行くついでに、
商店を見てきたらどうかしら?
何か、今の王国のことがわかるかもしれないよ」

たかっち社長は、静かにうなずきました。

「ぽんたままさん、ありがとうございます。
では、食事と調査に行ってきます」
 

ぽんたままさんに見送られ、
タカーズは宿屋を出ました。

洗い立ての洗濯物の香りを背に、
タカーズは、ミートリア王国の商店通りへ向かって歩いていきました。



「おなかが空いた。肉を食べたい」

ヒロパンダが、まっすぐ前を見つめます。


「決意は固いわね」

まきマネがつぶやいた、そのときです。


みーちゃんPが、ふと足を止めました。


「……あれ?」

「どうしたの?」

みーちゃんPは双眼鏡を覗き、
商店通りの先を見つめます。

その視線の先には、
老舗のしんりん商店がありました。


「しんりん商店、前と雰囲気が違う」


タカーズは顔を見合わせ、
足早にしんりん商店へ向かいました。



店先に着くと、まきマネが首をかしげます。

「しんりん商店……だよね?」


看板はたしかに『しんりん商店』。けれど、いつもの店先とは少し様子が違っていました。


店の中へ入ると、木の床がきいっと鳴ります。

店内には、お守りや封印解除グッズ、
しおりや王国の記念品など、さまざまな棚が並んでいました。



その奥にあったのは、
暗い紫色の布がかかった棚です。


『ムダニクス推進委員会 特設棚』

そこには、ムダニクスをモチーフにした
本やしおり、缶バッジが並んでいました。


「ムダニクスのグッズ……?」


まきマネが目を丸くすると、ヒロパンダも首をかしげます。


「敵に、ファンクラブがあるのか?」


近くには、王国のみやげ棚や、見慣れた
『しんりんのおまもり』の棚もありました。

たかっち社長は、静かに店内を見渡します。


「同じ店の中に、こんなに違うものが……」




そのとき、店の奥から、
しんりん商店の店主・しんりんさんが出てきて、声をかけてきました。

「いらっしゃい。
珍しい棚を見て、驚いてるかい?」


まきマネが、思わず尋ねます。

「しんりんさん……これ、どういうことなんですか?」 

しんりんさんは、ゆっくりとうなずきました。 

「この王国にはね、
ムダニクスを慕う人も、肉の封印が解けることを願う人も、両方いるんだよ」


「両方……」


「肉がなくなって、
はじめて気づいたものもあるんだよ。
争わなくなった時間とか、静かな夜とか。
だから、ムダニクスに感謝してる人もいる」


たかっち社長が、静かに耳を傾けます。

「ですが、肉が戻ることを願う人も……」


「もちろんいるさ。
お腹いっぱい食べる喜びや、
みんなで笑い合う時間を、忘れられない人たちだ」


しんりんさんは、
店の中に並ぶ棚を、やさしく見渡しました。

「ここにある棚はね、どれも誰かの想いなんだよ。安心したい人の想い。肉を待つ人の想い。
ムダにも意味があったと思いたい人の想い」



みーちゃんPが、ちいさくつぶやきます。

「想いが棚に……」

しんりんさんは、にっこり笑いました。



「どっちが正しいとか、間違ってるとかじゃなくてね。みんな、それぞれの想いで、今日を生きてるのさ」


たかっち社長は、その言葉を聞いて、静かにうなずきました。


「たしかにパンツの好みも、ひとつじゃない……」

そのとき、
ヒロパンダのおなかが、ぐうっと鳴りました。


「大変だ。パンツより、腹が鳴ってる」


しんりんさんは、ふふっと笑います。


「ごはん、まだなんだね。
よかったら、うちの裏においで。
常連たちが集まる、小さな食堂ができたんだ」


「食堂!」


ヒロパンダの目が、キラッと輝きました。


「今日は、大事な日になりそうだからね。
まずは腹ごしらえしていきな」


しんりんさんに案内され、
タカーズは店の奥へ進みました。

棚のあいだを抜けると、
奥に古い木の扉があります。


扉の向こうからは、湯気のにおいと、人々の話し声がもれてきました。


「ここが、しんりん商店の裏食堂さ」


しんりんさんが扉を開けると、そこには常連さんたちが集まる、あたたかな食堂がありました。


✨第5話②へつづく✨



📋️まきマネの覚書 

5話:1,728字 
現在の物語:43,878字

創作大賞 エンタメ原作部門
〆切まであと⏰8日!



SPECIAL THANKS

しんりんさん

ミートリア王国の商店通りにある老舗「しんりん商店」の猫店主。
タカーズとの付き合いは長い。
木の棚とお守りに囲まれた店で、旅人や王国の人々をやさしく迎えている猫の店主です。
肉の封印が解けることを願う人も、ムダニクスに感謝する人も、どちらの想いも否定せず、店の棚にそっと並べています。
「どれも誰かの想いなんだよ」その言葉には、しんりんさんのあたたかなまなざしが込められています。常連の集まる裏食堂も経営してます。

4枚のイラストは
すべてしんりんさんに描いていただきました😍✨✨

しんりんさんの物語『昼と夜の番人』


しんりんさん😍
いつもありがとうございます💕

#創作大賞2026
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あっぶなーい!予約投稿し忘れてました🍖✨️

#なんのはなしですか

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