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異世界ミートリア 【第5話】⑤二択の前で


【前回のあらすじ】

肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。

店の表に飛び出したタカーズの前に、ついにムダニクスが姿を現した。そしてムダニクスが光に包まれた瞬間、その正体が明かされた。
ムダニクスとは、肉神モツその人だった。
「肉を封印して、人々が何に気づくのかを見ていた」
王国の象徴として信じてきた存在の告白に、誰も言葉を出せなかった。

これまでのお話はこちらから
noteマガジンにまとめてます!



第5話

⑤二択の前で



魔王ムダニクスの正体を知った人々は、
みんな言葉を出せないまま、時間だけが過ぎていきます。


肉神モツは、静かに商店通りを見渡しました。


「この世界を、
わしはこれまで十七回、終わらせた」


「十七回……」

たかっち社長が、息をのみます。



肉神モツは、うなずきました。

「そして今が、十八回目の世界だ」

「わしが世界を終わらせるときは、
いつも同じことが起きていた。
みな、自分の正しさだけを強く信じ、
誰も相手の声を聞かなくなっていった」




店先で言い合っていた人たちも、
黙ったまま、肉神モツの言葉を聞いていました。




肉神モツがまっすぐ人々を見つめ直します。

「今日、この世界は終わる」


世界の終わりの日と聞き、怯える人もいました。


みーちゃんPが、小さな声で言います。

「でも……」

その声に、その場にいたみんなが、みーちゃんPのほうを向きます。

「みんな、ちゃんと声を聞いてる。
だから……この世界はまだ終わらない」



うめこさんは、
震えている王国の人にそっと寄り添いました。

「大丈夫です。まだ……終わりませんよ」



その隣で、もちちゃんも静かにうなずきます。  

「大丈夫。少しずつ、ゆっくり息をしましょう」

もちちゃんのやさしい声に、
震えていた人は、こくりとうなずきました。

みーちゃんPは、
その様子を見て、双眼鏡を胸に抱きました。


肉神モツは、
タカーズをじっと見つめました。 

「十八回目は、やはり違ったか」


肉神モツの光が、少しだけ強くなります。


「タカーズよ。十八回目の世界をどうするのか。
この世界を終わらせないのなら、
肉を封印するのか、解放するのか。おまえたちが決めるのだ」



ヒロパンダは、怒りに震える声で言います。

「もう、いい加減にしてくれ……。
われらが、決めるだと?」

肉神モツは、静かにうなずきました。
 

「そうだ。
終わらせぬと言うのなら、選べ」


商店通りに、重たい沈黙が落ちました。


たかっち社長の肩の近くで、
パンツの妖精がそっと光ります。


たかっち社長は、
肉神モツをまっすぐ見つめました。


「肉神モツ様。
本当に、選べる道は二つだけなのですか」


肉神モツの光が、静かに揺れました。

「二つだけだ」

その言葉に、
商店通りの空気がさらに重くなります。

肉神モツは、続けました。


「肉のない静かな世界を選ぶのか。
肉のある、揺れ続ける世界を選ぶのか。道は、その二つしかない」

たかっち社長は、
パンツの妖精をそっと手のひらに乗せました。

「封印するか。解放するか……そんなに簡単には、決められません」


いつもなら、すぐに答えを探し、
ついでにパンツも探してしまうところです。


けれど今は、違いました。


どちらかを選ぶことだけが、
この世界を終わらせない方法だと、肉神モツは言いました。

まきマネは、うつむきました。

「……決めるって、
誰かの想いを消すことじゃないよね……?」


たかっち社長は、
小さくうなずきました。

「大丈夫。誰の想いも消しません」



そして、商店通りに集まった人々を見つめます。

「私たちだけでは、決めません」



そのときです。

ホゥ……。

フクロウの声が、商店通りに響きました。

その声に導かれるように、通りの向こうから、
ヒトちゃんと右近さんが駆けてきます。

その後ろには、もんやーみとダチョウ。
そして、ワケアイ村のときどきさんの姿もありました。

まきマネは、はっと息をのみました。


「フクロウさん……ありがとう。
みんなを呼んできてくれたんだね」


たかっち社長は、
集まった顔を見渡してから、一歩前へ出ました。


「みなさん、一緒に考えましょう」

商店通りにいる人々が、
静かに顔を上げます。


「誰の想いも消さずに、どちらの世界を選ぶのか。この場にいるみんなで、考えましょう」


肉神モツの光が、王国を照らします。



「考えるがよい。
選ぶのは、そなたたちだ。
タカーズ。
そして、ミートリア王国の人々よ」


商店通りに、風が吹きました。


十八回目。

それは、壊すための数字ではありません。

もう一度、考えて、選び直すための数字です。

十八回目の世界が、今、答えを待っていました。



✨第5話⑥へつづく✨


📋️まきマネの覚書 

5話⑤:1,599字 
現在の物語:51,512字

創作大賞 エンタメ原作部門
📝〆切は7月8日⏰️


18という数字、皆さんは何を思い浮かべますか?

審査対象の50,000字を超えてしまいました。
締め切りまでに過去の物語もすべて見直し修正するか迷っています。笑


#なんのはなしですか


#創作大賞2026
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