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異世界ミートリア 【第5話】② 裏食堂に集まる声


【前回のあらすじ】

肉神モツによって創られた国、異世界ミートリア。魔王ムダニクスによって王国中の肉が封印され、人々の笑顔は失われてしまった。肉と笑顔を取り戻すため立ち上がったのは、救国パーティー《タカーズ》。

商店通りで雰囲気の変わったしんりん商店を訪ねたタカーズ。そこには、ムダニクスを慕う人の想いと、肉の解放を願う人の想いが、同じ店の中の棚にそっと並んでいた。
「どっちが正しいとか、間違ってるとかじゃなくてね」
しんりんさんの言葉に耳を傾けたタカーズは
お店の裏にある食堂へ案内された。

タカーズは、ミートリア王国の常連さんが集まる裏食堂へ足を踏み入れました。

これまでのお話はこちらから
noteマガジンにまとめてます!


第5話

②裏食堂に集まる声



しんりんさんに案内され、
裏食堂に入ると、そこには木の椅子と、長いカウンター、いくつかのテーブル席がありました。

常連さんのにぎやかな声が聞こえてきます。



「いらっしゃいませー!」


元気な声で迎えてくれたのは、
しんりん商店の看板娘、灯ちゃんでした。

「お席、こっちどうぞ!」


灯ちゃんに案内され、
タカーズは空いているテーブル席へ向かいました。


そのとき、みーちゃんPが、
奥の席を見て「あ」と声をもらします。


そこには、湯のみを両手で包みながら、ほうじ茶をゆっくり飲んでいるお客さんがいました。

「ベルまめちゃん!」

まきマネが、ぱっと顔を明るくします。

ベルまめちゃんは、
ふわりと微笑んで、小さく頭を下げました。



「まあ、みなさん。お久しぶりですね。
お元気そうで、なによりです」


ヒロパンダも、うれしそうに手を上げます。

「久しぶりだー!
ベルまめちゃん、肉食べてるかー?」

「ふふ。ヒロさん、こんにちは。
まずは、ほうじ茶でほっとひと息ですよ」

ベルまめちゃんは、
湯のみをそっと両手で包み直しました。

「みなさんがお元気で、
こうしてまた会えて、嬉しいです」


ベルまめちゃんがやさしく言うと、
それを見ていた灯ちゃんが、にこっと笑いました。


「みなさん、相席にしますか?」

「お願いいたします」

たかっち社長が言うと、タカーズは、
ベルまめちゃんのいる席に座らせてもらいました。

しんりんさんが湯気の立つお茶を運んできます。


「はいはい、まずは座ってお待ち。
お腹が空いていると、
見えるものまで尖ってくるからね」


ベルまめちゃんは、湯のみを両手で包んだまま、ほっとした表情を浮かべました。

「しんりんさんのほうじ茶は、とっても落ち着きます」

ヒロパンダが、待ちきれず言いました。


「店主、頼む…肉が食べたい!」


「肉のことは、ちゃんと厨房に伝えておくよ」

しんりんさんは、ふふっと笑います。 


そのとき、カウンター席に座っていた、
ひとりの男性がひょいと顔を上げました。

「マスター、どうも」


「あら、チャラ兄さん。
いつの間に来てたんだい」


しんりんさんが、
空いたお皿を下げながら声をかけます。

「しんりんさんとこの空気が好きでな。
気づいたら、来てまうんよ」



チャラ兄さんは、
にこっと笑うと、タカーズのほうを見ました。

「タカーズさん、眠れない森からもどったんやな!今日は一段と賑やかになりそうやで」

チャラ兄さんは、別の席に料理を運び終えた灯ちゃんを見つけて、ひらひらと手を振ります。



灯ちゃんは、
お盆を抱えたまま、ちらっと笑い返しました。

みーちゃんPが、双眼鏡を握りしめながら、ふふっと、つぶやきます。


「チャラ兄さん……灯ちゃんのこと、見てる時の顔が違うね」


「な、なに言うとんねん!」

チャラ兄さんが、
わざとらしく咳払いをしました。



灯ちゃんは、タカーズのテーブルに戻ってくると、さっきまでの照れた空気を少ししまうように、お盆を胸に抱え直しました。


「そうだ、聞いてください!」


声を少し落として、灯ちゃんは言いました。

「さっき、別のお客さんが話してたんですけど……ムダニクスって、これまでに十七回、世界を壊して、また作り直してるらしいんです」



「十七回……。
その数字、冗談にしては重すぎますね」

たかっち社長が、ぴたりと動きを止めます。


テーブルにいたみんなも、静かに耳を傾けました。


まきマネが眉をひそめます。

「……ムダニクスファンの妄想?」


「私もそう思ったんですけど」


灯ちゃんは、少し首をかしげました。


「なんか、すごく確信ありげな話し方だったんですよね」



チャラ兄さんが、
グラスを軽く回しながら、言いました。

「ま、世の中、
知らんとこでいろいろ起きとるもんやで」


灯ちゃんは、
お盆を抱えたまま、小さくうなずきました。

「なんだか、少しこわいですね……」

「心配せんでえぇ。俺もついとるしな」


チャラ兄さんが、いつもの軽い調子で言うと、
張りつめていた空気が、ほんの少しだけゆるみました。

けれど、たかっち社長は、静かにつぶやきます。


「もし本当なら……十八回目が、今なのかもしれませんね」

その言葉に、
テーブルの空気が、すっと静かになりました。


まきマネは、
何かが胸に引っかかって、ノートを開きます。

「十七回の破壊と再生……これは書いておこう」


たかっち社長は、静かに言いました。

「まきマネ。
追加で、パンツメモもお願いします」

「この流れでパンツメモ!?」


「十八枚目を選ぶように、
この十八回目が、少しでも楽しい時間になることを願っています」


まきマネは、小さく息を吐きました。

「……ちゃんと書いておくね」

厨房の奥からは、
ふわりと料理のいい香りが漂ってきます。

✨第5話③へつづく✨


📋️まきマネの覚書 

5話②:1,741字 
現在の物語:45,619字

創作大賞 エンタメ原作部門
〆切まであと⏰7日!


裏食堂には、外から入れる扉もありますが
看板はありません😌✨
見つけたらラッキーだね💖


店内は『しんりん商店』に
つながる扉もあるよ!
タカーズはこの扉から入ってきました😘


こんなお店があったら通っちゃいます☺️


SPECIAL THANKS
灯ちゃん&チャラ兄さん

灯ちゃん

しんりん商店の裏食堂で働く、元気いっぱいのバイトの女の子。
明るい声でお客さんを迎え、常連さんたちにも親しまれている、裏食堂の看板娘のような存在です。
少し心配性なところもありますが、そのぶん人の様子やお店の空気によく気づきます。
何気ない会話の中から大事な情報を届けてくれる、素直で観察力がある。


チャラ兄さん

しんりん商店の裏食堂に通う、人懐っこい常連さん。
軽い口調の関西弁で話す、ちょっとチャラい雰囲気の男性ですが、嫌な感じはまったくなく、場をふっと明るくしてくれる存在です。

灯ちゃんのことを応援している“灯ちゃんファン”でもあり、いつも軽い調子で声をかけています。
けれど、ただのにぎやか担当ではありません。
チャラいのに、なぜか物事の本質をさらっと言い当てる。
そのギャップが魅力の常連さん。

チャラ兄さんと灯ちゃんの胸キュンストーリー
物足りない方はこちらからどうぞ💖


SPECIAL THANKS
ベルまめちゃん (えだまめちゃん)

しんりん商店の裏食堂に通う、ほうじ茶が大好きな常連さん。
ふわりと微笑むやわらかい雰囲気。
久しぶりに再会したタカーズをあたたかく迎え、ほうじ茶のようにほっとする言葉を届けてくれます。

裏食堂の入口前で😚

チャラ兄さん、灯ちゃん、えだまめちゃん、
ありがとうございました💕

しんりんさんのお店は本当に癒されます😘✨

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