「長崎にVCを」──あえて地方都市から挑む、合同会社えぬじーの挑戦 CO-DEJIMAアクセラ オーディエンス賞受賞 合同会社えぬじー 代表インタビュー
2025年6月からスタートしたCO-DEJIMAのアクセラレーションプログラム。このプログラムは、主に九州を中心に活動している起業家を中心とした講師陣から、起業経営に必要なマインドやスキルを体系的に学ぶプログラムです。今回、合同会社えぬじーはこのプログラムに参加し、最終日のDEMODAYではオーディエンス賞を受賞しました。
今回は、このプログラムを通した気づきについて、合同会社えぬじーの自己紹介も兼ねて、インタビュー形式で振り返ったので、noteとして公開したいと思います。
DAO型法人の形式をとった合同会社えぬじー
--- 合同会社えぬじーの概要を教えてください。
合同会社えぬじーの代表、小池です。「代表」と言っても、えぬじーではDAO(自律分散型組織)を法人という形式を採用しているため、これはあくまで法人上の肩書きです。同じビジョンを共有するメンバーが、それぞれ自律的に活動しているのがえぬじーの特徴です。例えば、新規のプロジェクトを持ち込む場合も、各々が判断し実行できます。フリーランスのように活動しているメンバーが組織を作って集まっているイメージです。私自身も、そのDAOメンバーの一人として、フェイク画像対策事業を立ち上げました。
--- フリーランス的な動き方でありながら、わざわざ法人化している理由は何でしょう?
やはり法人という形を取ることで、大きな案件を受けやすくなるメリットが得られるからです。特に長崎を拠点として活動する場合、大学や行政とのやり取りも発生しており、「組織」としての信頼性があった方が話がスムーズに進むことが多々あります。個人でシステム開発を請け負う場合、先方は万が一プロジェクトがうまく進まなかった場合の責任を気にします。現在のような法人を設立してからは、安心していただけています。
--- 小池さん自身は、フェイク画像対策事業以外にも、スタートアップ支援に関わっていると伺いました。
大学を通じてスタートアップ支援にも関わっていますし、事業承継関連のご相談をいただくこともあります。大学発ベンチャーが盛り上がる一方で、地場の事業者さんにも目を向け、大学と地元企業を繋ぐような役割も担っています。自分にできることを中心に、ニーズに応じた対応をしています。会計や技術面の知見はあるので、スタートアップの初期支援には強みがあると考えています。
--- えぬじーとしては、どんな段階の企業と関わることが多いですか?
新規事業開発に挑戦するフェーズの企業さんとの関わりが増えてきています。えぬじーとその周辺のコミュニティにはエンジニアやデザイナーが在籍している一方、マーケティング等の市場展開に関する知見に長けた人材が少ないため、そこは外部に頼ることもあります。
写真の“信頼性”を証明するサービスとは?

--- フェイク画像対策のサービスについて詳しく教えてください。
「誰が、いつ、どこで撮影したか」を記録・証明できるアプリケーションを開発しています。たとえばSNSにアップした写真が、自分で撮ったものであることの証明、ネットフリマでの出品写真が加工されていないことの証明、自動車保険での事故報告の信頼性担保など、考えられる用途はさまざまです。このような仕組みがない現状では、ある程度の画像改ざんが可能なので、その「確かさ」を担保するツールが必要とされていると感じています。
--- それほど多様な場面での利用の可能性があるのですね。
例えば、公的機関の出張報告で使われる写真の信頼性。過去には、出張先での写真を合成し、不正に出張経費を受給していた事例もあります。他にも、補助金申請時に提出する機器の写真など、改ざんリスクのある場面は意外と多いんです。私自身、大学で働いていた時代に、出張報告内容の正しさを証明する手段として写真の添付をする経験をしています。こうしたニーズは確実に存在しています。
DEMODAYで伝えた、フェイク画像対策の重要性
--- 次は、CO-DEJIMAアクセラレーションプログラムの最終日、DEMODAYについて教えてください。
このプログラムは、長崎県が運営するスタートアップ支援の一環で、法務・広報・AI活用・HRなど、さまざまなテーマの講座を受けることができます。最終日のDEMODAYでは、受講者が自分なりの成果を自由な形式で発表するんです。一般的なアクセラプログラムとは異なり、ぞれぞれの参加者のフェーズが異なるため、DEMOもプロダクトの完成が目的ではなく、「自分が何を学び、どう成長したか」を伝えるのが特徴ですね。
--- 小池さん自身は、DEMODAYでどんな発表をされたんですか?
プレゼンテーションの授業で学んだ内容を活かして、フェイク画像対策の必要性と市場性についてピッチしました。たとえば、SNSで使われている写真の信頼性、県の補助金で購入したパソコンの画像の捏造可能性、さらにはフェイク画像が株価に影響した海外の事例などを紹介しながら、サービスの必要性を訴えました。

--- 実際にどんな反応がありましたか?
えぬじー社やサービスを語る際、普段なら「DAO」や「NFT」といった専門用語を多用していました。しかし、今回は技術的な話をあえて話さず、「なぜ必要なのか」「どんな課題を解決するのか」に絞って話したのが評価されたようです。実際、技術の話は「改ざんされません」という効果の説明程度に留めました。プレゼンテーションの講義で習った通り、話したいことを話すのではなく、聞き手の状況やニーズに寄り添う形にしたことが功を奏しました。
プログラムで得たさまざまな属性の人と関わる重要性
--- CO-DEJIMAのプログラムを通じて得た気づきや変化はありましたか?
一番は「自分が言いたいことを我慢する力」です。どうしてもプロダクトへの愛着があると、プロダクトの特徴や細かい機能を先に話したくなります。しかし、聞き手が本当に知りたいのは、自分にどう役立つのか。その視点を持つことの大切さを、プレゼンテーションの講義から学びました。
--- 今後の展望について教えてください。
地元である長崎に拠点を置いたまま、大きな事業を育てたいという思いがあります。もちろん事業拡大のためには、東京に拠点を置いた方が、一緒に開発してくれるエンジニアも、顧客も見つけやすいという意見をもらうこともあります。しかし、長崎に雇用を生み出し、資金調達の環境を整えることも自分のミッションだと感じています。フェイク画像対策という事業を通じて、長崎から全国・世界へと価値を届けていけたらと考えています。
--- 最後に、CO-DEJIMAプログラム全体への感想をお願いします。
本当に参加して良かったと思っています。特に参加者同士での交流が、気づきの多いポイントでした。今回はIT業界の人たちで固まると言ったことはなく、様々な属性の参加者の方がいたので、普段は聞けない属性の方に顧客ヒアリングをさせてもらったり、リアルなサービスへのフィードバックを受けられたことは貴重でしたし、今後の営業活動やプレゼンにも大きく役立ってくると思います。長崎でこれから事業を立ち上げる人にはぜひ受けていただきたいです。
— 改めて、オーディエンス賞おめでとうございました!
(聞き手:Angela)
