見出し画像

WEBデザインに“ずらし”は本当に必要?レスポンシブで壊れて気づいた“構造で魅せる”という視点



カンプは美しかった。でも実装は最悪だった。

デザインをFigmaで作ったとき、正直かなり気に入っていた。 テキストをずらして、画像と重ねて、ダイナミックに配置して。 「これ、かっこいいじゃん」と思いながら書き出した。
でも、いざ実装してみると——地獄だった。
一見うまく配置できたと思ったら、レスポンシブ対応で全部崩れた。 直したら今度は別の要素と干渉した。 再設計してもまた問題が出て、 ファーストビュー一つを実装するのに丸1日かかった。
単純なレイアウトのはずなのに。
作業しながら、ずっとモヤモヤしていた。 「このデザイン、本当に必要だったのか?」

問題は「ずらし」ではなく、「設計の順番」だった

冷静に振り返ると、今回の失敗の本質はシンプルだ。
先に演出を決めて、後から構造を考えていた。
ずらしたい、重ねたい、ダイナミックに見せたい—— その「見た目の結論」をFigmaで先に作ってしまった。 そこには「このデザインが可変する画面幅でどう動くか」という視点が、ほぼ抜けていた。
Webは印刷物じゃない。 1200pxで美しく見えるカンプは、750pxでは別物になる。 画面幅が変わっても成立するように設計されていて、はじめてWebデザインとして完成する。
それを後から修正しようとするから、破綻する。

「構造で魅せる」という考え方

今回の経験で、自分のなかの「美しさの定義」が少し変わった。
グラフィックデザインでは、静止画の完成度が全てかもしれない。 でもWebデザインにおいては、どの画面サイズでも成立する構造そのものが美しさだ、と思い始めている。
構造とは何か。一言で言うと——
装飾を外しても成立する骨組みのこと。
具体的には、情報の優先順位、グリッド、余白の設計、要素の比率、コンテンツの関係性。 こういったものが「構造」を作っている。
そして、演出(ずらし・重なり・影・絶対配置)は、構造が完成した後に、必要であれば足すものだと思う。

演出で魅せる vs 構造で魅せる

少し整理してみる。
演出で魅せるは、瞬間的に目を引く。 ずらす、重ねる、大きくする、動かす——カンプの静止画映えは最高だ。 でも、壊れやすい。レスポンシブで崩れやすく、コンテンツが増えると破綻する。
構造で魅せるは、地味に見えるかもしれない。 でも、どの幅でも成立する。コンテンツが変わっても崩れない。実装しやすい。
たとえばファーストビュー。
演出型のアプローチは、テキストを絶対配置でずらして、背景と重ねてダイナミックに配置する。PCで見ると確かにかっこいい。でもスマホで見ると、ほぼ確実に破綻する。
(本来であればスマホのデザインの設計もデザイナーの役割とされているが、私の仕事ではPCデザインのみ制作、スマホでの設計と実装は経験豊富なコーダーが行う。そのため、自分で実装して初めてずらしデザインの実装難易度を実感した)
構造型のアプローチは、コンテナ幅を定義して、テキストブロックの最大幅を決めて、余白で緊張感を作り、フォントサイズの対比で強弱を出す。どの幅でも安定して成立する。
見た目の派手さは違う。でも、完成度は後者の方が高い。

余白は、装飾より強い

構造で魅せるためのポイントをいくつか挙げるとしたら、余白の話は外せない。
余白が整っているだけで、高級感が出る。 逆に言うと、ずらしや装飾がなくても、余白の設計だけで「洗練されて見える」ことがある。
さらに、情報の強弱(見出し・サブ・本文のフォントサイズとウェイトの差)、グリッドの整列、60:40や70:30といった比率のリズム——こういった「構造の精度」こそが、デザインの完成度を決めると思っている。
「揃えの精度」は、ずらしより強い。

じゃあ、ずらしデザインはいつ使う?

ここは正直に書きたい。
ずらしデザインが悪いわけではない。 今回ダメだったのは、ずらし自体ではなく、構造に乗っていないずらしだった。
絶対配置に頼りきる、レスポンシブを後付けで考える、可変する画面幅への耐性がない—— この状態で演出を先に作ってしまったのが問題だった。
ずらしや演出は、構造が完成してから、必要であれば後から加えるもの。 それだけで、デザインも実装も全然違う体験になるはずだ。

「これ、本当にクライアントに必要ですか?」

もう一つ、今回ずっと頭にあったモヤモヤがある。
かっこいいデザインを見て、お客さんは喜ぶかもしれない。 でも、そのかっこいいデザインは、クライアントのゴールに本当に必要なのか?
ダイナミックさやインパクトが目的なら、静止画上の「映え」を作り込む必要はないかもしれない。 グリッドに沿ったシンプルなレイアウトであっても、写真の質やアニメーションの工夫でインパクトは出せる。
デザインありきではなく、クライアントのゴールありきで設計する。 「デザインで見せるのか、写真で見せるのか、動きで見せるのか」——この問いを、デザイン着手前に持つことが大事だと思った。

次回からやること

自分への備忘録として残しておく。

  1. まず通常フロー(グリッド)だけで完成させる

  2. レスポンシブを確認して、破綻しないことを確認する

  3. コンテンツが増えても崩れないか確認する

  4. 最後に、少しだけ演出を足す

この順番を守るだけで、たぶんファーストビューに丸1日かかることはなくなる。

まとめ

構造で魅せるとは、「整える力」で魅せること。 派手さではなく、完成度。 どの幅でも成立することが、Webデザインの美しさだ。
デザインを仕事にして半年。 かっこいいデザインを作ることが目標だったのに、実装しながら「成立する構造を作ること」の方がずっと大事だと気づきはじめている。
コーダーの経験やスキル次第で、ずらしデザインの実装もなんの問題もない場合もあるかもしれない。
けれど、それは、構造化されていないデザインを、コーダーが設計し直して実装できているに過ぎない。
保守やメンテナンスのことを考慮すると、ずらしデザインが破綻しやすい、直しづらいのは明らかだ。いっときだけ見せられればいい広告ではなく、
長く、会社の看板としてWEBサイトを作るのであれば、破綻しないことが最も重要ではないか。
この感覚、もう少し時間が経ったら変わるのかもしれない。 でも今の自分には、これが正直な結論だ。

いいなと思ったら応援しよう!