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アドベンチャートラベルがつなぐ、自然と地域の未来

私が初めてアドベンチャートラベルという考え方に触れたのは、鶴居村役場で勤務していた頃でした。

鶴居村には、釧路湿原国立公園をはじめ、手つかずの自然や国の特別天然記念物タンチョウをはじめとした貴重な野生生物、そしてその自然とともに暮らしてきた人々の営みがあります。

この豊かな地域資源を守りながら、その価値を多くの方に知っていただき、地域経済・まちづくりにもつなげていく。その実現方法の一つとして、私はアドベンチャートラベルに大きな可能性を感じていました。

役場では、地域の皆さんや関係機関とともに、その取組に携わる機会をいただきました。

その後、私は役場を退職し、株式会社アシタズを設立しました。

立場は変わりましたが、地域の価値を未来へつないでいきたいという思いは変わりません。今年度も、立場は変わりましたが、アドベンチャートラベル事業に携わらせていただいています。

令和6年度から環境省の国立公園アドベンチャートラベル展開事業を実施

アドベンチャートラベルとは

アドベンチャートラベル(Adventure Travel)は、単なるアウトドア体験や観光旅行ではありません。

「自然」「アクティビティ」「地域文化」の3つの要素のうち、2つ以上を組み合わせ、その土地ならではの魅力を深く体験していただく旅のスタイルです。

地域を「見る」のではなく、「知る」。

地域を「通過する」のではなく、「つながる」。

その土地の自然や文化、人々の暮らしに触れることで、旅がより深く、豊かなものになります。

世界的にも注目されている観光の形であり、日本でも国立公園を中心に様々な地域で取組が進められています。

鶴居村だからこそ実現できる旅

鶴居村には、日本最大の湿原である釧路湿原国立公園があります。

タンチョウが舞い、広大な湿原が広がり、酪農の風景が日常として存在しています。

さらに、その自然を支える森林や河川、人々の暮らしや文化、食、歴史など、多くの魅力があります。

こうした地域資源は、それぞれが独立して存在しているのではなく、一つのストーリーとしてつながっています。

例えば森から生まれた水が川となり、湿原を育み、その自然が人々の暮らしや産業を支えてきました。

アドベンチャートラベルは、その「つながり」を体感していただく旅でもあります。

今年度も現場に立ちながら

今年度は、アドベンチャートラベル事業において、関係者との調整に携わるとともに、参加者の皆さんと行動を共にするスルーガイドも務めています。

実際に参加者の皆さんと歩き、地域をご案内することで、

「何に感動されたのか。」

「どのような体験が心に残ったのか。」

「地域にどのような価値を感じていただけたのか。」

そうした声を直接伺うことができます。

現場だからこそ得られる気付きは数多くあり、それらは今後の地域づくりにも生かされていくものだと感じています。

観光の先にあるもの

私は、アドベンチャートラベルの目的は、旅行者を増やすことだけではないと考えています。

地域の自然や文化に触れ、その土地を好きになっていただくこと。

そして、「また訪れたい」「地域を応援したい」と思ってくださる方が一人でも増えること。

そうした関係が少しずつ積み重なっていくことが、地域の未来につながるのではないでしょうか。

一度きりの観光ではなく、地域との新しいご縁が生まれること。

それが、アドベンチャートラベルの魅力であり、地域づくりにつながる大きな価値だと思っています。

地域のベテランガイドによるその土地の案内

地域全体で価値を高める取組へ

アドベンチャートラベルは、観光事業にとどまらず、行政、民間事業者、地域住民が連携しながら地域の価値を高めていく取組でもあります。

鶴居村でも、官民連携による事業展開や、地域の食・文化・自然を一体的に発信する取組が進められています。

地域資源を磨き上げ、それぞれが持つ魅力をつなぎ合わせることで、新たな価値が生まれます。そして、その取組は鶴居村が大切にしてきた「美しい村づくり」の理念にも通じるものだと考えています。

おわりに

私は、アドベンチャートラベルは「観光事業」であると同時に、「地域づくり」の一つでもあると考えています。

地域の豊かな自然や文化を守り、その土地で暮らす人々の営みを未来へつないでいくこと。そして、その地域を訪れた方との新たなつながりを育み、再び訪れたい、応援したいと思っていただける関係を築いていくこと。それこそが、アドベンチャートラベルの大きな価値ではないでしょうか。

行政職員として携わっていた頃も、現在の立場になった今も、その考えは変わっていません。

鶴居村や釧路地域には、世界に誇ることのできる自然、文化、そして人々の暮らしがあります。

その魅力を一人でも多くの方に知っていただき、地域の未来につながる取組となるよう、これからも微力ながら関わり続けていきたいと思います。