昔の習慣が残していたのは、目的より「つながり」だった
面倒だった習慣ほど、なくなってから意味に気づく
夏休みの朝。
眠い目をこすりながら外へ出る。
近所の子どもが集まっている。
ラジオから流れる、聞き慣れた音楽。
終わったらカードにハンコを押してもらう。
子どものころは、
正直、
「眠いな」
「面倒だな」
と思っていた人も多いのではないでしょうか。
でも、大人になってから思い出すと、
なぜか少し懐かしい。
ふて猫は、昔のラジオ体操カードをめくりながら首をかしげます。
「人間は、なくなってから、その習慣が何を運んでいたのかに気づくことがあります」
記事では、ラジオ体操を知らない子どもたちが増え、かつて夏休みの風物詩だった地域のラジオ体操が変化していることが紹介されています。
今日はこのニュースを入口に、
ラジオ体操は、本当に「運動するためだけ」の習慣だったのか
を考えてみます。
合言葉は、
読んで納得、明日ちょっとドヤれる。
目的だけを見ると、ラジオ体操はかなり不思議
ラジオ体操の目的を、
「体を動かすこと」
だけで考えてみます。
それなら、
家で動画を見ながらやればいい。
好きな時間に運動すればいい。
もっと効率のよい運動を選んでもいい。
わざわざ朝早く、
みんなで集まる必要はありません。
でも、昔のラジオ体操には、
運動以外のものも一緒についていました。
朝決まった時間に起きる。
近所の子と顔を合わせる。
地域の大人と話す。
夏休みでも生活リズムを少し整える。
終わったらカードにハンコを押してもらう。
ふて猫は、「運動」と書かれた箱の中から、次々と別のものが出てくるのを見ています。
「習慣には、表向きの目的とは別に、いつの間にかいろいろな役割が乗っています」
ラジオ体操は、
体を動かす時間であると同時に、
地域の人と少しだけつながる時間でもあったのです。
効率よくすると、目的以外のものまで消えることがある
今は便利です。
運動したければ、
YouTubeで動画を探せる。
スマホで時間も測れる。
好きな場所で、
好きなときにできる。
それは悪いことではありません。
むしろ合理的です。
でも、
「運動」という目的だけを残して、
それ以外を全部なくすと、
別のものまで一緒に消えることがあります。
近所の子どもの顔を知ること。
地域の大人が子どもの顔を覚えること。
「おはよう」と声をかけること。
昨日来なかった子に気づくこと。
ふて猫は、無駄を削ったはずの箱が、少し軽くなりすぎているのを持ち上げます。
「効率よく目的だけ残そうとすると、目的ではなかった大事なものまで消えることがあります」
これはラジオ体操だけの話ではありません。
オンライン会議になって、
移動時間はなくなった。
でも、
会議前の雑談も減った。
セルフレジになって、
会計は早くなった。
でも、
店員とのちょっとした会話もなくなった。
便利になるとき、
私たちは何を削ったのか。
そこまで考えると、
少し違って見えてきます。
面倒だったことまで、あとから思い出になる
子どものころのラジオ体操を、
毎朝楽しみにしていました。
という人ばかりではないでしょう。
眠い。
暑い。
行きたくない。
ハンコだけ欲しい。
そんな気持ちもあったはずです。
でも不思議なことに、
大人になって思い出すと、
その「ちょっと面倒だった感じ」まで含めて懐かしくなります。
ふて猫は、眠そうな顔でラジオ体操へ向かう昔の自分を見て、少し笑います。
「人間は、楽しかったことだけではなく、“ちょっと面倒だったこと”まで思い出にします」
学校の掃除。
町内会のお祭り。
夏休みの宿題。
運動会の練習。
そのときは、
早く終わってほしい。
と思っていた。
でも、なくなると少し寂しい。
人間の思い出は、
快適だったものだけでできているわけではないようです。
ラジオ体操が減ると、「地域で子どもを見る時間」も減る
ラジオ体操には、
もう一つ大きな役割がありました。
地域の大人が、
近所の子どもを知ることです。
名前まで知らなくても、
あの家の子。
いつも友達と来る子。
最近少し背が伸びた子。
そういう顔見知りが増える。
これは、
防犯。
見守り。
地域のつながり。
そんなものにもつながります。
ふて猫は、毎朝同じ場所に集まる人たちの間に、小さな線が何本も増えていくのを見ています。
「人間関係は、大事な話をしたときだけでなく、何度も顔を合わせるだけでも少しずつできます」
今は、
近所に誰が住んでいるのか分からない。
ということも珍しくありません。
それ自体が悪いわけではありません。
でも、
ラジオ体操のような小さな習慣が消えることで、
人と人が「なんとなく知り合う場所」も減っているのかもしれません。
だからといって、昔の形に戻せばいいわけではない
ここで、
昔はよかった。
毎朝ラジオ体操を復活させよう。
となると、少し違います。
共働き家庭も増えています。
早朝に集まるのが難しい家庭もあります。
地域の役員を担う人も減っています。
猛暑の日もあります。
安全面への配慮も必要です。
昔と同じ形を、
そのまま続けることが正解とは限りません。
ふて猫は、「昔のまま残す」という箱と、「全部なくす」という箱の間に、もう一つ箱を置きます。
「昔の形を守ることより、その形が何を守っていたのかを考える方が大切です」
たとえば、
毎朝でなく週に数回。
夏休みの前半だけ。
地域イベントとして開催する。
オンラインも組み合わせる。
子どもだけでなく、大人も気軽に参加する。
形は変わってもいい。
大切なのは、
何を残したいのか。
そこです。
「風物詩」は、いつの間にか風物詩になる
ラジオ体操が、
夏休みの風物詩。
と言われるのも面白いところです。
誰かが最初から、
これは日本の夏の思い出になります。
と決めたわけではありません。
毎年やる。
毎年同じ音楽が流れる。
毎年ハンコを押してもらう。
それを繰り返しているうちに、
いつの間にか、
夏と結びついた。
ふて猫は、何度も繰り返された小さな習慣が、いつの間にか「思い出」という名前に変わるのを見ています。
「人間は、大切だから繰り返すだけではなく、繰り返すことで大切になることがあります」
これは前に考えた記念日にも少し似ています。
習慣も、
最初から特別なのではありません。
続けるうちに、
そこへ人や思い出が積み重なる。
そして、
なくなったときに初めて、
大切だったことに気づく。
子どもが知らないことを、寂しがりすぎなくてもいい
「今の子はラジオ体操を知らない」
と聞くと、
少し寂しく感じる人もいるでしょう。
自分が当たり前だと思っていたものが、
次の世代には当たり前ではない。
それは、
自分の時代が遠くなっていくような感じもします。
でも、
今の子どもたちには、
今の子どもたちなりの夏休みの思い出があります。
オンラインゲーム。
動画。
習い事。
家族で出かけた場所。
友達とのやり取り。
ふて猫は、古いラジオ体操カードと、今の子どものスマホを並べて眺めます。
「自分の思い出が次の世代に残らないことと、次の世代に思い出がないことは同じではありません」
ラジオ体操を知らない。
だから今の子はかわいそう。
ではありません。
大切なのは、
今の時代に合った形で、
子どもたちが人とつながったり、
季節を感じたり、
あとから思い出せる時間を持てることです。
習慣をなくす前に、「何までなくなるか」を一度考えてみる
面倒な習慣があります。
効率の悪い習慣があります。
古くなった習慣もあります。
変えることは必要です。
でも、
これ、もういらないよね。
とやめる前に、
一つだけ考えてみる。
その習慣と一緒に、何がなくなるのか。
ラジオ体操なら、
運動だけではありませんでした。
朝の生活リズム。
近所の子との時間。
地域の大人との顔合わせ。
カードのハンコ。
夏休みらしい記憶。
ふて猫は、「不要」と書かれた箱を捨てる前に、中身をもう一度のぞきます。
「古い習慣を手放すときは、形ではなく、その中に残っていた役割を一度確認した方がいいことがあります」
残す必要のないものは、
変えていい。
でも、
残したいものまで捨てなくてもいい。
そんな更新の仕方もあると思います。
明日ドヤれる一言
ラジオ体操は、
数分間の簡単な運動です。
それだけを目的に考えれば、
今なら代わりはいくらでもあります。
でも、
夏休みの朝に集まる。
近所の人と顔を合わせる。
ハンコを押してもらう。
少し眠いまま友達と帰る。
そういうものまで含めて、
ラジオ体操だったのかもしれません。
ふて猫は最後に、昔のラジオ体操カードをそっと閉じます。
「習慣は、その目的だけで続いているとは限りません。なくなって初めて、そこに人とのつながりや思い出まで乗っていたことに気づくことがあります」
読んで納得、明日ちょっとドヤれる。
今日は、夏休みのラジオ体操が変化しているというニュースを入口に、
“古い習慣をなくすとき、私たちは何まで一緒に手放しているのか”
というお話でした。
昔から続く習慣。
ちょっと面倒な決まり。
なくても困らなそうな行事。
そんなものの中にも、
本来の目的とは別の役割が隠れていることがあります。
残すべきなのは形なのか。
それとも、その形が守っていたものなのか。
そんな日常に潜む人間のクセを、メンバーシップでも少し深く眺めています。
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