【前編】一番重要なのは『回る速さ』じゃない!3つの局面で考えるクイックターン攻略
どうも、足ひれ社長のヨシです!
いきなりですが、「ターンって、なんとなくやってません?」
実は私も昔はそうでした。モノフィンを始めた頃、ターンは大の苦手。もちろんテキトーにやってたわけではないですが、「まぁターンってとにかく早く回ればいいでしょ?」その程度の気持ちでいたんです。
でも、国際大会で隣のレーンの選手と泳いだ時、愕然としました。
前半、泳ぎの局面では互角。ターンの回転までもまぁほぼ同じ。
なのに、ターンが終わってから泳ぎ出し始めた途端、みるみる差をつけられていく。ここのスピードが全然違うんです!
「これ、めちゃくちゃもったいないことしてるじゃん!」
その時に気づいたんです。ターンで重要なのは「素早く回る技術」だけじゃない。「加速する技術」なんだって。
これを読んでるあなたも、振り返ってみるとターンについては泳ぎほど、深く時間をかけて考えたことはないんじゃないでしょうか?
でもそれもそのはず、ターンって技術的に、テクニック的にスイミングやレッスンで時間をかけて丁寧に反復して解説してもらうことってあんまりないですよね。選手やマスターズの練習になればなおさらです。「できて当たり前」ってスタンスで進んでいく。
だから今回は、この泳ぎの中で超重要でありながらあまり練習で重きを置かれない『ターン』にだけ、徹底的に着目して、しかもこれまで何万回とくるくる回って研究を重ねてきた私なりの重要な裏テクとコツを交えながら、2部構成で解説していきます!
まずは今回の前編を最後まで読んで、早速練習に活かせる要素を少しずつ取り入れてみてください!
ターンは技術である - 3つの局面で決まる0.3秒の世界
まず伝えたい結論から言います。ターンは勢いや慣れではなく、紛れもなく「技術」です。
泳ぎと同じように、しっかりと理論を理解して練習すれば、確実に上達します。そして、そのタイム短縮効果は想像以上に大きいんです。
あなたは50mプールで何回ターンしますか?
100mなら1回、200mなら3回、400mなら7回。25mプールならその倍以上です!
もしターンで0.3秒短縮できたら?200mでは約1秒、400mでは2秒以上の差になります。これ、めちゃくちゃ大きくないですか?
実際、私が指導している選手たちも、ターン技術を改善しただけで記録が一気に伸びるケースをたくさん見てきました。
何より、私も練習や国内のレースであれば、ターン技術によって周りの選手に差をつけています。
「え、ターンだけでそんなに変わるの?ゆーて、泳ぎの改善に時間を使ったほうがいいでしょ。」
そう思ったあなたにこそ、今日の内容をしっかり読んでほしいんです。
なぜ多くの人が「なんとなくターン」で損をしているのか
私がターンの重要性に気づいたのは、まさにその国際大会での衝撃的な体験からでした。
理由1:「回るだけ」の間違った認識
私もそうでしたが、多くの人が「ターンは早く回転すればOK」程度に思っていますよね。でも実際は、ターンする前から泳ぎ出しまでの一連の流れが勝負を決めるんです。
理由2:目に見える改善点がわかりにくい
泳ぎなら「あ、キックが弱い」「ストロークが短い」と分かりやすいですが、ターンは一瞬すぎて自分でも何が良くて何が悪いのか判断が難しい。
理由3:世界レベルとの技術格差
韓国で修行した際、世界チャンピオンの友人から教わったのは「ターンの真髄は素早く小さくなること」。この言葉で、私のターンに対する認識が180度変わりました。
でも考えてみてください。あなたも経験ありませんか?
「泳ぎでは負けてないのに、ターンで差をつけられる」
そんな悔しい思いを。
壁にボールを投げる実験 - ターンの物理法則を体感しよう
ターンの原理を理解するために、ちょっとした実験をしてみましょう。
今すぐできる実験です。
もしできる環境にいるなら、どんな大きさでも素材でもいいので、ボールを用意してください。なければ、頭の中でイメージしてもらうだけでも大丈夫です。
実験1:優しく壁に投げる
ボールを壁に向かって、そっと優しく投げてみてください。どうなりますか?
→ 壁にぶつかって、ゆっくりと手元に戻ってきます。跳ね返りは弱いですね。
実験2:勢いよく壁に投げる
今度は、思いっきり壁に向かって投げてみてください。
→ 壁にぶつかって、勢いよく手元に戻ってきます。明らかに跳ね返りが強いです。
実は、これがターンの基本原理なんです。
ターンする際、あなた自身が、このボールなんです。
壁に向かって勢いよく向かっていけば、壁からの反発力も強くなる。逆に、ゆっくりと壁に向かえば、反発力も弱くなってしまいます。
「なるほど!物理の授業みたい!」
そうなんです。ターンは立派な物理現象。だからこそ、科学的にアプローチすることで確実に改善できるんです。
細かな力の使い方などでいえば、100%思いっきり勢いよく壁にぶつかっていけば良いかというとそうではないんですが、とりあえずまずはざっくりこんなイメージを持っていてください。
3つの局面で理解するターンの全体像
ターンを細かく分析すると、3つの局面に分けることができます。
①ターンイン局面:泳いできた速度を回転力に変換する
②ターン(回転)局面:回転エネルギーを保持する
③ターンアウト局面:回転エネルギーと反発力を推進力に変換する
それぞれの局面で、明確な目的と技術があります。
「3つに分けて考えるのか!」
そうです。今まで「なんとなく回る」だった動作を、3つのステップに分解することで、どこに改善ポイントがあるのかが見えてきます。
今日は前編として、ターンイン局面と回転局面を詳しく解説していきますね。
【ターンイン局面】 勢いを殺さず回転力に変換する技術
まず、ここが最も重要な局面です。
泳いできた速度をいかに効率よく回転力に変換できるか。ここで失敗すると、後の回転も遅くなり、最終的な蹴り出しも弱くなってしまいます。
「ターン」って言ってるのに、実はその前の泳ぎの部分からすでに勝負は始まってるんですね!
さっきのボール実験を思い出してください。
優しく投げたボールは弱い反発しか得られませんでした。ターンも同じで、壁に向かう勢いが弱ければ、得られる推進力も弱くなってしまいます。
多くの人がターン直前に大幅に減速してしまっています。理由は「壁に激突しそうで怖い」とか、「ターンの距離感がわからない」とか、いろいろありますが、回転局面へのスムーズな移行ができる動作ができていないことが原因です。
では、どうすれば勢いを保ったまま回転に入れるのでしょうか?
ポイント1:手をしっかり使うこと!
マット運動の前転をイメージしてください。前転では、手を床に付いてバランスをとり、足で軽く床を蹴ってから、顎を引いて回転に入っていきますよね。
水中でのターンも同じです。ただし、水中では床がないので、「手で水を掻く」動作を加えることで、回転力をアシストできるんです。
具体的には、回転に入る直前に「きをつけの姿勢」を作り、顎を引く+身体を丸めて回転に入る際に、両手の平で水を顔の方向に掻きます。この掻きが水中という不安定な空間で支持点となり、回転のきっかけを作ってくれます。
ポイント2:軽いドルフィンキック
先ほどの、手の掻きでアシストをするのと同じタイミングで、回転に入る瞬間に、軽くドルフィンキックを入れます。
マット運動の前転の際に、軽くジャンプするように床を蹴った方が回転の勢いがつきやすいのと同じです。
「え、ターンでドルフィンキック?」
そうなんです。このキックが回転の勢いをさらに加速してくれます。強すぎる必要はありません。軽く「ポンッ」と入れる程度で十分です。
ポイント3:タイミングが全て
手の掻きとドルフィンキックを同時に行うことで、最大の回転力を得られます。
このタイミングがずれると、逆に失速してしまうことがあるので注意が必要です。
ちょっと言葉だけだとイメージがつきづらいので、なんと水中画像を作ってみました!説明と照らし合わせながら確認してみてください。

【回転局面】 ダンゴムシになって勢いをキープ!
回転に入ったら、次は「いかに素早く、コンパクトに回るか」がポイントになります。もう一度言います。意識することは「素早さ」と「コンパクトさ」です!
突然ですが、ダンゴムシを見たことはありますか?(笑)
(虫が嫌いな方、ごめんなさい!でも本当に良い例なんです)
ダンゴムシって、危険を感じると一瞬でBB弾のような小さな球になりますよね。あのイメージです。
本当はイメージをつけやすいために、この丸くなっているダンゴムシの画像を載せたいんですが、読者が半分くらい減りそうなのでやめておきます…(笑)
さて、冗談はさておき、ターンにおいて、この一瞬で小さく丸くなることが重要なんです。
なぜ小さくなる必要があるのか?
物理の法則で「角運動量保存の法則」というものがあります。難しそうな名前なので、法則の名前自体を覚える必要はないですが、簡単に言うと、
「回転している物体は、小さくなればなるほど速く回る」
一番わかりやすいのは、フィギュアスケートの選手を思い出してください。スピンの時、最初は手を広げて回り始めて、だんだん身体に手を引き寄せていきますよね。すると回転がどんどん速くなります。
トリプルアクセルや4回転などの高難度のジャンプ技の場合は選手たちは手をできる限りコンパクトに小さくしてますよね。
あとは体操の回転技や、飛び込み競技の回転技も一緒で、みなさん回転する時はとてもコンパクトに身体を丸めているのがよくわかると思います。
まさにターンも全く同じ原理なんです。
具体的な「ダンゴムシ姿勢」のポイント
① 頭をしっかり入れる
自分のおへそを覗き込むように、あごを一気に強く引いて、頭・首を丸めます。頭が起きていると、コンパクトになれず、回転軸がぶれて効率が悪くなります。うまくいかない人は文字通り「自分のおへそを目で見て」ください。
② 膝をしっかり引きつける
回転し始めたら、自分の膝を体育座りをする時のように素早く胸の方へ引きつけてきましょう。この時、太ももとお腹がくっつくくらいまで引きつけるのがポイントです。
①の頭をしまうことの意識は、多くの人ができています。しかし、この膝を胸に向かって勢いよく引き寄せるという動作ができていない人は非常に多いんです。
③ 身体全体で球を作る
頭、胸、膝が一つの球になるようなイメージで、とにかく小さくコンパクトに丸くなります。
とにかくこの丸くなる練習だけを10回、20回行うだけで、あなたのターン速度は劇的に上がることになるでしょう!
よくある失敗例:途中で身体を開いてしまう
「回転し始めたら安心して、膝を伸ばしちゃう人いませんか?」
これ、実はよく見かける失敗なんです。せっかくコンパクトになれたのに、回転が始まったからといって、すぐに膝を伸ばしてしまうと、
回転速度が落ちる
足が水面から高く出てしまう
その結果、お尻や身体が水中深くに沈んでしまう
せっかく良いターンインができても、これで台無しになってしまいます。
「最後まで小さく」
これを合言葉に、足が壁に着くまで小さい姿勢をキープしましょう。
この一連の流れと注意点を意識してこちらも水中画像をチェックしてイメージしてみてください!回り始めてから壁に足が着くまではダンゴムシを我慢してキープしているのがわかると思います。

前編のまとめ:エネルギーロスを最小化する理論は理解できた?
今日の前編では、ターンの前半部分、ターンイン局面と回転局面について解説しました。
重要ポイントの復習
ターンは「加速する技術」である - 回るだけではもったいない!
ボールの法則 - 勢いよく壁に向かえば、強い反発が得られる!(反発の受け方は後編にて!)
ターンイン - 手の掻き+軽いドルフィンキックで爆発的な回転力を生む!
回転 - 世界チャンピオンが教えてくれた「素早く小さく」の真髄!
私も長年のターン研究と実験を重ねて、ようやくこの完成形にたどり着きました。
大学院の時には、運動学の授業の研究課題で自身のターンを映像分析し、より良いターンのための改善点やコツをきちんとプレゼンして発表したくらいです。今でもその時の分析をしたから気付けたことが指導にも役立っています。
「なるほど、理論はわかった。で、具体的にはどうやって壁を蹴るの?」
そう思ったあなた、良い反応です!
次回の後編では、最も重要なターンアウト局面について詳しく解説します。
空気椅子とうんこ座りの違い
ターン後の加速のコツ
0.1秒でも早くキックを始めるコツ
こう言った部分を、今回と同じく画像と一緒に、実際の動きを詳しく見ていきましょう!
そしてまずは明日のプールで、まずは今日の「ダンゴムシ」を試してみてください。きっと、いつもより回転が速くなることを実感できるはずです!
「おお、確かに違う!」という感覚を味わってもらえると嬉しいです。
ということで、今回もここまで読んでくれてありがとうございました。
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それではまた次回お会いしましょう!
またね〜
フィンスイミングスペシャリスト
足ひれ社長 関野 義秀

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