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となりのトトロと、安心が先にある場所|不安があっても壊れない位置について

となりのトトロと、安心が先にある場所

トトロを見ていると、
「何かを理解しなくても、もう大丈夫な場所」に
連れて戻ってくれるような感じがします。

アニメなので、その場で起きた出来事について、
なぜそうなったのかは説明されません。
設定や背景も、整えられることなく過ぎていきます。

それなのに、
観ている側の呼吸が、
いつのまにか深くなっていることに気づきます。


立ち返れる場所がある

私は、小学生の頃、
よく熱を出して学校を休むことがありました。

その時、必ず、ジブリ作品が見たくなりました。

仕事で忙しかった母親にお願いして、
金曜ロードショーで放映された
『トトロ』を録画しておいてもらい、
何度も繰り返し見ていたことを記憶しています。


不安が消えたわけではないのに、落ち着いている

この物語には、
心配になる要素がたくさんあります。

母は入院している。
引っ越し先は知らない土地。
大人は忙しく、子どもは待たされる。

状況が解決されたわけではありません。
不安がなくなったわけでもない。

それでも、物語全体には、
張りつめた緊張が、
少しずつほどけていくような空気が流れています。

ここで起きているのは、
不安をなくすことではなく、
不安があっても壊れない位置に立っている
ということなのだと私は感じています。


トトロは、問題を解決しに来ない

トトロは、
何かを正してくれる存在ではないのだろうと思います。

直接的に、励ましすというわけではなく。
言葉で、助言もしない。
未来を保証もしない。

ただ、そこにいる。

子どもたちが泣いても、
怖がっても、
混乱しても、
それを止めようとはしません。

代わりに、
表情の豊かさがそこにあり、
一緒にその場にいることを選び続けます。


安心は「あとから」ではなく、「先に」置かれている

多くの物語では、

  • 理由が分かる

  • 問題が片づく

  • だから安心する

という順番が使われます。

典型的なものとしては、
いわゆる「ヒーローズジャーニー」
と呼ばれる構造がよく知られています。

でも、トトロの世界では逆です。

理由は分からないまま。
状況も完全には整わないまま。

それでも、
先に安心が置かれている

この順番の違いが、
観ている人の内側を、
静かにゆるめていくように思います。


何かをしなくても、世界は続いていく

この作品では、
誰かが「正しく振る舞う」ことで
物語が進むわけではありません。

泣いてもいい。
拗ねてもいい。
混乱してもいい。

それでも、
世界は壊れない。

感情が出ること自体を、
問題として扱わない描かれ方が、
全体に一貫しています。


子どもが泣いても、責められない世界

メイは泣きます。
走ります。
いなくなります。

それでも、
世界は彼女を裁きません。

大人も、
「正しくさせよう」とはしない。

感情が前に出ても、
関係が壊れるわけではない。

この感覚は、
言葉ではなく、
空気として伝えられているものです。


トトロが示しているのは、生き方ではない

トトロは、
生き方を教えていません。

対処法も、
考え方も、
答えも示さない。

ただ、
「この位置に立っていても、世界は回る」
という事実だけが、
何度も繰り返し描かれるように、私は思うのです。

それは、
理解ではなく、
体感として残ります。


だから、何度も立ち戻ってしまう

トトロを繰り返し観てしまう理由は、
癒されたいからでも、
学びたいからでもないと思います。

ただ、
戻れる場所がそこにあるから。

安心していい理由を探さなくてもいい。
強くならなくてもいい。

何かをしなくても、
そこにいていい位置。

トトロの世界は、
そんな場所を、
とても自然なかたちで思い出させてくれる物語なのだと思います。

最後に、今日のお話は、『となりのトトロ』
という作品に感じた、私なりの一つの見解です。


最後に、ひとつだけ置いておきます

安心していい理由を探してしまうとき。
感情が揺れたときに、「このままで大丈夫だろうか」と感じるとき。

そんな場面にも、
戻れる位置のようなものが、どこかに残っていることがあります。

ここでは、それ以上は扱いません。

ただ、何かを整えなくても、
そのままでいられる場所があるかもしれない、ということだけ、
静かに置いておきます。

※『となりのトトロ』は、スタジオジブリ の作品です。
作品については、公式サイトでも紹介されています。


【補足】
本記事は、日常の自己観察や判断の手前で起きていることを、
静かに言葉にした記録です。
医療・心理療法・診断を目的としたものではありません。
読みながら強い苦しさを感じた場合は、
信頼できる専門家のサポートをご検討ください。

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