「界隈曲といえばデフォ子、デフォ子といえば界隈曲」は本当なのか?
はじめに
「界隈曲といえばデフォ子、デフォ子といえば界隈曲」という主張をどこかで見たことがある気がします。調査して発信できる手段も整っているので、この主張が本当なのかどうか考えてみます。
調査方法
合成音声の曲を幅広く扱っている「Vocaloid Database」(以下、「このサイト」という。)を用いる。
このサイトにおいて、「デフォ子」は、「唄音ウタ」というアーティストとされている。「界隈曲」に相当するタグは、「すべあな風」、「ころんば風」である。
このサイトの「曲」のカテゴリにおいて、各タグ、アーティストで絞り込み検索(フィルター)をした時の曲数を調べる。and検索も行う。※1
調査結果
以下は全て、2026/01/10時点での情報である。
絞り込み検索の結果を、表1に示す。

考察
ここから話を分かりやすくするために、ベン図2の通りに、アルファベットを付けることにする。

このアルファベットを用いて表1の内容を言い換えると、以下の連立方程式3が得られる。

これを解いて、以下の解を得る。※2

これは確かに連立方程式3を満たす。
この解をベン図2に入れると、下のベン図4が得られる。

以下、次の3つのケースについて考察する。
①「すべあな風」の曲のみを界隈曲と考える場合
②「ころんば風」の曲のみを界隈曲と考える場合
③「すべあな風」と「ころんば風」の曲を界隈曲と考える場合
①
界隈曲全体に占めるデフォ子の曲の割合:80.5%
(b+c)/(b+c+e+f)=0.8051…
デフォ子の曲全体に占める界隈曲の割合:27.2%
(b+c)/(a+b+c+d)=0.2721…
②
界隈曲全体に占めるデフォ子の曲の割合:43.8%
(c+d)/(c+d+f+g)=0.4376…
デフォ子の曲全体に占める界隈曲の割合:4.6%
(c+d)/(a+b+c+d)=0.0461…
③
界隈曲全体に占めるデフォ子の曲の割合:71.9%
(b+c+d)/(b+c+d+e+f+g)=0.7193…
デフォ子の曲全体に占める界隈曲の割合:31.1%
(b+c+d)/(a+b+c+d)=0.3106…
結論
「考察」の①②③における数値の違いからも分かる通り、「界隈曲といえばデフォ子、デフォ子といえば界隈曲」という主張が真っ当であるかどうかは、話し手がどこまでを「界隈曲」と捉えているかによって大きく異なる。まず、主張の前半「界隈曲といえばデフォ子」について。
①③のケースで、界隈曲全体に占めるデフォ子の曲の割合が50%を超えていることから、「すべあな風」を含めて考えれば、この主張は真っ当といえるだろう。②のケースではわずかに50%に届かないが、その場合も、主張の前半が的外れとは言い難い。
次に、主張の後半「デフォ子といえば界隈曲」について。
①②③いずれのケースにおいても、デフォ子の曲全体に占める界隈曲の割合が3分の1を超えないことを考えれば、この主張は怪しいといえそうだ。
筆者のぼやき
結論で満足しちゃった人達は読み飛ばしてもいいよ。
主張の前半については、そうだろうなと前々から思ってた。主張の後半については、この調査をする前は意見を決めかねていたけど、ここではっきりしてよかった。
やっぱりデフォ子の魅力は、デフォルトであるが故の中立性(と、無料であること)にあるんだと思う。だからデフォ子は、界隈の人たちだけが愛するわけでは決してない。それが、私が一番言いたいこと。
あとあと、最初に調査範囲をVocaloid Databaseに限定しているけど、本来これもあんまりよろしくないことで、インスト/人間歌唱/AI歌唱の曲を無いものとして扱っている。これも含めて考えれば、「界隈曲といえばデフォ子」は、結構成り立ちにくくなるんだろうなと思ってる。
視覚的に分かりやすくするために、ベン図の各数値を面積で表した図も作った。けど、実際は数値で語ったほうがよほど分かりやすいことに気付いた。この図作るの、結構苦労したんだぞ。

注釈
※1 私が見た限りでは、or検索、not検索はできないと思われます。もし仮にこれらの検索ができたならば、のちに連立方程式を解く必要はなくなります。
※2 下の4つの式から取り掛かるのが分かりやすいと思います。7つの未知数に対して7つの式がありますから、この連立方程式は少なくとも1つの解を持ちます。これらの情報だけから、解が一つに定まって良かった。
